ホームレス問題連絡会議開催要綱/平成11年2月12日
1.目的/ホームレス問題について、関係行政機関が連携を図り、総合的な取組を一層推進するため、ホームレス問題連絡会議(以下「連絡会議」という。)を開催する。
2.構成/連絡会議は、別紙に掲げる中央省庁及び関係自治体の職員で構成する。なお、必要に応じ、会議に他の行政機関からの出席を求めることができる。
3.庶務/連絡会議の庶務は、内閣内政審議室の協力の下、厚生省及び労働省において共同して処理する。
ホームレス問題連絡会議メンバー
【中央省庁】/内閣官房内閣内政審議室長/厚生省社会・援護局長/労働省職業安定局長/警察庁生活安全局長/建設省大臣官房総務審議官/自治省大臣官房総務審議官/内閣官房内閣内政審議室内閣審議官/厚生省社会・援護局地域福祉課長/労働省職業安定局高齢・障害者対策部企画課長/警察庁生活安全局生活安全企画課長/建設省大臣官房政策課長/自治省大臣官房企画室長
【関係自治体】東京都副知事/横浜市助役/川崎市助役/名古屋市助役/大阪市助役/東京都新宿区長/東京都福祉局長/横浜市福祉局長/川崎市健康福祉局長/名古屋市民生局長/大阪市民生局長/東京都新宿区助役
東京都/〈大都市の特性に応じた路上生活者対策の充実>/(要望事項)
1 東京都及び特別区が単独で実施している以下の路上生活者の自立支援策及び応急的に行う事業に対し財政的支援を行われたい
○応急援護事業(食料提供、求職活動に伴う交通費の支給、街頭相談、緊急・臨時宿泊用の簡易宿所のベッドの借り上げ等〉/○冬期臨時宿泊事業/○更生施設利用者等自立生活援助事業(グループホーム)
2 東京都と特別区が共同で計画している自立支援センター事業について、国の施策として位置づけていただきたい
3 路上生活者に封する緊急時の医療を確保するため、東京都が行っている「路上生活者救急患者受入謝金事業」に対し財政的支援を行われたい/また、東京都が検討している路上生活者のための病床の確保等の事業に対し財政的支援を行われたい
4 路上生活者の仮小屋の撤去等について、実効性ある法令の整備も行われたい/5 路上生活者の就労機会の拡大に取り組んでいただきたい/また、国において、就労にあたっての自立支度金給付制度を創設されたい
平成11年3月9日東京都新宿区/国への要望事項
1 自立支援センターの建設費及び運営費並びに環境整備費について、国の助成をお願いしたい。また、建設用地の確保について、国有地の貸与などの支援をお願いしたい。/〈説明〉自立支援センターは、容易に地域で受け入れ難い施設である。地元自治体にとっても、財政面等での負担が大きく、建設計画が進捗していない。自立支援センター事業は、いわゆる法外事業であり国庫補助の対象になっていないが、建設費及び運営費の2分の1補助に加え、地域の環境整備に係る費用助成をお願いしたい。また、建設用地の立地条件が難しいので、国有地で適地があれば貸与方お願いしたい。
2 ホームレスに対する就労斡旋について、国の立場からの取り組みを強化していただきたい。/(説明)過去最悪といわれる失業率の中で、新宿区内での暫定自立支援事業においても、就労斡旋は困難を極めた。また、福祉事務所に来所するホームレスの多くが、仕事がないことによる生活困難を相談内容にしており、福祉施策では対応できない場合が多い。職業安定所を通じた通常の雇用形態にとらわれない新たな雇用の創出について、国の取り組みをお願いしたい。
3 生活保護における現在地主義を見直していただきたい。当面、費用負担についての大都市特例をお願いしたい。/〈説明)ホームレスの多くは、地方から仕事と生活を求めて大都市に集まって来た人達であり、ほとんどの場合、大都市部には住民登録すらない。にもかかわらず、ホームレスに対する生活保護等の適用は、大都市部が引き受けざるを得ないのが実情であり、人的・財政的負担は増大するばかりである。人道的な見地からの自治体の役割を否定するおけではないが、国民の最低限の生活保障は国の責務であることに鑑み、大都市部の自治体の負担軽減にご配慮願いたい。
4 道路・公園等のホームレス対策について、道路法や都市公園法等の制度面からの検討とそれぞれの施設管理の適正化を図るための支援をしていただきたい。/〈説明)大都市部の道路や公園等のホームレスによる施設の占拠やテントハウス等での寝泊まり等の行為は、各施設の効用や機能の保全を不安定なものとし、安全で快適なまちづくりの阻害要因ともなっている。各施設管理者は対応に苦慮しており、排除するにしても手続き的に煩雑で、効果が持続しないのが現状である。国におかれては、各施設からホームレスを排除する等の対策について、@排除等を即時・即効的にできる規定の創設など、法制度面からの検討、A自治体が各施設を適正管理するための受け皿としての総合的な制度を確立する等の支援をお願いしたい。
<法案制定要望>
○住所不定者の自立支援等に関する特例法の制定/住所不定者の自立支援等に関する特例法を制定し、福祉、保健・医療、就労、住宅等の総合的な視点から、住所不定者対策の骨子を定めるとともに、国を中心仁した費用負担のあり方について定める。
(骨子〉/@都道府県及び市(区)町村は、住所不定者の実態把握に努め、福祉事務所、保健所及び医療機関等が連携して、相談及び検診等の体制を整備する。/A自立支援センターを都道府県ごとに設置する。/B生活保護については、急迫した状況にある要保護者を除き、現在地主義を改め、当該住所不定者の出身地又は主たる扶養義務者の住所地を所管する福祉事務所が実施する。/C生活保護の要件に該当しない住所不定者については、都道府県ごとの自立支援センターに入所斡旋する。/D自立支援センターの入所者については、都道府県ごとに、・特別就労対策及び住居の斡旋を行い、住所不定者の自立を支援する。/E公共施設の適正管理について、別途対策を講じる。/F以上の諸施策に係る経費について、国が中心となって費用を負担する。/(留意点〉住所不定者が特別枠で就労及び住居の斡旋を受けることについて、国民のコンセンサスが必要である。
横浜市/要望事項及び趣旨説明
1 国としての施策の確立/屋外生活者問題は、福祉、保健医療、住宅等様々な分野に関連する問題であり、国と地方自治体が連携し、取り組む必要があります。国におかれましては、その担当部署を明確にし、次のような体系的施策の構築に取り組まれるようお願いします。
(1)基本方針の確立/屋外生活者に対する国の責任と役割を明確にし、その対応の基本方針を確立されたい。/(2)自立支援施設の設置/再就労や社会復帰を支援するための自立支援施設の整備促進を図らられたい。/(3)宿泊事業等の育成/自立支援施設退所後の受け皿とするため、グループホームや第2種社会福祉事業である宿泊事業の育成及びそのカイドラインを策定されたい。/(4)保護施設の活用/既存の保護施設に一定の屋外生活者入所粋と自立支援機能を設けられたい。/(5)現物給付施策の実施/人道的立場からその日の食事にこと欠く屋外生活者への緊急援護として、全国統一水準での食料提供を実施されたい。/(6)就労機会の拡大・斡旋/雇用の減少や高齢等による失業が屋外生活者の増加につながっているという現状を踏まえ、新たな就労の機会の創設や高齢者の能力に応じた就労対策を講じるとともに、職業安定所が福祉事務所や自立支援施設と連携し、就労の斡旋を図るための情報システムの構築を図られたい。/(7)国民啓発の実施/偏見等からの屋外生活者への悪質ないたずらや暴力を防止するとともに屋外生活者自身も社会的ルールを守っていくといった国民啓発活動に取り組まれたい。
2 財政支援の実施/緊急一時宿泊所の運営、医療援助事業、給食・宿泊等の法外援護事業、年末年始対策事業等、さまざまな対策を行うにあたり、国庫補助がないため、自治体には大きな負担となっています。屋外生活者の増加に伴い、一層の経費負担が見込まれますので,自治体の実施する施策に財政支援を講じるようお願いします。
3 福祉事務所の調査・相談機能の強化/雇用施策だけでは、解決することのできない高齢・病弱等の個別ケースについては、まずその実態を把握する必要があります。そして夜間の巡回相談、また積極的な声えかけをし、支援のきっかけづくりを進めることが基本と考えます。従ってそのためには、福祉事務所の機能の明確化や人的体制の整備が必要となります。
4 結核・精神保健医療の推進/屋外生活者の中には、相当数の精神疾患、アルコール依存症、結核患者がいると考えられます。結核対策や精神保健対策に対する国の支援をお願いします。(国立病院での結核と精神・アルコールの合併症を含めた取り組みの独化)
5 公共施設等の適正管理のための法整備/屋外生活者が道路、公園等の公共施設を占拠し、居住する等、施設機能が損なわれたり、利用者とのトラブルが生じています。これまでも人権に配慮した慎重な対応を行ってきましたが、施設本来の機能回復を図らなければならない事態も今後は予想されますので、不法占有物を簡便な手続きで撤去したり、管理者の判断で道路の供用を時間制限することができる等の法整備をお願いします。/また、放置自動車の中に、屋外生活者が住む状況も多く見受けられます。放置自動車の防止や撤去処理を迅速に行うため、自動車の廃棄に関する法制度の整備促進をお願いします。
川崎市 要望書
要望事項/(1)野宿生活者に対する国の施策の確立/(2)自治体が行う自立支援策に対する財政的支援
(1)雇用の創出について/本市では、野宿生活者に対し.パン券支給等の緊急援護事業を実施いたしておりますが、野宿生活者の多くは、就労による自立を求めております。/しかしながら、現在の経済状況のもと、一自治体だけでは十分な雇用の機会を確保することが非常に困難な状況にあります。
(2)地域対策(市民合意の形成について)/本市が実施している野宿生活者に対する緊急援護施策につきましては、例えば、パン券支給所や越年対策事業における宿泊場所におきましても、その実施に当たっては市民の合意を得ることは非常に厳しい状況にあります。
(3)野宿生活者緊急援護事業費について/野宿生活者に対し、人道上の観点から実施しております緊急援護事業に係る経費につきましては、平成10年度では3億円を上回る見込みで、今後野宿生活者の増加が見込まれるなかで、さらに経費の増加が予想されます。/本市の厳しい財政状況においては、大きな負担となっており、今後、自治体が行う自立支援策に対し、国の支援が必要であります。
平成11年3月9日 名古屋市/要望書
(1)野宿している住所不定者に対する国の施策の確立/@緊急雇用対策事業(仮称)の全国的な実施/A野宿している住所不定者への自立支援策の確立/(2)現行施策の助成/@越年対策事業の施設設置及び運営費に対する助成/A緊急法外援護事業(宿泊・給食の援護)に対する助成/B医療援護事業(病床確保〉に対する助成
(3)関連施策の充実/@養護老人ホーム等入所施設の整備補助/A公共施設の不適正使用排除の法制度の検討
(要望趣旨説明)
(1)この問題の解決には、総合的対策が必要であり、国としての施策確立が必要である。/@緊急雇用対策事業(仮称)の全国的な実施/5年間の時限対策として、全額国庫負担で、公園、道路、施設等の清掃などの特別事業を行う。/A野宿している住所不定者への国としての自立支援策の確立が必要である。/ア 相談・指導体制の確保/職業指導・日常生活習慣の改善指導を行う/イ 指導を行うための一時的すまい/体力の回復等を行う/ウ民間活動の育成・活用策の確立
(2)現行、自治体が行っている施策に対する国庫補助が必要である。/@越年対策事業として本市は臨時相談所を開設し無料宿泊所を運営しているが、人的物的な負担が増大しており、その設置及び運営費補助について要望する。/(9年度決算額 82,593千円)/A生活保護制度では対応できない、緊急の事態に対して市単費の法外援護で対応しているがその費用について助成を要望する。/(9年度決算額 5,193千円)/B住所不定者が円滑に診察・入院できる様、病床確保・協力料の支給を行っているがその費用の助成を要望する。/(9年度決算額 19、064千円)
(3)既存の施策の充実・推進が必要である。/@高齢の住所不定者が増加しており、養護老人ホーム等の整備について既助成を要望する。/A不適正使用排除のためには、現行法体割としては行政代執行法しかないが、実務上大変難しいため、即時強制を可能とするような法制度の改正の検討が必要である。