「あいりん地区の労働者百人・どこか野宿さして…・多難なバス・キャラバン」
バスは午後0時ごろ、天王寺区の四天王寺に「境内で野宿したい」と申し入れたが断られ、深夜の町をさまようバスの後には大阪府警の警備車1台、バス2台、パトカーなどが続き、物々しい“行列”にふくれ上がった。
今年の2月、大阪市から「公園の不法占拠」としてテント村の強制退去をさせられ、この冬は早くからテント使用の不許可を言い渡されていた。
実行委はあくまでも越冬闘争は続けると、この0日から花園公園で夜食のたき出しや、たき火野宿を続け、25日夜には約180人の労働者が弁当を受け取った。しかし、実行委ではテントを張ることができないうえ、警察の監視態勢がきびしく、地区外に宿泊場所を求めることにした。
20万円で買い入れたバスの車体に「仕事よこせ」「殺人行政糾弾」と赤ペンキで大書し、花園公園に乗りつけた。
四天王寺の南谷恵澄執事長が「重要文化財もあり史跡なので野宿はお断りしたい。多人数の宿泊施設はない」と断り、11時20分、再びバスに乗り住吉神社へ向かった。
住吉神社では、大阪府警警備車、パトカーなどが先まわりして神社への立ち入りを規制。労働者たちは神社前に降り立ち、1服しただけ。26日午前0時40分ごろ、国鉄大阪駅西側ガード下で、ふとんなどを敷いて“寝ぐら”づくりを始めたが、警察側から「撤去しなさい」と警告されしぶしぶ引き揚げ、また深夜の町へ。
「あいりん地区・臨時宿泊所・あすから開設・昨年より百人ふやす」
2年続きの不況できびしい年の暮れを迎える西成区のあいりん地区の労働者のために、大阪市は年末年始恒例の臨時宿泊所を昨年より1日早い29日から開設することを決めた。期間も1月12日までと1日延長し、昨年より百人多い千3百人を収容する。
昨年は5カ所千2百人の受け入れ準備をしたが、大みそかまでに満員。正月3日間はあぶれた約3百人に即席めんなどを配る騒ぎになった。
今年は態勢強化のため、プレハブ2階建て、8百人収容の大きな「南港臨時宿泊所」をつくった。民間施設「自彊館」で2百人、さらに生活保護施設3カ所を新増設して3百人を受け入れる態勢を整えた。
「機動隊つき撤去・あいりんの“無料休憩所”」
花園公園に釜ケ崎仕事保障闘争委員会が5月初めから開いていた労働者の“無料休憩所”を都市公園法違反の不法占用として作業員を動員して撤去した。大阪府警の機動隊ら3百人が警備ー略ーこれに対して仕事保障闘争委員会は約30人が休憩所の中にスクラムを組んで座り込み「強制立ち退きをゆるさないぞ」などとシュプレヒコール
大阪市は「釜ケ崎仕事保障闘争委員会」の休憩所・食器などを撤去したが、この措置に反発する同闘争委は公園内に屋台を持ち込んで無料の食事提供を再開、15日も労働者の列が続いた。
市公園局は再び撤去する構えだが、撤去作業はすでに6回。屋台での食事提供が再開されたのは、撤去作業から間もない14日午後1時半。他の場所で作った雑炊を同公園に持ち込んだ屋台の上で食器に盛り、従来通り朝、昼、夜の3食を提供。夜には野宿用のふとんを貸すなどしている。
撤去で食事が中断したと思った人もあり、14、15両日に食事を受けた人は以前よりも少なく、1回につき20人から30人。
同闘争委では、去年12月から労働省・府・大阪市の3者に対し「特別公共事業・特別求人を出すなどして1カ月に14日の仕事を保障せよ」などと失業者の救済を強く要求したが、実りある回答はなかった。
「釜ケ崎日雇労働組合」は19日夜、3角公園で市公園局が15日に行った花園公園の立ち入り禁止措置に抗議する「花園公園締め出し糾弾集会」を開き、近く市に抗議することを決めた.。
同組合によると、食事提供は同地区内の別の公園で再開したが、このことを知らない人もあり、食事にくる人は半減。これまでのように宿賃のない人がテントの中で寝ることもできなくなり、同組合所有のバスの中で夜をすごしているという。
「たき出しや巡回も・日程は「日刊越冬」を見て下さい」
支援活動はこれまで冬季に限られていたが、同労組が今春以降もたき出しを続けているので、今年はたき出しなどの規模を拡大しようと、同地区の労働者らに実行委への参加を呼びかけてきた。
計画によると援助活動の期間は2月28日まで。(12月25日から)炊事班の食事提供は西成区萩之茶屋1丁目の萩之茶屋北公園(通称仏現寺公園)で、朝・昼・夜3食各2ー3百人分を作るほか、無料で寝具も提供する。夜間パトロールは午後8時と午前2時の2回。
「29日から臨時宿泊所・あいりん地区・市が年末年始対策」
大阪市は29日から来年1月0日まで(12泊13日)臨時宿泊所を設ける。
同市の推定ではあいりん地区の労働者は約1万8千人。住之江区の南港東と西成区天下茶屋に臨時宿泊所を設け、計千人を受け入れることになった。
29、30の両日午前0時から午後3時まで大阪市立更生相談所で受け付けるが、29日は50歳以上、または40歳以上で雇用保険日雇労働被保険証を所持している人に限る。
「あいりん冷雨・雑すいに行列黙々・支援活動始まる」
越冬実があいりん総合センター前の軒下で雑炊のたき出しを始めたのは午前9時、1泊約4百円の宿泊代が払えずにふとん1枚で夜を明かした人たちが、それより1、2時間も早く集まり列ができた。3年目の“不況寒波”をかぶってことしも厳しい年の瀬を迎えた。
同地区でこの1年間、仕事にあぶれた人に、たき出しを続けている同実行委の母体である「釜ケ崎日雇労働組合」や関係機関の話だと、同地区の労働者の求人状況はことしのお盆すぎから秋にかけて前年より約4割ふえた。
しかし、万国博や列島改造ブームの当時と違って、老人や病弱者向けの軽作業は数えるほど。
救護施設にも入れないまま凍死や病気で路上死する人が50人を超えた。今月中旬ごろからは建設現場などが相次いで仕事休みとなり求人数も減少した。
「長びく不況にあえぎ・あいりん野宿者に続く夜間パト・延べ3百人以上保護」
「撤去は許せない・日雇労組代執行に「異議」」
萩之茶屋北公園で仕事にあぶれた労働者に食事などを提供している「釜ケ崎越冬闘争実行委員会」が活動拠点としている同公園の仮設雨よけなどを行政代執行法に基づいて強制撤去する方針を打ち出し、代執行令書を同越冬委に渡した。
去年までは同区花園北1丁目の花園公園で実施していたが、同公園は去年11月、同市公園局が「改造の必要がある」としてフェンスで囲って立ち入り禁止とした。
今年は去年12月25日から萩之茶屋公園行われている。同公園には、ベニヤ板で作った仮設雨よけのほか、野宿用ふとん30枚、たき火用の廃材などが置かれ、1日7、80人の労働者が利用しているという。
「海陸風(司)」
テント村強制撤去について、大阪市を相手どって執行停止を申し立てていたのに対し、大阪地裁は11日、これを却下する決定をした。
理由は「申し立て人が損害をこうむるわけではないから。」テント村は第7回越冬闘争実行委員会が萩之茶屋公園に去年の暮れから設けていた。
決定は行政事件訴訟法の解釈をタテに実質的な判断を回避し、門前払いの形で終わった。
「市・テント村を撤去」
釜ケ崎日雇労働組合などが去年6月中旬から仕事にあぶれた労働者に無料で食事を提供、泊まらせていたテント村を、大阪市は7日午後、都市公園法に違反した不法占用として行政代執行による強制撤去に踏み切った。
府警警備部と西成署の約2百人が出動、3、40人の労働者が見守るだけでトラブルなし。テント村にいた病人1人が入院、5人を更生施設へ収容、宿泊・食事代千円を支給。この日労組のメンバーの姿はほとんどみられなかった。
「千人分の臨時宿泊所を用意「あいりん地区」」
自彊館臨時宿泊所に2百人分と南港南に8百分の計千人分。期間は29日から1月10日まで。
市民生局の推計では、同地区の労働者はこの年末で約2万人。このうち生活に困って相談にやってくる人は約千人と見込んでいる。今年の同地区労働者の越年の世話に費やされる額はざっと1億2千万円といっている。