大賀幾助、石崎喜兵衞、秋馬新三郎、渋谷正三郎、同正十郎、福原
公亮、磯野小右衞門、藤田傳三郎、宗像直次郎、光村彌兵衛、一柳
九彌、杉生幸助、の諸氏が発起にて一株一円の株金を募り夫の貧民
学校を合併し授産学校を設立したしと願出されしが詳しく昨日の新
報に出しゆゑ本紙には只その方法のみを掲ぐ
教育授産所資本金募集方法一
一金二拾六円也
但シ愛国同志一名一円宛テ三十六ヶ月間月賦ニ出金ス
右一円ヲ一株トシ素邦有力ノ商戸ハ数十株ヲ自在シ又志シアルモ
資金ナキモノハ一株ヲ数名ニテ任スルモ同シク愛国ノ同志社中タル
故ニテ華士族ヨリ下萬姓平民ノ忌避ナカルヘシ
右募集ノ金数ハ一円ノ株ヲ三千名ニ満ルヲ定額トス此金員拾萬八
千円ヲ満三ヶ年ニ募集シ可然府下ノ銀行ニ出納ヲ依頼シ府庁ノ管理
保護ヲ請願シ其募金ヲ利倍シ月々ノ利子ヲ以テ授産ノ費用ニ供セン
トスルノ大目的也
第一条 一教育所ヲ長町接近ノ地ニ設立シ生徒ノ人員ヲ定メ家屋ノ
位置ヲ極メ大小広狭其適宜ニ任スヘシ(但シ募集金モ三ヶ年ヲ期ス
ル事業ナレバ目今着手スル処ハ適宜ノ家屋ヲ借受ケ開業シ追々建築
等漸次ニ成就スヘシ
第貳条 一習字算術ヨリ其他百工ノ技芸ヲ教授スル相当ノ師匠ヲ配
置アルベシ(但シ男子大工職桶工鍛工石工製紙等女子は第一職工裁
縫其他可然営業ニ従事スベシ
第三条 一生徒ハ満八年ヨリ満十七年ヲ成規トス(但人民ノ好ニ応
シ取捨之アルベシ
第四条 一入学ノ生徒教授中猥リニ出入ヲ不許銘々鑑札ヲ与ヘ置最
モ厳重ニ監督スヘシ
第五条 一生徒ノ食料衣類其他悉皆ノ費用給与スヘシ但授業中ハ衣
類食料共ニ倹素ヲ専トスベシ
第六条 一授産営業上ヨリ生ズル処ノ得得金ハ其生徒々々ノ分ヲ積
立置キ其者自己ノ産業ヲ為ストキノ資本トナスヘシ
右授産学校ノ方法大略ヲ設ルト雖モ募集金員未定ノ儀ニ付其金額ノ
多少ニヨリ取捨ヲ為シ仮令当今ノ見込ノ通行レサルトモ此志ヲ継キ
終ニ府下人民ノ授業ノ基礎ト為シト欲ス是レ同社中ノ願志タリ確定
ノ規則着手ノ期ニ至リ祥悉上申可致也
著者:大坂日報
表題:教育授産所
時期:18790424/明治12年4月24日
初出:大坂日報
種別:社会事業