虎列拉病撲滅の考察

    前号に記せ_如く私立大日本衛生大坂支部の審理委員七名は一昨

   夜中の嶋銀水楼に集会し夫の虎列拉病撲滅法に就き種々審議せられ

   しが同委員中には大坂の虎列拉病予防方法は是まで一時の姑息法に

   して同病流行に臨み諸興業を停止し又は患者の現出するに及んで局

   部を遮断し又は衛生上有害と見認る食品販売を禁ずる等府民は年々

   莫大の損害を被るも其効験更になく只だ市中の衰微を来すのみなれ

   ば宜しく奮発して夫の市区改正を断行せざるべからず否らざれば十

   分其の効を奏する能はざるべし尤も右は頗る大事業にして実際行は

   れ難き事情もあれば先づ裏長家に制限を立て可成的空地を存し樹木

   を植付け空気をして新鮮ならしめ又は飲料水を改良する等同病発生

   の原因に溯りて撲滅を謀るに如くはなしとの意見を抱持せらるゝ向

   もありと聞く

   

   大阪日報

   明治19年9月4日

   

   著者:大阪日報
   表題:虎列拉病撲滅の考察
   時期:18860904/明治19年9月4日
   初出:大阪日報
   種別:コレラ/医療