飲料水を給す

    大坂府下西区安治川辺にては是迄河水を|飲|用し来りし処近来虎

   列拉病流行の為め河水を飲用するは|危|険なれど井水の悪く且つ水

   屋の同地辺へ行く者なき為め不得已河水を飲用し居る由は前号の寄

   書|欄内にもありしが今度大坂府にては地方税を以て西区部内人民

   凡八萬人の中中等以下の人民四萬人へ一人付一日二升宛の|割を以

   て先づ|差|掛り三十日間飲料水を|給与し果して実効あらば猶ほ引

   続き飲用せしむるの目的にて該費用一ヶ月三千五百余円の徴収方を

   昨日府會常置委員へ|諮問されし処直に原案に可決したるが右は至

   急に決行さるゝ筈なれば多分今明日より実行さるゝならんといふ尤

   も該費用はたゞ飮用水のみならず容器及天|秤棒等の|購入費をも|

   混入しあれば漸次に幾分か減少するに至るべしとのこと又愈々実効

   あるに於いては南区にても右同様の方法を施行せらるゝ都合なりと

   いふ

   

   著者:大阪日報
   表題:飲料水を給す
   時期:18860815/明治19年8月15日
   初出:大阪日報
   種別:コレラ/給水