医師の不心得

    此程大浦検疫委員長及び平田同副長等が虎列拉病予防法諮問の為

   め各区へ出張し市中の開業医を招集して患者の自宅療養を許否する

   は検疫委員の権内の在る事を説諭せられし処医師の内には委《○》

   員《○》を医《○》員《○》と誤解し昨今患者の自宅療養を許否す

   るは医師の権内に在りと主張し患者を避病院へ送る事を拒む者あり

   又た虎列拉病患者を診察するも消毒法を行なはざる向往々あり為め

   に其の筋にては検疫事務上に差支へを生じ大いに困却し居らるゝと

   いふ

   

   著者:大阪日報
   表題:医師の不心得
   時期:18860814/明治19年8月14日
   初出:大阪日報
   種別:コレラ/医療