東区粉川町の大坂府貧民救育場にては従来嚢中には衣食の乏きよ
り入場つる者多き例なるが客冬来最多数の時は三百五十余名におよ
びしも近頃暖気に向ふに随ひ追ゝ退場して昨日の調査にては二百八
十二人(内女七十二人)に減少せしが目下内役は燐寸の箱鼻緒の心
等を製造し外役は日雇又は橋上の掃除等に従事し居る処近頃燐寸の
製造盛んなるより壮健の男子は燐寸の茎木に供する材料の荒細工を
なす為各製造所へ雇はれ又従来各官舎の掃除は監獄の囚徒を使役し
来りし処自今同場の貧民を傭役する事になりたり
著者:大阪日報
表題:貧民救育場の景況
時期:18870430/明治20年4月30日
初出:大阪日報
種別:社会事業