凍氷の投棄

   南区坂町四十八番地凍氷卸売商青葉昌平方へ一昨二日当府衛生課員

   出頭し品物の再検を遂たるに何にも有害質を含み居れば飲料に不適

   当なりとて其筋より規則に照し日を期して投棄すべきやう達せられ

   たるが昌平は先に検査の上許可なりしにも拘らず{}日投棄すべき

   旨を届出たるに依り南警署より六人の巡査出頭し凡三万斤許の氷を

   道頓堀相合橋の浜より船に積み木津川口へ捨させたり扨此凍氷は河

   内国高安郡服部川村の稲田為造といふが已に水質の検査を受けて製

   せしものなるが函館天然氷の外には往々不良の品ありと云へば凍氷

   商人は常に注意あるべきなり

   

   著者:朝日新聞
   表題:凍氷の投棄
   時期:18860804/明治19年8月4日
   初出:朝日新聞
   種別:コレラ