前号の本紙に数々記載せし如く大坂府下西成郡百三十五箇村戸長及
び人民総代は夫の四区一郡連合町村会の開設前数度集会を催し同連
合会分離の儀に付建野府知事へ親展書を呈し又は田部同郡長へ請願
書を差出せしも孰も採用せられず遂に同会を開設せられしにぞ右各
村人民は一同迷惑なし居たりしが幸に同会に於て右原案は全廃とな
りしを以て一同僅に安堵の思をなせしも今後区郡長の意見にて府知
事の認可を得若し原案通り執行せらるゝ事も測り難しとて又々昨日
右各村戸長並人民総代より知事へ宛て親展書を差出したる由又同郡
人民は他日若し原案執行の場合に至らば如何なる処置をなさんかと
て再三協議せし処議論二派に岐れ一は請願条例に依り原案取消の儀
を内務大臣へ請願せんと言ひ一は発案者即ち四区長及び一郡長を対
手取り大坂始審裁判所へ訴訟を起すべしと唱ふるありて一時その相
談の纏まらざりしが遂に同郡各村より研究委員十五名を選挙し人民
より各自委任状を交附し同事件に関する取扱はすべて委員に附託す
る事に取極め若し原案執行の場合には右十五名の内より更に上京委
員数名を選定し直に内務省へ請願する事に粗一決したりといふ。
著者:大阪日報
表題:連合会に関する郡民の苦心
時期:18860909/明治19年9月9日
初出:大阪日報
種別:長町取払/