前号にも記載したる如く彼難波村にある地所共同家屋建築の為めに
買上らるゝの事は持主等孰れも承諾せずして已に其趣書面を以て西
成郡長に申立しが猶又同郡長は一昨日退庁後日下書記を随へて同村
戸長役場に出張し其地所の持主二十余名を招きて一人づつ別に面会
して懇諭ありしかば其説に服して受書を差出したる者十名に及び又
之を売払ひては忽ち生活の道を失ふに由り如何様に言を尽して諭さ
るゝも承諾しがたしと述る者五名あり其外の者は他出なし居る者と
又招きに応ぜざる者もある由なれど先づ過半は売却する事を承知し
たりといふ。
著者:朝日新聞
表題:名護町移転の影響
時期:18861009/明治19年10月9日
初出:朝日新聞
種別:長町取払/