8 港湾荷役及船舶等造修能力の確保昂上関係   

運輸省・厚生省 令第1

昭和20年勅令第542号に基く港湾荷役力及船舶等造修能力の確保昂上に関する件、左の通定む

昭和201012日   厚生大臣  芦田 均   運輸大臣 田中 武雄

第1條 運輸大臣は、港湾荷役力の確保昂上の為、港湾運送業者に対し左に掲ぐる事項に付、必要なる命令を為すことを得

1124時間作業及17日間作業

2、事業設備の新設、拡張、改良、讓渡、讓受、貸借又は使用方法の改善

第2條 運輸大臣は、船舶、船体、船舶用機関若は艤裝品又は其の部分品若は附属品の、製造又は修繕を目的とする事業、の能力の確保昂上の為、其の事業を営む者(以下造船事業者と名す)に対し左に掲ぐる事項に付必要なる命令を為すことを得

1124時間作業及17日間作業

2、事業設備の新設、拡張、改良、讓渡、讓受、貸借又は使用方法の改善

3、事業用物資の讓渡、讓受又は貸借

第3條 厚生大臣又は地方長官(東京都に在りては警視総監)は、港湾運送業者若は造船事業者又は此等の、使用する従業者に対し、従業者の使用若は従業又は賃金、給料其の他の従業條件に付、必要なる命令を為すことを得

第4條 政府は、港湾運送業者又は造船事業者に対し、第1條又は第2條の規定に依る命令に因り通常生ずべき損失を補償す

損失補償を請求せんとする者は、損失の原因たる事実発生の日より6月以内に、損失補償請求書を運輸大臣に提出すべし

第5條 第1條乃至第3條の規定に依る命令に違反したる者は、3年以下の懲役若は禁錮又は5千円以下の罰金に処す

第6條 法人の代表者又は法人、若は、人の代理人、使用人其の他の従業者、其の法人又は人の業務に関し、前條の違反行為を為したるときは、行為者を罰するの外其の法人又は人に対し同條の罰金刑を科

附則

本令は公布の日より之を施行す

●勤動発第77号 昭和201011日   厚生省勤労局動員部長 

各庁府県長官 宛                   

港湾荷役及船舶等造修能力確保に揚に関する労務充足の件

刻下喫緊の要務たる標記の件に関し、今般、連合軍司令部の命令に依り、港湾荷役、船舶、船体、船舶用機関若は艤裝品又は其の部分品若は附属品の製造又は修繕に関する作業は、爾今、之を一日24時間一週7日間継続操業致すことと相成候條、左記に依り、速急必要労務充足の措置を講じ、之が即時、且つ、円滑なる実施に萬遺憾なきを期せられ度 

追て、本件関係労務充足の為、別途法的措置準備中に付、申添候

1、庁府県は、港湾及船舶(木造船、艀船、漁船関係を含む)、船体、船舶用機関若は艤裝品又は其の部分品若は附属品の製造又は修理に関する工場に付、関係海務局又は其の出先機関と連絡の上、本件実施に伴ふ要増加労務の時期別、職種別、員数を至急調査決定すること

此の場合、現状に於て、到底募集困難なる熟練工の希望は、未熟練工にて代替せしむるは勿論、雇用條件等に付ても適当指導すること

2、庁府県は、右労務需要状況を、別紙様式に依り、厚生省宛報告すること

3、前記需要に対し、庁府県は、直に管下勤労署、労務協会等を総動員し、復員援護会及補導会とも連絡の上、特に復員離職者、休業工場工員、戦災者等より、希望適格者を選定し、斡旋充足に努むること

4、右充足の為、必要ある場合は、適当と認むる他庁府県に求人連絡を為し、応援を求むること、此の場合は、同時に其の旨厚生省宛報告すること

5、差当り、宿舍又は溜り等必要なる場合は、庁府県勤労訓練所等を一時利用する等、臨機の措置を講ずること

別紙様式

港湾及船舶造修関係工場労務需要調      庁府県

事業場名 職種別  現在数    備考

厚生省発勤第216号   昭和201013日    厚生省勤労局長

警視総監・地方長官 殿   

港湾荷役力及船舶等造修能力確保に関する件依命通牒

標記の件に関し、昭和20年勅令第542号(ポツダム宣言受諾に伴ひ発する命令に関する件)に基き、別添の通り、1010日厚生省運輸省令第1号公布施行相成候処、右は、連合軍指令部より指令の次第もあり、我が国船舶の最大限利用を確保する為、港湾荷役力並に船舶の建造修繕等に付、全面的能率発揮の措置を執りたるものに有之候條、船舶輸送力維持増強の重要、且、急務たるに鑑み、之が実施に当りては、左記各号に依ると共に、特に海務局等関係機関との連絡を密にし、以て本施策の急速且萬全なる遂行を期せられ度、此段、及通牒候也

   記   

1、一日24時間作業の実施に当りては、個々の従業者の就業は三交替制を妥当とし、時間中適宜休憩時間を設け、従業者をして過労に陷らしめざるが如く配意せしむること

尚、右三交替制の実施に付ては、労務の充足状況を充分勘案の上之を為すものとし、濫りに之を為すことに依り事業遂行に支障を来さざる様、特に留意せしむること

2、就業時の転換は、概ね一週間毎に行ふを可とするも、交替に依り一時的にも作業の断絶を来さざる様、充分留意せしむること

尚、出来得れば、従業者に一月3日乃至4日の休日を与へしむること

3、従業者の欠勤は、真に已むを得ざるものの外之が絶無を期し、之が為、戦時中執りたる諸措置を斟酌し、凡ゆる措置を講ずること

4、従業者の寄舍の設備其の他受入施設の整備に付、事業主に対し、特段の指導並に便宜供与を為すと共に、食糧加配其の他、作業用物資斡旋に付、各方面と連携の迅速適切なる措置を講ずること

5、従業者の通勤を便ならしむる為、交通機関の利用に意を用ひ、特に深夜作業の交替時の交通機関確保に努め、場合に依りては、電車、ばす等の臨時運転の措置を講ずること

6、第1号乃至第4号の事項、特に第3号の事項に付、要すれば省令第3條の規定に基き、必要なる命令を為すこと

7、賃金給与に関しては左に依ること

(1)従前の公定賃金、協定賃金又は賃金規則に依るを原則とするも、地方の実情に応じ手当の増額新設等の必要ある場合は、法令又は協定に基く許可又は認可を為すこと

右の場合の許可又認可の内容を遅滯なく当局に報告すること

(2)関係者と常に密接なる連絡を保ち、必要なる場合、直ちに前号に依る措置を講ずることとし、第3條に基く命令は原則として之を為ざざること

本件実施の状況に付、隨時(概ね月1回)当局に報告すること

 

(参考) 連合国最高司令部 ApO5001945928

AG5601945·9·28

覺書宛 日本帝国政府

仲介機関 東京中央連絡事務局

主旨  非戦闘日本船舶の利用

1、日本政府は、使用可能なるあらゆる非戦闘船舶の最大限利用を確保する為に、左のもの-但しそれに限らないを含む-必要なるあらゆる手段をとるべし

(1)すべての船工場及び船舶の修繕、非戦闘船舶の建造、艀曳船、漁船其の他の船舶の建造又は修繕に従事せる其の他の事業場は、一週7日、一日24時間就業なすことを命令すべし

(2)すべての荷物船の積荷、積卸は一週7日、一日24時間継続すべきことを命令すべし

(3)日本船舶の最大限利用を達成する目的の為に、適正なる労働を確保し、且つ、欠勤を防止するに必要なる措置をとるべし

2、本命令の受諾は、最高司令部宛之を為すべし

副官·中佐   ハロルド·フエア