労働運動つぶし/西成分会に別件逮捕(関西救援連絡センター 17号 1971.8)
7月23日、西成分会の藤野委員長をはじめ4名に、メーデーデモにおける公妨・傷害というまったく事実無根の逮捕状がだされた。
これにより組合員3名が逮捕されたが、1名は、毎朝6時に仕事に行くからと、不当にも午前3時半に私服が自宅に押しかけ、また、藤野委員長に対しては、じん臓病で入院中であるにもかかわらず、私服が病院にまで押しかけて取調べを強要し、ドクターストップがかかるまで4時間半も尋問を行なった。藤野委員長の逮捕状は撤回されたが、三泊四日の段階で3名のうち1名が不当にも勾留決定となり、現在接見禁止の状態で大拘に勾留されている。
西成では、手配師、その横行を容認している愛隣総合センター・行政当局大阪府に対して、労働者としての正当な権利獲得の闘いが展開され、要求が闘い取られてきた。5月25日には、辰巳商会に対して労働契約違反抗議・労働契約遂行の団交を行ない、7月20日には、契約したにもかかわらず一方的に不採用にした福山建設鉄工に対して休業補償の要求をして獲得している。また大阪府に対しても夏期一時金支給を中心とした団交を行ない、府の無責任行政を追及してきている。
このような鋭い闘いを通じて西成の労働者が権利意識に目覚てきていることに恐怖した警察・権力は、個々の闘いに不当介入し弾圧するばかりでなく、正当な労働運動をつぶそうとはかってきている。
今回の別件逮捕の意図は、まさにこの労働運動圧殺・組合壊滅であり、組合員の正当な活動を根絶やしにした上で不当労働行為に目をつぶらせようと意図したものである。
かかる権力側の不当弾圧に対して、西成分会では、即刻次のような声明をだし、権力に対する抗議を行なっている。
声 明
藤野委員長を始めとする三人の組合員の逮捕は、警察の悪質な組合つぶし策動である。否、それだけにとどまらず、この逮捕は釜ヶ崎労働者が見事に団結して、初めてメーデーを獲得し、労働者の権利意識を高揚させたことを、一切無に帰さしめようとする策動であり、敵対であり、不当なる弾圧である。
警察は、すぐさま、労働者の権利獲得、生活向上の行動に介入することをやめ、委員長以下3人をただちに釈放せよ。西成分会は、再度訴える。警察は法を犯し、労働者を苦しめ、泣かしている。ヤミ手配師・暴力手配師を取りしまれと。行政は、就労を確保するよう自らの本分を実行せよ。
今日まで、西成分会は、労働者としてのあたりまえの権利、人間としてのギリギリの生ける権利を獲得する闘いを行なってきた。今後もあくまで、この立場を保持し、いささかの権利侵害をも見逃さず闘ってゆく。西成分会は、敵のかくらん、組織破壊を断固排除し、団結を強める闘いを進める。釜ヶ崎日雇労働者、今こそ団結しよう。
1971年7月24日 全港湾建設支部西成分会(大阪城No.342より)