1910(明治43)年12月24日 大阪毎日新聞

煙草製造所     大阪市南北の下水工事

●烟草製造所
 煙草専売局大阪煙草製造所の工場本館は既に落成したるも 電気室は目下尚ほ工事中にて 明年4〜5月頃ならでは竣成せざる由なるが 電気室落成の上は刻み製造事業は一段の進捗を見らるべく 需要最も多き萩の如きは製造高倍加すべしと
今宮巻き煙草工場において昨年来試験中なりし巻き煙草製造機械は その後の成績頗る良く 只欠点と云うべきは紙の破れやすきにありて 百本に対して五本位の割合に不良品を生ずれども これとて漸次其の率を減じつつあれば 今一段の工夫を凝らさば職工の数を大いに減じ得べしといふ
(補足:今宮煙草工場は今の萩之茶屋小学校)

●大阪市南北の下水工事
 曾根崎新地幹線の土砂運搬に使用すべき新式架空索道購入案は 新年早々の市参事会に提出する筈なるが 諸経費は約六千円余にして 多分 他に競争なき東京玉村式機械を注文するならんと
 該索道は 地上より高さ約三十尺の両端に 鉄製支塔を建て 之より鉄索を架し 之に付属せる 土砂約半噸を容るるに足るべき鉄製釣函十箇を 交代にて 架空鉄索上を 搬車に依り 一定の土砂置き場に運搬するものにて 明年4月より運転すべく 之が動力には 市営電鉄の電力を 渡辺橋より引きて使用する由
▲福島曾根崎線(阪神電鉄との共用の内出入橋線より福島中5丁目連絡点に到る350間の下水工事請負は 24日大林組外5人の指名入札を行い 明年3月迄に竣工せしむる筈
天王寺公園柵外地に新市街を設定するにつき 土地整理上の下水工事費は約1万円余の予算にて 多分 1月より着手し 3月迄に竣工せしむる筈