西成区史 第一編 総説

第一章 西成区の誕生

本区は大正14年4月1日、大阪市の第2次市域拡張によって初めて成立した。すなわち当時大阪市は周囲部の発展から、周辺の東成・西成両郡の44力町村を一挙に併合し、それまで旧市が東・西・南・北の4区に分れていたのに対し、これを8区に増区し、同時に新たに編入した44力町村の地域を、5区の行政区画にわけることとした。かくて生まれたのが西成区で、それまでの新編入5区の旧村名を示すと、つぎの通りであった。

   区名       編入町村名

西淀川区 西成郡 伝法町・鷺洲町・歌島村・千船町・稗島町・福村・川北村
東淀川区 西成郡 中津町・豊崎町・西中島町・豊里村・大道村・新庄村・中島村・
         北中島村・神津町

東成区  東成郡 生野村・鶴橋町・中本町・神路村・小路村・城東村・榎本村・
         鯰江町・榎並町・城北村・古市村・清水村

住古区  東成郡 天王寺村・平野郷町・喜連村・北百済村・南百済村・田辺町・
         
依羅村・長居村・住吉村・墨江村・安立町・敷律村
西成区  西成郡 今宮町・玉出村・粉浜村・津守村

しかし新区の区城や区名が決定するまでには各区とも相当に紛糾があり、おおむねつぎのような経過をたどった。

内申案    市会に対する諮問案  市会答申案  府参事会決定案

名称  地域    名称  地域  名称  地城   名称  地城

第一区 下淀区 伝法・鷺洲・ 姫島区 同上  同上  同上  西淀川区 同上

歌島・千船・

稗島・福・

川北

第二区 上淀区 中津・豊崎・ 中島区 同上  同上  同上  東淀川区 同上

西中島・豊里

・大道・新庄

・中島・北中

島・神津

第三区 城東区 生野・鶴橋・ 東成区 同上  同上  同上  同上 同上

中本・神路・

小路・城東・

榎本・鯰江・

榎並・城北・

古市・清水

第四区 阿倍野区 天王寺・平野 住古区 天王寺・平野  同上 同上 同上 同上

郷・喜連・北      郷・喜連・北

百済・南百済      百済・南百済

・田辺・依羅      ・田辺・依羅

・長居・住吉      ・長居・住吉

 ・墨江・安立

 ・敷津

第五区 住江区 今宮・玉出・ 住之江区 今宮・玉出・ 西成区 同上 同上 同上

粉浜・津守・       粉浜・津守

墨江・安立・

敷津

右によって知られるように、はじめ大阪市が府当局に内申の際は住江区であり、その区域にも一部東成郡の区域が入っていたが、府当局から市会に対する諮閻の際に住之江区と改められ、区域も西成郡の四力町村に改められた。同時に第3区の原案城東区が旧郡名東成を残して東成区と改められたため、市会答申で西成郡の区名も残存すべきであるとして、西成区の名となり、これが最後的に決定されることとなった。

元来東成・西成の郡名は、奈良時代の元明天皇の和銅6年(723)郡郷の名は好字であらわしかつ二字を用うべしとされたことによって、それまでの難波大郡、難波小郡が東成(あるいは東生)西成の郡名に改められたものである。そしてその際の境界はおおむね上町台地の屋稜線であった。しかし当時の西成郡は小郡の名が示すように、その区域は未だ小であったが、年月が経るに従い、陸地造成並びに市街地の形成は屋稜線の東側より甚だしく、今日の大阪市の殆んど全区がこの地域に発達した。従って西成郡の区域としては必ずしも現在の西成区域にとどまらなかったが、大正14年の大阪市編入当時、北部の西成郡諸町村が、東淀川・西淀川の両区に分割され、南部の諸町村においてこの由緒ある西成の名を残すべしとされたためであった。

かくて大正14年本市の行政区画は全市で13区となったが、その後昭和7年10月1日東成区より旭区、港区より大正区が分区され、一たん15区となり、さらに昭和18年4月1日に現在の22区制に編成替えされることとなった。従ってそれまでの西成区と、18年以降の西成区とは、区界において変動があり、区面積もつぎのように変動した。

大正14年第1次西成区成立当時  7.20方キロ
昭和18年第2次  〃      7.41方キロ

備考 区面積については、国勢調査施行の際数次建設省国土地理院等によって変動発表をみているが、現在の本区面積は7.42方キロである。

1 大正14年4月第1次西成区発足当時の町名

今宮町内(旧大字名のまま)
南吉田、北吉田、南神合、北神合、三日路、苔山、曳船、東萩、海道、甲岸、東入船、西入船、東田、今池、東今船、西今船、東皿池、西皿池、柳通1−7丁目、桜通1−8丁目、橘通1−9丁目、松通1−9丁目、梅南通1−9丁目、梅通1−9丁目、旭南通1−8丁目、旭北通1−8丁日、鶴見橋通1−8丁目、鶴見橋北通1−8丁目、長橋通1−9丁目、出城通1−9丁目、南開1−8丁目、中開1−6丁目、北開1−4丁目、花園、西萩、西四条1−3丁目、東四条1−3丁目の各町
津守村内は津守町、玉出町内は玉出町、粉浜村内は粉浜町

2 その後大正15年12月11日玉出町方面町名改称(昭和2年1月1日より施行)

潮路通1−5丁目、新開通1−4丁目、有楽町、干本通1−7丁目、松原通1−3丁目、南海通1−2丁日、田端通1−5丁目、玉出新町通1−5丁目、岸松通1−3丁目、玉出本通1−5丁目、姫松通1−5丁目、辰巳通1−3丁目

3 昭和2年11月19日粉浜町方面町名改称(昭和3年1月1日より施行

粉浜東之町1−5丁目、同中之町1−4丁目、同本町1−4丁目、同西之町1−3丁目の各町

4 昭和18年4月第2次西成区発足当時の町名

今池町、有楽町、花園町、西入船町のうち関西線南側以南、西今船町、西萩町、西皿池町、西四条1−2丁目、
同3丁目のうち関西線南側以南、海道町、甲岸町、田端通1−5丁目、橘通1−9丁目、
辰已通1−3丁目のうち都市計画道路平野柴谷線(予定線)北側以北、
玉出本通1−5丁目、玉出新町通1−5丁目、鶴見橋通1−8丁目、鶴見橋北通1−8丁目、
津守町のうち都市計画道路平野柴谷線(予定線)北側以北、
長橋通1−9丁目、中開1−6丁目、南海通1−2丁目、梅通1―9丁目、梅南通1−9丁目、柳通1−7丁目、松原通1−3丁目、松通1−9丁目、苔山町、出城通1−9丁目、旭北通1−8丁目、旭南通1−8丁日、桜通1−8丁目、北神合町、北吉田町、北開1−4丁目、岸松通1−3丁目、三日路町、南神合町、南吉田町、南開1−8丁目、潮路通1−5丁目、新開通1−4丁目、
東入船町のうち関西線南側以南、
東今船町、東萩町、
東田町のうち関西線南側以南、東皿池町、東四条1−2丁目、
同3丁目のうち関西線南側以南、
曳船町、
姫松通1−5丁目、千本通1−7丁目、粉浜東之町1丁目、同中之町1丁目、
同西之町1丁目のうち都市計画道路平野柴谷線(予定線)北側以北

5 旧西成区から新たに住吉区に編入された区域

辰已通1丁目、同2丁目、
津守町のうち都市計画道路平野柴谷線(予定線)北側以南、
粉浜町、
粉浜東之町1丁目のうち都市計画道路平野柴谷線(予定線)北側以南、
同2−5丁目、
粉浜中之町1丁目のうち都市計画道路平野柴谷線(予定線)北側以南、
同2−4丁目、粉浜本町1−4丁目、
粉浜西之町1丁目のうち都市計画平野柴谷線(予定線)北側以南、
同2−3丁目

6 旧住吉区から新たに西成区へ編入された区域

松田町1−2丁目、天神ノ森1−2丁目、天下茶屋1−3丁目、
桜井町のうち都市計画道路平野柴谷線(予定線)北側以北、木津川南土地区画整理道路第8号線(予定線)東側以東、
山王町1丁目のうち関西線南側以南、
同2−4丁目、
北加賀屋町のうち木津川南土地区画整理道路第8号線(予定線)東側以東及び同第7号線(予定線)北側以北、
聖天下1−2丁目