「釜ヶ崎」から「あいりん」へー行政機関取り決め
 報道機関にも協力呼びかけ

「釜ヶ崎という名をなくそう」15日開かれた大阪府公安委員会と、府、市、府警の西成対策三者連絡会議で同じ決議がだされた。新しい呼び名はそれぞれ「愛隣地区」「あいりん地区」となっているが、趣旨はいずれも、釜ケ崎という呼び名が持つ暗いイメージをなくし、特殊地域という観念を捨てようとしてい。これと同時に公安委員会は府警本部に対策委員会を置くことを決め、警察官の動員体制を根本的に変えるなどきびしい検挙主義で取り締まりにのぞむことになった。

西成対策三者連絡会議は15日午後2時から大阪市東区コクサイホテルで、山本茂大阪府労働部長、土谷正喜代府警防犯部長、関重夫市民生局長らが出席して開かれた。

同協議会の説明によると釜ヶ崎という地名は郷土史の中で明治時代に大字名としてでてくるが、居間の地区とは無関係。地元の入たちが、いつのまにか府道平野―尼崎線と南海本線、南海天王寺線にかこまれたデルタ地帯をこう呼ぶようになった。

あいりん地区は、東四条1〜3丁目、東入船、西入船、甲岸、海道、東萩、曳舟、東田、今池、東今船、山王1〜4丁目をさすことにしている。またことし中には東京の「山谷」も町名地番の変更で姿を消すことになっており、これで東、西のスラム街の名称が改まることになる。

同協議会はこのほか @投石の原因になる国鉄関西線、南海阪堺線軌道内の玉じゃりをなくしてコンクリートにすることを要望 Aたばこの密売や酒の密造に対して専売公社、国税局に取り締まりを望む B厚生省や建設省などが近く現地で会合して血のかよった政策をとるよう働きかける C今月下旬をメドに三者でドヤ街の実態講査をする調査班をつくることなどを決めた。

同日開かれた大阪府公安委員会は府警本部内に「愛隣地区治安対策委員会」を置くことを決めた。同委員会は養老本部長を委員長、松元警備、土谷防犯、門司警務各部長を副委員長、関孫各部課長を婆委員にする。さらに専門部会をつくり警察独自の立場で同地区の治安維持について検討する。同委員会発足と同時にこれまで使っていた「釜ヶ崎」という名称をやめ「愛隣地区」と改めるが、特殊地域という観念を捨てて検挙主義で環境浄化にあたる。

愛隣地区は山王地区と萩之茶屋地区にわけるが、こんどの騒動があった萩之茶屋地区(東入船、西入船、海道、甲岸、東萩、東四条、東田、今池、曳船各町)には簡易旅館269軒、労務者1万5千人が往んでおり、ヤミ手配師や暴力団がはびこっているので、徹底的に取り締まる。
1966(昭和41)年616日読売新聞朝刊(大阪)