【 平成5年1112月定例会常任委員会(民生保健)-1105日−01号 】

◆辻昭二郎委員 貴重な時間でございますので、かいつまんで1点だけお伺いをいたしておきたいと思います。

 毎年民生局の理事者の皆さん方が正月の時間をも割愛していただいて、懸命にご対策をいただいておりますあいりん問題でございます。もうそろそろ越冬対策もご計画に入っておられている時期ではなかろうかと思いますが、現在大変な経済不況に伴いまして、建設業の沈滞、こういうものに及ぼす不就労労働者が非常にふえてきておるように思っております。ところが東京都の山谷なり横浜の寿地域で調査をいたしますと、それほど労働者はふえていない、これはこのあいりん地域対策に乗じてどんどん全国的に集中をされているんではないかという思いがいたすわけでございます。聞くところによりますと、他の都市からいろんな労働福祉対策の相談を受けた人が、その都市から電車賃を支給されて、我が大阪の方へやってくるということも聞いております。こういう中に、特に最近は労働者が高齢化してまいりました。また病弱の労働者もふえておるようでございます。こういう対策を民生局がやっていこうといたしますと、この中に現在までの当該地域住民とのいろんな軋轢も生じてきつつございます。いままでは集中的な労働対策、民生対策というものはなされておりましたけれども、今後はあらゆる考え方に基づいて、これらの対策の一部分を分散していかないといけないんではないかと、この地域に集中をすることが、今後はかり知れないいろんな社会問題をかもし出すんではないかという、私心配をいたしております。この点について将来どういうお考え方で進んでいこうとなさいますか、ちょっと所信の表明をお願いいたしておきたいと思います。

◎門脇民生局福祉部長 今お話ございましたように、あいりんではこの労働者、非常に昨年、ことしともこの景気が回復せず、低迷いたしておりまして、労働者の就労の状況が思わしくございません。そういう中にありまして、このあいりんの労働者におきましても高齢、病弱というような傾向はますます進んでいる実態でございます。それと関連しまして、いわゆるホームレスというのが西成区はもちろんのこと、周辺区、浪速区ずっとそのへんの周辺区にもたくさんこのホームレスが、この近辺でも淀屋橋のとこを歩いてみたら、たくさんホームレスの方がおられる状況でございます。

 この問題は経済から発端をしているわけでございますけれども、本来は今お話ございましたように、全国から集まってくる。大阪はもちろん東京、横浜におきましても、こういう労働者の町が不況になるといろんなところから集まってくる。出稼ぎに来てそのまま帰れないというような実態、これはどこも共通する問題でございますけれども、この大阪のあいりんにおきましては、そういう方々が今申しましたような形で、最終的にはホームレスのような形になっておられるというのが実態でございます。ことしも越冬の時期を控えまして、決して好転するような状況はございません。私どもとしましては、この労働者の問題、基本的には全国的な問題でございますし、また、その労働と福祉の接点になる問題を含んでおります。そういう経済の不況をもろに受けるのは高齢者、病弱者ということになるわけでございまして、労働の問題はこれは大阪府の窓口でやっていただくということになるわけでございますが、民生局としましては、高齢者、病弱者という方々の福祉を担当するという局からいたしまして、どうしたらいいものかと、これは例えばいろんな他都市でもやっておりますけれども、食券とかどや券とか毛布とかいうようなことは、これは本当に一時的なことで、決して根本的な解決になるとは思いませんし、また、それに乗じて、単にそれを求めて集まってくるという人がふえるということで、根本的な解決にならないと思いますし、また労働者のそういう人権上の問題からしましても、やはり屋根のある下で、一定の指導をし、ケアし、心身ともにリフレッシュして自立していただく、または高齢のために働けない人は、それなりの適切な施設に入っていただくというのが、そういう労働者の人権上の立場からも好ましいと考えておりまして、そのためには施設をつくらなければならないということでございますが、この施設をつくります時には、福祉施設が当然地元のご理解をいただかないかんということになるわけでございます。現在そういうことで西成区内及び他区も含めて、そういう救護施設を中心とする施設を整備しまして、もちろんこの高齢、病弱という方が中心になるわけでございますが、そういうことで進めておりますけれども、長期的には今高齢化が非常に進んでおる中で、地方の方、もっと緑の多いとこ、そういうところにもどんどん施設をつくってまいりまして、高齢者の方はそういう緑の豊かなところで余生を過ごしていただくというのも非常に大切かと思います。そういう意味で今辻委員からお話のございました地方も含めてということで、今後とも施設の整備を図ってまいりたいと考えております。

 ひとつどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

◆辻昭二郎委員 今のお話でよくわかりましたが、いままではご承知のとおり、労働問題は大阪府、民生問題は大阪市と、そういう分担をしてきたわけでございますけれども、本当に現実としてはどこまでが労働問題でどこまでが民生福祉問題かという区別のつかないような、まことに混在した状態になっております。目下懸命に府市協調の形でお話をやっていただいておりますけれども、どうかひとつその力をさらに国の施策にまで伸ばしていただきたいと、ということはこれに該当なさる方が大阪市民ではありません。ほとんど全国から寄って来られた方、また自分の生まれ故郷をも名乗りたくないというような、そういう立場の方もたくさんおられるわけでございます。その地域としてはこれらの施策に対する責めを全部住民におっかぶしてきた、そういう大きな不満が今非常に高まっておりますので、どうか先ほどおっしゃいましたように、地域に適当に分散をして、そしてその施策が本当の実をあげられんように、全うされるように、ひとつ今後のご努力をご期待をいたしまして、もう答弁いりませんので、どうぞよろしくお願いをいたしておきます。