【 平成8年3月定例会常任委員会(財政総務・通常予算)-0319日−05号 】

◆柳本豊委員 いろいろと予期せぬ事態も予想されるわけでございますが、議会制民主主義、開かれた政治の基本は大切にしてまいりたいものでございます。

 市長室でいま職制を考えるとするならば、いま地方分権と言われる時代でございます。私は、東京事務所というのはもう少し何とかならないものだろうか。非常にこれから重要な役割を果たすのではないかと思っているところでございます。この点はまた、後日ご議論もさせていただきたいと思います。

 たいへん前置きも長くなりました。私もちょっとのどを傷めまして、本当に申し訳ございませんが、よろしくご傾聴いただきたいと思います。

 昨日、講談社の雑誌「フレンド」の問題について、松岡議員からも厳しくご指摘がございました。私も、当然西成区選出の議員でございます。この点について発言する責務があるわけでございます。なぜこのように西成区に対しての偏見が生じたかということを、この際皆さんと一緒に考えていただきたいと思うのでございます。

 昔から大阪は水の都として栄えたのでございますが、西成区も実は水と非常に因縁のあるところでございます。神戸には灘五郷というのがございまして、六甲山麓から流れてくる水を宮水と称しまして、酒造りの本場でございます。実は西成区も名水がございまして、生駒山麓から上町台地におりてきて、西成区のわき出るところの地下水、これは大阪でも最もすばらしい水である。

 こういうふうなことが言われておりまして、昔武野紹鴎と言いまして千利休の師匠でございますが、西成区で茶道を教えまして、そういうことで太閤秀吉も実は西成区に来ましてお茶をたしなまれた。こういうことでございます。いまもなお天下茶屋あるいは萩之茶屋と、こういう地名が残っているわけでございまして、昔から由緒正しい西成区である。そしてそこに住む人は、義理と人情に厚い、また温かい心の触れ合えるまちである。こういうように私はいつも誇りに思っているところでございます。

 また、近年はノーベル賞を受賞されました福井謙一さん生誕の地であり、青年時代をここで過ごしておられました。磯村市長も、少年期西成区でおられたということも聞いておるわけでございます。こういうように、由緒正しい西成区、どうしてこんなに偏見の目で見られるかということでございます。

 実は、昭和36年、釜ケ崎騒動がございました。これを契機としまして、こうした西成区に対する偏見の問題というのが出てきたのではなかろうかと思います。釜ケ崎というのは、実は浪速区水崎町に釜ケ崎という地名がございます。釜ケ崎というのは、西成区にはございません。浪速区に実は釜ケ崎という名前があったわけです。ところが、地名がいつの間にか南下いたしまして、釜ケ崎を今度は改めあいりんと言おう。そのあいりんが、実は西成だ。あいりんの前は釜ケ崎なんですから、あいりんも実は浪速区かいなと思ったら、そうじゃない。あいりんは西成区だ。こういうような言われ方をしております。

 昭和31年でございますが、この地域には萩之茶屋小学校、今宮中学校という学校がございます。萩之茶屋小学校は昭和31年、児童の数が1,341名おりました。今宮中学校は2,168名いたんです。それが平成7年現在では、萩之茶屋小学校は141名、今宮中学校が258名、ちょうど昭和31年でございますから大阪市の児童生徒の数というのは最盛期でございまして、現在はおそらく大阪市の児童生徒の数も45%から50%減っているということを聞いておりますが、この地におきましてはまさに90%減なんです。そして、地域住民もこの地域から離散していっているというのが現状でございます。

 この昭和36年のあいりん騒動を契機といたしまして、実はあいりん対策と称して全国から集まってくるところの日雇い労働者の対策を講じてこられました。もちろん、この日雇い労働者に関しての偏見というものは断じて許されるものではございません。ところが、あいりん対策、西成区のあいりん、何か西成区民とあいりんとが同じように錯覚をしておられるのが遺憾であるわけでございまして、西成区は西成区民のためにあるのでございまして、日雇い労働者のために西成区が占拠されてはいけないわけです

 ところで、総合計画21推進のための中期指針の20ページでございますが、私もこういう内容のものが出ているということも、冊子になってから実は見させていただきました。民生局の人が私のところへ、こういう内容のものを書いていただいたら問題ないんですが、本当にだれが書いたのかな。責任者出てこいと言いたい気持ちでございます。低所得者の福祉、あいりん対策。あいりんというと西成区民と日雇い労働者とが一緒になっているというようなイメージで、実は盛られておる。それが低所得者の福祉である。そうすると、私も西成区民でございます。失業、貧困、生活苦にあえいでいる人間ばかりの集まりだ。こういうような感じにとれるんです。

 「景気の低迷、高齢化などにより失業者の増加など問題が顕在化しており、市・府・府警によるあいりん対策三者連絡協議会のもとにあいりん総合対策検討委員会を設置し、現行施策の点検、中長期的なあり方などを検討し、対策を推進する。また、救護施設についても要保護者の増加状況を勘案しつつ超過定員の解消に向けて整備を図る」それからホームレス対策。こういうようなことを書いておられます。

 私は、この文面はまことに遺憾であると思っておりまして、何とか工夫をしていただきたい。いわゆる日雇い労働者の問題、低所得者の福祉、あいりん対策じゃなしに、いわゆる日雇い労働者の問題、そしてその中で市・府・府警も、あいりん対策とこういうことを入れないで、市・府・府警による三者連絡協議会のもとでいろいろと対策をしていく。対策とは何か。就労問題、民生福祉の問題、あるいは救護施設の増設の問題、こういった観点でこれから計画をしてまいりますと、こういうような文面であれば私も納得するわけでございます。

 私の言っていることにご理解をいただけるならば、一つご答弁をいただきたいと思うものでございます。

◎永田市長室副理事 お答えさせていただきます。

 総合計画21推進のための中期指針におきますあいりん対策についての認識ということだと考えておりますが、委員ご指摘のように、中期指針におきましてはあいりん対策といたしまして、地域住民の方々全般にかかわる施策ではなくて、日雇い労働者の方々に対する施策として認識いたしております。そういう枠組みのもとで、大阪府、大阪市、大阪府警の三者の協議のもとで日雇い労働者の方々に対する就労問題、それから健康・福祉等の問題について、先ほどご指摘ありましたように、中長期的なあり方を検討して対策を推進するという考え方で記述させていただいております。

 委員からいまご意見いただきました。そういう趣旨も十分踏まえまして対処させていただきたい。こういうふうに考えております。よろしくお願いします。

◆柳本豊委員 雑誌「別冊フレンド」に見られるような西成区に対するところの偏見というものを一掃し、いまこそ西成区の名誉のために、総合計画21には西成区民が明日への自信を持てるようなものであってほしい。イメージチェンジが図れるようなものであってほしいと、実は私は願うわけでございます。

 そこで、たとえば集客都市づくりとして、この際新今宮南部地域開発構想、是非検討していただきたいと思うわけでございます。新今宮駅というのは、実はJRあるいは南海新今宮駅がございます。あるいは国道43号線、23号線に囲まれました大阪市の中でも中央部でございます。この中央部が、実は日雇い労働者の基地として存在しているということは、大阪市のこれからの都市づくりに対してたいへん問題があるのではないかと思うわけでございます。

 実はこの集客都市づくり、新今宮南部地域構想につきましては、2年ほど前でございますか、計画消防委員会でもこの点について発言もさせていただきました。ちょうど関西新空港開港目前にしてでございますが、外国から来るお客さんが大阪に着いても泊まるホテルがない。空港の名称も実は関西空港だ。関西空港というのは大阪だけじゃないんだから、大阪を素通りして京都や奈良のホテルをさがすようじゃ困るじゃないか。やはり外国から来たお客さんは是非とも大阪で泊めなければいけない。

 しかも外国のお客さんというのは、1万円や2万円という高い料金で宿泊される人ばかりじゃないんです。大多数の人は3,000円や5,000円の宿泊料金で大阪で、日本で泊まりたい。こういう方が多いわけでございます。ところが、残念ながらそういうホテルが大阪にはないわけでございまして、そこで西成区の簡易宿泊所を活用したらいいじゃないかと、計画消防委員会で申したわけでございます。

 ところが、計画局の方が非常にご尽力いただきまして、スケッチをしていただいたり、あるいはそこでビジネスホテル構想をいま検討していただいておりまして、私は本当に感謝いたしているところでございます。計画局の方、来ていただいておりますか。

 もう一つ、市長の母校であり、教鞭をとっておられた大阪市立大学の問題です。私もよく言いました。大阪には実は若者がいない。若者と言ったらだれか。これはもう、文句なしに大学生だ。大学生が、実は大阪にいない。めぼしい大学は、大阪市立大学だけではないか。阪大も出ていくわ、関大も出ていく。大阪市内にある大学は大阪市立大学だけである。

 ところが、いまの大阪市立大学の学生の数は、現在五千数百人ですね。これでは若者の集まるところの大阪ということは言えない。若者が集まり、そしてこれから、阪神大震災の後いわゆる防災ボランティアだとか、あるいはオリンピックを目指すところのオリンピックボランティアというのは、まさにこれら学生に頼らなければいけないんですが、学生がわずか5,000人少々であれば、将来のボランティア活動にも影響があるわけでございまして、市立大学の学生を10倍にしなさい。市立大学を5万人、6万人に増やしなさいというようなことを再三にわたって委員会でも提言をしてまいったのでございますが、工場等制限法の問題があるということでございました。

 しかし、いよいよ工場等制限法も抜本的な改正というものが、実は見えてまいりました。私はこの際、市立大学学生というものは10倍にしてほしいと思うのでございますが、そういうときには当然下宿先も必要になるわけでございますから、西成に来なさい。簡易宿泊所を下宿街にしようじゃないか。そうしますと、西成区のイメージが上がります。学生のまち、あるいは外国からのお客さんのビジネスホテルのまち、こういうような感じで集客都市づくり、新今宮南部地域開発構想の策定が是非必要であると思っておるのでございますが、ご理解あるご見解をいただきたいのでございます。

◎春元計画局計画部地域計画課長 お答えいたします。

 委員ご提案の夢のある集客都市の実現に向けた開発構想についてでございますが、公共主導による道路、公園等の都市基盤の整備とは異なり、いわゆる面の中の整備とも言える民間宅地内の開発整備をどうするかということにかかわってくるわけですから、民活という視点におけるまちづくりが必要となってまいります。従いまして、地域住民の方々が自分たちのまちをどうしようかという機運の盛り上がりがまちづくりへの大前提になると考えております。すなわち、住民参加型のまちづくりが重要になってまいります。

 一方、行政の中でも現在民生局を中心に関係局が集まり、学識経験者や関係機関と協力しながら総合対策検討委員会を設け、この地域の中長期的なあり方についてすでに検討を始めております。ここでは、都市計画、環境整備、雇用、福祉、保健医療、社会教育など、まちづくりを含め総合的に取り組むべく検討が進められております。

 このような行政での取り組みもございますが、まちづくりはそこに住む人々がわがまちをこうしていきたいという自然発生的な意思を出発点としてまちづくり構想を取りまとめていく市民と行政との非常に道のりの長い共同作業でございます。そのため、地域特性を生かしたまちの活性化などについて、地域にお住まいの住民の方々がまちの将来を自ら考え、まちづくりに参加していただくことが肝要となってまいります。

 そのため、地域の方々によるまちづくりの組織化を支え、まちづくりに関する情報提供やアドバイザーの派遣など、まちづくりを円滑に行う仕組みづくりやまちづくり組織に対する支援、助成のあり方など、地域の皆様とともに歩むまちづくりの推進に向けて今後研究、検討してまいりたいと考えております。

◆柳本豊委員 検討していくということでございます。期待をいたしております。

 この新今宮駅南部地域と言いますのは、前に大阪府立労働センターがございます。また、大阪市立更生相談所、あるいは社会医療センター、そして簡易宿泊所がたくさん建ち並んでいるわけでございます。このような状況をもって西成区を風刺したり、あるいは偏見が生じてくるだろうと、私は思うわけでございます

 そこで、最終的には大阪府立労働センター、是非とも移転をしていただきたい。堺でも結構でございます。もう少し海のほうへ労働センター、労働者のための施策、そこだけの施策を考えていくべきじゃないかと思います。また、毎年やっておられるところの越年対策事業、これも速やかに終息をしていただきたいと思うのでございます。

 そして、何よりも西成区民の名誉のために、西成区民の皆さんが本当に住んでいてよかったと、こう思えるようなまち、あるいは子供たちや孫たちにも誇れるように、そして区民が明日への自信を持って生活ができるように、いまこそ新今宮南部地域開発構想の立案と推進を期待いたしたいのでございますが、市長のご決断を賜りたいと思うのでございます。

◎磯村市長 新今宮駅南側の一帯につきましては、かねがねご承知のとおり、数多くの日雇い労働者の方々が集まっておられまして、大阪府、大阪市、大阪府警が三者の連携のもとに日雇い労働者の生活の安定と環境改善の積極的な推進を図るために、いわゆるあいりん対策というのを実施してきたわけでございます

 ところが今日、景気の低迷や日雇い労働者の方々の高齢化によります失業者の増加などによりましてさまざまな問題が顕在化してまいりまして、その解決に向けて、労働行政を担当いたしております大阪府や府警と協議しながら、総合的な取り組みを進めていく必要があると考えております。

 と同時に、委員のご指摘のとおり、まちづくりを進めていくうえでは地域住民の方々に夢を持っていただくことが重要だろうと思います。今回の「別冊フレンド」の一部の記述について、西成区に対して誤ったイメージを抱かせる内容であって、私もこれは大阪市全体にかかわる重要な問題として受け止めておりますが、どうも情報というものが偏った一人歩きをしていって、特に実情を知らない方々に誤った印象を与えるというのは非常に困ったことだと思っておりますので、このようなことが起こらないように全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 西成区は、委員が指摘されましたように、非常に歴史のあるまちでございますし、人情味豊かな、本当に大阪らしい庶民文化のまちとして発展してきたわけでございます。特に新今宮駅の南側は交通の便にも恵まれておりますし、今後の大阪市全体のまちづくりを考えていくうえでも重要な地域の一つでございます。

 私は市政の基本として「住んでよかった大阪市、来てみてよかった大阪市」と申しているわけでございますが、これは今後集客都市として都市全体の活力を支える基盤づくりを図りますとともに、市域全体にそれぞれの地域が、その特性を生かしながらいきいきと魅力あふれるまちとなるよう、地域に密着したきめ細かなまちづくりを進めていくことを大きな目標としていこうと考えておるからでございます。

 私は、「住んでよかった大阪市」という言い方をしますのは、よく世論調査などにありますが、住んでみたいまちはと言って名前があがってくるまち、それももちろん魅力があるんですが、そういうムードで住んでみたいと思うまちではなくて、そこで暮らしている方々が本当にこのまちで住んでよかったなと思っていただけるような実質のある、そういうまちづくりをしていきたいと考えているわけでございまして、そうした観点から、ご指摘の新今宮駅南側一帯のまちづくりにつきましても、地域住民の方々の声を大切にして、皆さんのご理解とご協力を得ながら、21世紀に向けてどのようなまちづくりが可能なのか、十分に研究検討してまいりたいと思っております。

◆柳本豊委員 非常に明快で、そして温かいご答弁をいただきました。本当に私も感謝をいたしております。松岡議員、よろしゅうございますね。

 時間もございませんので、市長もあんまりここにおとどめするわけにもまいりません。45分ぐらいまでおつきあいをお願いしたいと思います。

 労働行政についてお伺いいたしたいと思います。

 いまあいりん対策の中で、実はこれまで労働行政というのは大阪府のものであって、大阪市のものじゃないんだと、こういうような感覚で我々これまで通ってきたわけでございますが、あいりん対策の中で日雇い労働者に対する民生福祉対策、これは私は民生福祉対策じゃないんだ。これは労働対策である。しかも大阪市が、実は民生福祉対策と言いながら労働対策をしているじゃないかということをよく言うんですが、しかし日雇い労働者の民生福祉対策なんだと言って、頑として民生局あたりは言い張るわけでございます。

 ところで、本当に労働行政というのは大阪市ができないのか。できない理由があるのか。地方自治法においてはどのように位置づけられているのかということが一点と、もう一点、ついでにお伺いいたします。

 戦後、日雇い労働者、にこよんと言われていた時代に、失業対策事業を大阪市がやったという偉大なる実績があるわけなんですが、あの失業対策事業というのは一体どういう経緯でできたのか。そしていまどうなっているのか。合わせて2点、お伺いいたしたいと思います。

◎松村総務局行政部行政調査課長 労働行政につきましてのおたずねでございますが、労働行政と一般に呼ばれておりますものには、労働基準行政を初めといたしまして職業安定、あるいは職業能力開発、また労政、労働福祉といった事務がございます。

 また、その執行につきましては、特にこの事務が全国的な統一基準の設定ですとか、あるいは労働力需給の広域的調整などが要請されますことから、国において直接執行しているもののほか、多くは地方自治法などに基づきまして、都道府県知事が国の機関委任事務として執行しております。こうした実態面から見ますと、都道府県行政であると言える側面もございます。

 しかしながら、一部の事務につきましては市町村においても執行されているものもございまして、大阪市におきましても高齢者総合相談情報センターでの高齢者に対する無料職業紹介等や、シルバー人材センターでの短期間就業機会の提供など、職業安定行政に関連した事務を行いますほか、勤労青少年ホーム、あるいは労働会館など、勤労者福祉施設を設置運営しているところでございます。

◎京極総務局行政部文書課長 2点目の失業対策事業の取り組みについてお答え申し上げます。

 失業対策事業につきましては、昭和23年の暮れから始まりました企業の合理化に伴います多数の失業者を救済することを動機にいたしまして、昭和24年に制定されました緊急失業対策法に基づく事業でございまして、政策的に雇用機会を創出することを目的として、国、都道府県、あるいは市町村が事業を実施し、失業者を就労させるものでございます。

 本市におきましては、法律施行時から失業対策事業に取り組み、その所管組織として昭和24年には民生局に臨時失業対策委員会事務室を設置いたしました。また昭和29年にはこの事務室を民生局の失業対策課といたしたところでございます。その後、高度経済成長期に入りまして、一般の雇用機会が増大し、失業対策事業の果たす役割も減少してまいり、さらには事業対象の失業者も限定されましたことから、平成2年には本市におきます失業対策事業が終息し、その所轄組織につきましても順次縮小、廃止したところでございます。

◆柳本豊委員 今日では雇用問題、労働行政というのは大都市の果たさなければならない重大な責務であると思っております。先ほども地方自治法の改正がございました。都道府県の機関委任事務と言われておりますけれども、需要と供給の必要のある大阪市のような大都市においては、運営することができるのではないか。こういうようにも思っております。

 戦後復興から立ち直るために、失業対策課という実績もあります。また、あいりん対策で見られるところの日雇い労働者に対するところの民生福祉事業としてのいわゆる労働対策という実績もあります。そして今日では、新卒の採用において非常に大きな就職難が社会問題でございます。あるいは高齢社会と言われる時代、高齢者の就労問題を放置するつもりなのか。新卒の就職問題、あるいは高齢者の就労問題など、大都市大阪が果たさなければならない雇用問題、労働行政というのはますます重要になってくると思いますが、市長の労働行政に取り組むところの姿勢を、この際伺っておきたいと思います。

◎磯村市長 最近の厳しい経済環境のもとで、若者や高齢者を初めとして雇用問題が社会問題化していることは十分に承知をいたしております。職業安定行政につきましては、国の機関委任事務として主として府が実施しておりますので、大阪市ではどうもというようなことを折々耳にすることもございますが、地方分権を唱えている大阪市が府県の仕事だったからといってこういう問題を逃げるのはよくないというのが私の考えでございます。

 市民が安心していきいきと暮らせるようにすることが基礎的な自治体としての大阪市の基本的な責務であるということを考えますと、雇用問題も決して見逃してはならない重要な課題であろうと考えております。

 このような課題を踏まえまして、大阪市が果たすべき役割を十分に念頭に置きまして、中小企業の振興、ニュービジネスの育成など、大阪経済の活性化を図る施策を進めますとともに、今後とも公共事業の積極的な推進を図り、さらに工夫を重ねまして直接雇用を創出するなどして、市民が安心して住み、働くことができる大阪市の実現に努めてまいりたいと思っております。