【 平成10年12月臨時会常任委員会(民生保健)-12月16日−01号 】
○仲山忠男委員長
請願第47号、路上生活者に対する赤痢予防対策の強化及び各区の保健所の存続と機能の拡充を求める請願書外21件を一括して議題といたします。
それでは、理事者の見解を表明願います。
◎ 藤井環境保健局長
初めに、請願第47号、路上生活者に対する赤痢予防対策の強化及び各区の保健所の存続と機能の拡充を求める請願書についてでございますが、あいりんにおきますこのたびの細菌性赤痢の発生状況につきましては、10月23日に最初の患者が発生いたしまして、12月15日現在の患者数の総計は94名となっております。環境保健局では患者の立ち寄り先及びその周辺の消毒を行いますとともに、本市の関係各局で組織いたします赤痢防疫対策連絡協議会を通じまして、情報を伝達し、周辺の公衆トイレ・道路・公園等の消毒、希望される方への消毒剤の配布などの対策を講じてまいりました。
医療の面では、社会医療センターを初め、周辺の病院に対しまして状況の説明と治療の徹底を依頼いたしますとともに、大阪府医師会等を通じまして、各医療機関への周知も図ってまいりました。また、下痢症状のある者に対しまして、積極的に疑似赤痢の診断を行い、総合医療センターを中心に府下の伝染病院にも収容し、患者に対する早期治療に努めてまいりました。さらに、日曜・休日など社会医療センターでの外来診療が行われていない時間帯につきまして、医師・保健婦などからなる医療チームを同センターに派遣し、下痢患者に対する治療を実施してきたところでございます。
また、多くの方が飲食されます炊き出し等の衛生確保につきましても、職員が現地に出向いて手洗いの励行や、食器類の洗浄・消毒について指導するなど、感染の予防に努めているところでございます。市民の方々に対しましては、予防策などを記載した啓発ビラを作成し、周辺5区の全家庭に回覧・配布を行いますとともに、保健所・区役所・あいりん労働福祉センター・小中学校などの公共施設でも手洗いの励行などを呼びかけるビラの掲示を行って、啓発を進めてまいったところでございます。
感染源・感染経路の特定につきましては、患者から喫食状況、トイレの使用状況、行動状況等に関する詳細な聞き取り調査を行いまして、その結果をもとに地図や対象リストを作成いたしまして、分析を行うなど、究明に努めており、今後も菌のDNA分析を行うなどの努力を継続してまいります。
いずれにいたしましても、あいりんにおきます感染症対策につきましては、地域の公衆衛生の向上、環境の整備が必要であると考えておりますので、引き続き本市関係局を初め、大阪府など関係機関への働きかけを積極的に行ってまいります。今後とも感染症対策につきましては、本年4月に設置いたしました感染症対策室を中心に、感染症の未然防止と拡大の阻止をより一層効果的に行えるよう、地域保健体制の充実・強化を図ってまいる所存でございます。
◆関根信次委員 私は請願の47号、路上生活者に対する赤痢予防対策についての請願と、それから後ろの方の陳情 104号、乳幼児医療費無料化制度の確立を国に求める意見書を本市会で採択をしてほしいということ、それから陳情 107号、改正児童福祉法施行実施および1999年度予算編成にともなう国への意見書を求める、出してほしいという、そういう陳情書3つについて、若干質疑をしておきたいというふうに思います。
◆関根信次委員
それではもう1件、請願47号です。これは、路上生活者に対する赤痢予防対策の強化と、今回は保健所を守る大阪市民の会の方から出ている。やはり、赤痢対策で保健所の役割は非常に重要だったというのは今までの論議の中でも私たち要求をしてきました。そういう中で、請願項目が7つ、いずれも上がっておりますが、一々取り上げて論議はしませんが、全体として非常に大事になっているということを指摘をしておきたいのと。それから1点お聞きをしておきたいのは、2回にわたって集団赤痢が発生しているのに、いまだに発生原因が明らかにならない、特定されないと、これ一体どこに原因があるんですかね。さっき、対策を講じるというふうにおっしゃったけれども、発生源、2回にわたる集団発生の中でね、発生源を特定できない中で、どう対策を強化するのか、方向は合うてるのか、大丈夫かと、こういうことにもなるわけですが、何でなんでしょう。
◎阪上環境保健局感染症対策室長 お答え申し上げます。
法定伝染病の場合、特に赤痢といいますのは、非常に少数の菌でも感染し、発病します。したがいまして、赤痢の場合、特に1匹から10匹もあれば十分に発症するというふうに言われておりまして、こういう法定伝染病の場合、当然感染源を見つけることが1番の眼目ではございますが、私ども今までやりました前回及び今回の集団赤痢につきましても、感染源の特定の目的でやりましたふき取り調査、あっちこっちのふき取り、あるいは原因食品の追求をやりましても、残念ながら菌は見つかっておりません。これは別に何ら驚くことではないという報告が過去にも幾つもございまして、こういう少数の菌数で発症する場合には、感染源の特定が非常に難しいということはもう学問的にもよく知られております。したがいまして、現在のところは感染源は患者さんの行動範囲及び患者さんが何を食べたか、どこをどう動いたかというようなことで推測して、状況証拠から推測しているというような状態でございます。以上でございます。
◆関根信次委員 そういう原因解明で出てくる対策とはどういうもんですか。
◎阪上環境保健局感染症対策室長 お答え申し上げます。
ですから、感染源に対しましては、感染源と思われる、これは推測でございますけれども、感染源と思われるところに対しては頻繁に消毒をする、あるいは感染源であるかもしれない患者さんはできるだけ早く見つけて治療の対象になっていただく。したがって周辺の医療機関に対しては、できるだけ早く下痢ないしは赤痢と思われそうな症状を呈している患者さんを早く見つけていただいて、疑似赤痢として早期に収容して治療の対象になっていただくというようなことでございますし、それから感染経路に対しましては、当然でございますけども、こういう方々は現在のところは移動されますので、これについては今のところ、下痢症状を呈している方は入院ないしは治療の対象にはいたしますが、それ以外は検便を促すというようなことで、できるだけ早く菌を持っている方を見つけるというようなことしかございません。
◆関根信次委員 ようわからん話ですね。赤痢にかかった患者さんが路上生活者というのははっきりしているわけですが、どこでどういう食事をしたのが原因で、食事が原因だというのははっきりしてるようなんですが、どこでどんな形でとった食事が感染経路になってるのか、その辺はいかがなんですか、はっきりしてるんですか、それ。
◎阪上環境保健局感染症対策室長 お答え申し上げます。
これも推測でございますが、前回の集団赤痢につきましては、一日当たりの患者数が1人ないしせいぜい四、五名という程度でございまして、それがだらだらと長く続くという形をとりましたので、これは恐らくは便所あるいは水道の手洗いですね、あるいは水道栓からの人から人への感染であろうというふうに推測をしております。
今回の集団赤痢につきましては、一日当たり最高10数名の患者が出ておりますので、今回、しかも最初に大きな発生のピークというのがございましたので、今回につきましては、恐らくは何らかの食品が原因であろうというふうには推測をいたしております。ただし、ほとんど実際に発症された方は福祉労働センター周辺におられる方々でございまして、周辺で物を買って食べるということをほとんどされておられない。つまりいわゆる炊き出しに依存している方々でございまして、あの人たちが食べておられるものといいますと炊き出しが大部分でございます。ですから、普通の食中毒と比べまして、これは余計なことでございますけども、非常に食べ物の調査は簡単でございまして、炊き出し以外にはほとんど食べておられないということでございます。そうしますと、炊き出しというのは、全部火を通してるわけでございまして、炊き出しそのものは菌が、仮に初めに入っておっても、それで発症するということは考えられないわけでありまして、そうなりますと、これだけ大きな、大きなといいましても10数名程度1日に発症する程度の原因になり得るものということになりますと、炊き出しの食器あるいはお箸類ということになろうかと考えております。したがいまして、先ほど委員御指摘になりましたように、感染経路の遮断という意味で、食器の洗い方に至るまで感染症対策室から参りまして、直接洗い方その他について指導をいたしたというような経緯もございます。以上です。
◆関根信次委員 途中の話でありますから、結論的なことは私も言える立場ではありませんが、しかし、どちらにしてもこの請願書にありますように、保健所の機能というのを一層強化するということも不可欠なことも明らかでして、今それに逆行するような動きがあります。これはぜひ保健所機能を立派に残していくということを別の立場からも要求をしておきたいというふうに思います。
もう1つは、大阪府、大阪市の協力の問題の1つとして、お願いしてるんですが、なかなか実現しない、労働センターの夜間トイレの開放の問題なんですけどね、あれはその後どうなりましたか。何が原因なのか、大阪府ももういいかげんにしろというふうに私は言いたいんですがね、めどは立つんでしょうか。あれが大きな役割を果たしているというのはもう間違いない事実でしてね、いかがでしょう。
◎柳川環境保健局感染症対策室予防課長 お答えいたします。
あいりん労働福祉センターのトイレにつきましては、やはり地域の労働者の方々多数利用されるということでございますので、こういった設備の改善につきまして、大阪府に強く申し入れ、何回も行っておるところでございます。その中にあいりん労働福祉センターのトイレの夜間の開放というものも含まれておりますが、現在6時ないし7時で閉めておられるわけでございますが、これを24時間、できましたら24時間あけていただいて、周辺の方が利用できるようにしてほしいというようなことも要望いたしております。ただ、この施設は大阪府の方で管理をされておりまして、一部トイレに至る通路がちょっと10メートルぐらいあるわけですけれども、そういったところの管理をどうするかとか、あるいはほかへも通ずる通路がございますので、こういったところへ入らないようにするにはどうしたらいいかとかいうような、管理上の問題が種々ございまして、大阪府の方で今まだ検討をしていただいてるという状況でございます。
◆関根信次委員 もうしかしね、随分期間たっておるわけですから、局長も努力しておられるのは聞いてるんですけどね、もういいかげんにせんといかんと思うんですよ。大阪府も当然責任があるわけですからね、きちんとやっぱりもう一遍要請してください。そう大して大きなお金が要るわけじゃないわけですからお願いしておきます。
私は3つの陳情・請願取り上げましたが、いずれも市民の目線で見れば別に違和感のある問題は1つもありません。ぜひ委員の皆さんが賛同されるように期待をして、私の質問を終わります。
○仲山忠男委員長 協議会を閉じ、これより委員会を再開します。
これより採決に入ります。
ただいま議題となっております請願第47号、路上生活者に対する赤痢予防対策の強化及び各区の保健所の存続と機能の拡充を求める請願書外21件については、いずれも引き続き審査することに賛成の方は御起立願います。
○仲山忠男委員長 多数であります。よって、委員長発議のとおり決しました。
本日の委員会は、これをもって散会いたします。