【 平成11年2・3月定例会常任委員会(建設港湾・通常予算)-03月04日−04号 】
◆ 広岡一光委員
次に、せんだっても議論がありましたけれども、野宿生活者について質問をしていきたいというように思います。
公園の野宿生活者につきましては、市内を車で走っておりましても、大阪城や扇町公園の横を通りますと公園内に青いテントが点々とあるわけでありまして、集団となっているところも車窓から見えるわけであります。以前はこういった状態にはなかったのですが、1年ほど前からだんだんふえてきておるということで、昨年8月に実施されました市立大学の調査結果によりますと、市内の野宿生活者は 8,660人でありました。非常に大勢の方が野宿をしているという実態が明らかになっておりますし、今ではその数が1万人を超えておるということでありました。
そこでお尋ねしたいんですが、市内の公園における野宿者のあの青いテントは現在どのような状況にあるか、またどのような地域に多いのか、お尋ねをいたしたいと思います。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答えいたします。
委員御指摘のように、大阪城公園や扇町公園を初めといたします市内各所の公園におきまして、野宿生活者によるシートですとか段ボールなどでの小屋がけが急増しておりまして、大変御迷惑をおかけしております。
平成10年8月の調査では、市内の公園での野宿生活者による小屋がけ数は約 1,400件でございました。私ども平成8年8月の調査では約 370件でございましたので、この2年ほどの間に4倍近くに急増したということになっております。その後さらに増加をしている傾向にございます。
野宿生活者による公園内での小屋がけにつきましては、以前はあいりん地区ですとかその周辺の公園を中心として確認をされておりましたが、現在はそれだけではございませんで、大阪城公園を初め、長居公園などの大規模な公園では多くの小屋がけが確認されますとともに、扇町公園や中之島公園などの市域中心部の公園を初め、全市域に拡散しているという状況でございます。
◆広岡一光委員 以前はあいりん地区を中心とした公園で見られておったものが、どんどん広がって市内全域に及んでいるということであります。大変な状況になっているようでありまして、野宿生活者のテントは、何も公園だけではないわけであります。市内の道路や河川敷、公共の空間でも同じような状況で見られるところが多くあります。
商店街では、商店の閉店時刻の時間になるとどこからか野宿生活者が集まってきて、店のシャッターがおりるや否や、寝床となる段ボールをあっという間に敷き詰められて、そして翌日には何事もなかったようにきれいに清掃までされておると、このことが毎日続けられているわけであります。
先日の当委員会の質疑では、公園内のホームレスによる小屋がけなどについて、公園管理者が定期的に巡回をして直接面談をして注意や指導を行い、自主的な撤去を求めるという答弁でありました。しかし、一たん撤去させても、もともとお金も行き先もないわけでありますから、すぐに公園に戻って小屋がけをしていると、近くの公園に移っていくというだけでイタチごっこを繰り返しておるというような状態であります。
そこで私は、公園で樹木管理や遊具施設の管理など維持管理の第一線を担当しておられる人たちから、同じ労働者として仕事がなく公園で野宿を余儀なくされている人への人道的な立場と、一方、公共施設である公園の管理業務を担当する一員としての立場、その中ではざまに立って苦労しているという切実な声を聞いております。
具体的に、公園利用者や周辺住民、野宿生活者の間ではどのような問題が生じているのか。公園の野宿生活者は大阪市だけの問題ではないというふうに思うわけでありますが、他の都市ではどのように対応しているのか、お尋ねをしたいというように思います。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答えいたします。
野宿生活者が公園内で小屋がけなどをすることによりまして、公園利用者や周辺住民との間にさまざまな問題が生じております。
子供やお年寄りが安心して遊べる広場、またくつろげる場所としての、公園の本来持つ機能が阻害されまして、また発揮できないことから、その回復を求める要望が数多くございます。また、周辺住民との間では、野宿生活者の生活ごみの放置や騒音などの問題も生じており、安全面、衛生面、景観面などの苦情が公園事務所を初めとして多く出されているところでございます。
公園管理を担当する者といたしましては、これらの切実な市民の声にこたえるべく適切な対応と解決に向けて鋭意取り組んでいるところでございます。しかしながら、野宿生活者が激増している現状、また野宿生活者問題は雇用でありますとか福祉、医療などにもかかわる問題で、総合的な対策が必要でございまして、公園管理面のみでの対応には限界があると考えております。
委員御指摘のように、公園における野宿生活者の問題は、本市のほか、東京都、横浜市、川崎市、名古屋市などにおきましても本市と同様の状況が生じておりまして、大都市の公園が抱える共通の課題として情報交換ですとか対応策の協議等も行っております。しかしながら、これらの都市におきましても現在のところ効果的な対応策が見出せないという状況でございまして、今後も共同して検討を進めたいというふうに考えております。
◆広岡一光委員 公園のホームレス、野宿生活者問題、公園緑地行政を超えた新たな都市問題となっているわけであります。公園から野宿生活者を退去させれば解決するといった問題ではないと思います。
しかし一方で、現実に公園機能や美観が損なわれたことをめぐって多くの市民から苦情が発生しており、公園利用ができないといったことで、近隣住民や公園利用とそれから野宿生活者の間でトラブルも危惧されます。この摩擦を避けるために野宿生活者に対して節度とマナーを求めることが必要で、公園管理者はこの課題について今後も最善の努力を払うべきだと考えております。しかし、何より彼らが公園や道路で野宿しないで済むような早急な施策が求められているんじゃないかと考えます。
そこで民生局から今来ていただいておるわけですが、野宿生活者問題の解決のかぎ、単に生活保護をかけるより、就労対策の実施によって野宿生活者が自立できる方策を探ることが最も重要な課題だというように考えるわけですが、民生局が行っております自立支援のための就労対策というのはどういうものか、教えていただきたいと思います。
◎中川民生局総務部保護課長 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、野宿生活者にとりましては今一番大切なことは仕事があるということではないかと考えております。しかし、労働対策につきましては基本的には国・府の所管でございますが、大阪市といたしましてはあいりん生活道路清掃事業というものを実施いたしまして地域の環境美化に努めるとともに55歳以上の高齢者日雇い労働者に就労の機会を提供しております。平成10年度では、昨年10月から事業規模を1日22人から33人の雇用に拡大して実施しておりまして、これにより、年間では約 9,000人程度の雇用創出が提供できるんではないか、雇用機会が提供できる見込みでございます。以上でございます。
◆広岡一光委員 今日の不況による失業率は大変なものでありまして、 4.4%は新聞にも載っておりました。298 万人、失業者、そういう、戦後最悪とまで言われておるわけでありまして、企業はリストラにより人員を削減し、ますます野宿生活者は増大することが懸念されます。
現在実施しているあいりん生活道路清掃事業を拡大する考えはないのかどうか。また、民生局が就労対策をするには限界があろうとは思いますが、勤労意欲がありながら就労の機会が少ないということと、高齢の日雇い労働者には国レベルの特別就労対策を実施することが効果的であるというふうに思います。どうですか。
◎中川民生局総務部保護課長 お答え申し上げます。
労働対策は、基本的には国及び大阪府の問題であると申し上げましたけれども、平成11年度におきましては、現在行われておりますあいりん生活道路清掃事業の継続実施に加えまして、新たに地域外の軽作業を実施することによりまして、年間約1万 4,000人程度の就労機会を提供することとし、一層の自立助長に努めてまいりたいと考えております。
また、委員御指摘のとおり、民生事業として就労対策を実施することにつきましてはおのずと限界がありますところから、国レベルでの特別就労対策を実施するよう、国に対して強く要望しているところでございます。以上でございます。