平成11年第1回定例会(平成11年2・3月)-0223日−02号 】

32番(小西実君)

次に、野宿生活者対策についてお尋ねいたします。

 野宿生活者問題は、野宿生活に至る背景や原因が複雑に絡み合っており、しかもすべての人の人権に配慮して取り組むべき難しい課題であることは十分理解できますが、この問題の市民生活への影響を考えれば看過し得ない重大な課題であります。昨年8月の実態調査においても、市内の野宿生活者数は 8,660に上ることが明らかになり、新聞等でもその数は全国一と報じられましたが、その後、長居公園を初め大阪城公園や天王寺公園など市内の主要公園では、ますます野宿生活者のテントがふえ続けている観があります。

 そこで、このように全市レベルでますます深刻の度を深めている状況を勘案すれば、大阪市でできる緊急対策は、これまでの施策の枠を超えて実施すべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。

 また、この問題は景気や雇用情勢などとも深くかかわっており、決して大阪市のみの取り組みだけでは解決し得ない都市問題でもあり、国の対策がぜひ必要であると考えます。かかる意味で、今般、市長が小渕総理へ要請したことにより、関係省庁と大阪市を初めとする関係自治体とで連絡会議が設置され、総合的な対策が検討をされることになり、大変意を強くいたしております。全国で最も深刻な事態の大阪市が全国の関係自治体をリードして、国の責任を明確にし、法整備を含む対策指針の策定を行うよう強力に働きかける必要があると考えます。また、大阪市立大学の調査結果やこのような国の動向を踏まえて、中長期的な視点も視野に入れて大阪市の抜本的な野宿生活者対策をまとめる必要があると考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。

市長(磯村隆文君)

次に、野宿生活者対策についてでございますが、今日の深刻な状況の実態等について、まず十分把握することが先決であると存じます。このため、10年度に引き続き全市規模でさまざまな角度から実態調査を行いたいと考えております。また、この問題への対応に当たっては、すべての人権に配慮しながら施策を進めてまいりたいと考えております。

 なお、緊急施策といたしましては、新たに自立支援の観点から巡回相談事業を実施するとともに、生活ケアセンター事業の拡充や就労支援策の一環としてのあいりん生活道路清掃事業の充実や、当該地域外の軽作業の実施など、あいりん対策とも連携しながら野宿生活者対策の充実に努めたいと考えております。

 しかしながら今日の状況はもはや一地方公共団体のみの取り組みでは人的にも財源的にも限界を超えており、このまま放置すれば人道上の問題とともに市民生活に重大な影響が及び、また治安面での問題も危惧されると考えております。このため、昨年11月、私の方からじかに総理に国の対策を要請いたしました。これを受け、このたび関係省庁と本市を初め関係自治体とでホームレス問題連絡会議が設置され、定期的に対策を検討をしていくこととなったところであり、この場でもこの問題の重要性を訴え、早急に法整備を含む抜本的な対策指針の策定や雇用対策等の実施等について要望を行ったところであります。

 今後とも、国等との役割分担を踏まえ、また中長期的には野宿生活者のニーズや市民の意識調査の結果等を踏まえ、福祉、雇用、保健衛生、公共施設の適正管理、まちづくりなど、さまざまな視点から総合的な対策に取り組んでまいりたいと考えております。

74番(姫野浄君)

次に、野宿生活者対策についてであります。

 昨年から野宿生活者が急速に増加しています。その根本的原因は、自民党の失政による不況にあることははっきりしています。我が党は、市内大小の公園を中心に、テントが林立するという異常事態を一日も早く解消するため、昨年12月に市長に対し申し入れを行ってきたのであります。

 そこでまず、野宿生活者の自立に向けた雇用対策の問題です。高齢日雇い労働者など就労が困難な人たちに対しては、大阪府と協力して現行の特別清掃事業を大幅に拡大するとともに、市内の環境美化を図る機動的清掃事業の拡充を初め、特別就労計画をつくるべきであります。また、公共事業にかかわるすべての企業が建設業退職金共済制度に加入して制度活用を徹底させることで、日雇い労働者の生活資金確保の措置をとるべきであります。市長の答弁を求めます。

 また、野宿生活者に対する生活支援も緊急の課題です。病弱で就労できない人に対しては、医療及び住まいを保障する立場から、救護施設、生活ケアセンターやデイケア施設を増設し、利用しやすいものにすべきであります。それでも施設待機者が生ずる場合は、ドヤ券を発行して簡易宿泊所の空き部屋を利用できるようにし、簡易宿泊所での生活保護適用を市長が勇断を持って決断すべきであります。答弁を求めます。

市長(磯村隆文君)

機動的清掃事業についてでございますが、あいりん地域の日雇い労働者は、近年の大幅な求人減少により就労機会が減少し野宿を余儀なくされる方が急増しており、その野宿場所はあいりん周辺にも拡散しております。あいりんの高齢日雇い労働者の就労支援事業である生活道路清掃に加え、新たに地域外の軽作業を実施することにより、一層の就労機会を提供することとし、自立生活の助長に努めてまいりたいと考えております。基本的には労働行政は府の所管でありますが、勤労意欲はありながら就労の機会が少ないあいりんの高齢日雇い労働者には、国レベルでの特別就労対策を実施することが効果的であるところから、その対策を強く国に要望しているところでございます。

建設業退職金共済制度についてでございますが、これまでも制度の普及及び適切な運用の確保に努めてきたところでありますが、なお不十分な運用の実態が認められますことから、本市におきましては、本年2月1日から共済証紙購入に係る掛金収納書の提出対象となる工事の範囲を拡大するとともに、その購入枚数の根拠を示す書類の提出を求めるなど、制度が十分に活用されるように一層の取り組みを行うことといたしました。また国におきましては、来年度実施を目途とした改善策が検討されていますが、本市といたしましても、改善策を踏まえて、さらに一層の建設業退職金共済制度の普及及び適切な運用の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

 救護施設の増設などについてでございますが、その計画的な整備に努めるとともに、生活ケアセンターにつきましては、定員枠の拡大に努めてまいりたいと考えております。簡易宿所は日払いで宿泊できるものであり、安定した住居ではないことから、簡易宿所での保護を実施していないところであります。

 あいりん地域の日雇い労働者につきましては、病気療養や生活面で支援を必要とする方が多く、自立支援が行われる施設での保護が妥当であると考えております。この施設で生活訓練を経て、自立生活を営むことが可能となった方につきましては、就労による自立を基本としながら、高齢等により引き続き保護が必要な方には、居宅での保護に切りかえているところであります。