【 平成11年度決算特別委員会(準公営・一般)平成12年10・11・12月-11月20日−06号 】
◆ 江川繁委員
続きまして、ホームレス問題について質問をさせていただきます。
まずきょうも新聞や、あるいはテレビで大々的に報道もされております。大阪市民の重大関心事となっております、このホームレスの問題。そして長居公園の仮設一時避難所強行建設問題について質疑をさせていただきます。
これについての我が党のスタンス、見解はホームレス問題解決のために抜本的・総合的施策を示すこと。2つ目には住民合意を抜きに建設強行はしないこと。この観点で取り組みを進めているところでありますが、まずこの大阪市内に1万人以上と言われているホームレス問題について。
これは一昨年8月の調査では8,660人だったと調査では聞いております。ところが昨年7月に、この資料3枚目に入れてあります大阪市野宿生活者対策推進本部、7月1日にこういったそうそうたるメンバーで、もちろん本部長が市長でつくられたわけでありますが、昨年7月につくられたにもかかわらず、今1万人を超える。またこの上リストラや合理化などでさらに広がっていく状況であります。このホームレス問題、1万人以上に急増しておるこの問題を解決することは人道上からも、あるいは大阪市のまちづくりの上からも最重要課題の一つだと、こういったことについては周知のことであると思います。
この深刻化するホームレス対策の最大の理由は昨年7月に対策本部がつくられたにもかかわらず、抜本的な対策が行われてこなかったということにあると思います。資料4枚目、5枚目にその対策本部が設置されてからの動き、ちょっと長くなりますのではしょりますけども、4ページ目の第1回7月1日につくられ、8月3日には第2回の本部会議が開かれ、こういった形でずっと続けておられるわけですけども。2枚目の5ページ目にいきまして、4月21日にまた行われたわけであります。
この流れを見てみますと、簡単にいえば国の補助事業、自立支援センターが今秋から3カ所、280人が開所される。あるいは臨時雇用対策の件、また臨時宿泊所はことし4月から600名規模で行われた。それらについてどうしようかということが行われているだけで、この5ページ目に入りますと野宿者生活の対策として、それ以外に行われているのは、これを見る限りでは長居公園の適正化対策だけに絞られてきております。4月21日からずっと見て、8月9日、10月6日、今1万人と言われている大阪市のホームレスをどうするか。これが問われていると思うんですけれども、こういった中で極めて問題があると思っております。
そういった焼け石に水のこの大阪市のホームレス対策、その中で突然この7月に住民に知らせず、そして相談もせずに長居公園の仮設一時避難所計画が出されてきた。長居公園でいえば97年の国体以後3年間ホームレス対策、住民が何を言っても放置されてきた、そういったあの後に加えて、形ばかりの説明会も一方的に打ち切って、担当職員の方は会場から逃げ出す、そういった住民無視の姿勢できたことが、今日の混乱をもたらしているのではないかと私は思っているところであります。
そういう意味では市長の政治姿勢が非民主的な運営が行われているということ、これ一つとっても厳しく問われていると思うんですが、この建設問題での混乱、これについてせっかくですので、早速市長の方に推進本部長としてどのように認識されているかについてお答え願います。
◎磯村市長 ホームレス、野宿生活者の問題でございますが、これはもう私はこの問題が起こった初期のころから、例えば大阪城公園でそういうテント生活をし始めた人がいる。私が住んでおります近くの長居公園でもそういうことが起こっているということが見えてきたわけでありますが、しかしその前に実はあいりん地区でもう少し複雑な形で野宿生活者の数がふえてまいりました。
まずあいりん地区での野宿生活者に対する対策については、あいりん地区に対するさまざまな制度、対策がございましたから、我々はまず最初にそちらの方にかかりきりになったわけでございます。委員も御存じだろうと思いますが、ほとんどある小学校に通う子供たちが通えなくなるほど道路周辺に野宿生活者が集中してしまったというようなことがあって、そういうことでいろいろ大騒ぎしながら、やっと近隣の方々の要求を聞き、そしてまた野宿生活者の方々の立場も聞いてあいりん地区の場合には収容できるような場所もつくって落ち着かせていったと。
その反面、例えばあいりん地区から流れていった人もいるわけですが、それ以外に全国からいろいろな形で流れ込んできた野宿生活者が公園でふえてまいりました。むろんそのことについての対策について我々は懸命になっていろんなことをやったわけですが、実はあいりん地区のことについては、地区についてのいろいろな対策、施策がありましたが、一般公園でそういうことをされる方の場合は公園管理に基づく規則以外には全く対応する制度も、政策も、まして法律もないわけでございました。
ただ、できることは一人一人のケースの方に事情を聞きながら、できればどっかへ行きなさいというぐらいしかないわけですが、本人がそれを拒否すればそれ以上のことを言っても公園の管理者には警察権も何もないわけでございましたから、どうにもならないという状況があらわれまして、しかもそういう人の数がどんどんふえ始めてまいりました。
それでまず大阪市としては独自にそういう方々の調査を市立大学に依頼をして始めると同時に、私自身が平成10年11月でございますが、小渕総理にお目にかかった機会にこういう事情でホームレスの問題というのは大変なことになりますよと。今のところ大阪が非常に大きな問題なっていますが、大阪だけで解決できる問題ではございませんから、ということをお願いいたしまして、そのことを受け入れていただいたおかげで、平成11年2月に国と関係地方自治体が一緒になってホームレス問題連絡会議というのを設置することになりまして、そこでいろいろあいりん地区の問題も含めてでございますが、ホームレス問題に対する当面の対策がまとめられたというようなことでございます。
今、委員がおっしゃったように、それに基づいて11年7月には私が本部長となる全庁的な組織である大阪市野宿生活者対策推進本部を設置いたしまして、さまざまな対策を考え、また手を打ってきたわけでありますが、具体的には市内全域を巡回して、とにかく巡回相談をしてみると。いろいろ聞いてあげようと。それからまた公共職業安定所との連携のもとで就労・自立ができるような自立支援センターを整備していこう、あるいは短期の入所で健康回復を図れるような生活ケアセンターをつくっていこうと。そういうことと同時にあいりん地区では臨時夜間緊急避難所の設置をするとか、あるいは国の緊急地域雇用特別交付金事業を活用して、高齢の日雇い労働者等の事業、草取りなんかをしていただけるというようなことも考えながらやってきたところであります。
何といたしましても、これは大阪市自身の力には全然手の余るところでございまして、結局的には国に要望して、それなりの制度を法律として立ち上げていただかない限り、我々としてはどうしても根本的な対処ができないという状態になってきたわけでありますが、おかげでやっとこの平成12年度になって、とりあえずはいろんな補助金をつけていただけるということになって、我々は本格的にそういうことを取り組み始めたわけであります。
長居の一時避難所の件につきましては、とにかく長居公園というのはスポーツ公園で、オリンピックをやるやらないにかかわらず、とにかくたくさんの方々が利用している公園であります。まして私は近くに住んでおりますからいろんな方々からいろんな事情を聞きます。粗大ごみを持ち込んでごみ処理場みたいなことをやってる人がおると。市長、一体あれはどうするんだというようなことから、中には非常に困っている人がいるのに捨てといていいのかという人までいらっしゃいます。
結論を言いますと、すべての人があのままでいいのか、何とかしないとだめではないかという声が多い、大きいわけでありまして、自立支援センターというのは、我々はあちらこちらで計画をしながらつくっていっておりまして、これはずっと仕事として続けていきますが、しかし今、目の前で冬がくるのに、あの人たちをあのままでほっておいていいのかと。もう一つは公園をあのままほっておいていいのかと、この2つの意見を我々の耳に入ってきますし、電話もかかってきますから考えたときに、とりあえずは長居公園で具体的に何かできることはないだろうかと。
自立支援センターはしばらく、長い間おっていただいても構わない。体の弱い人、高齢の人。この人たちをまた次の法律的な施設システムで助けることができればそれも非常にいいだろう。しかし自立支援センターが完成するまでというと、まだ何年間かの間そのままの状態で放置しなければならないということが起こりますから、とりあえずは一時的に、特に長居公園の場合に目立つわけですから、長居公園にいる人たちをテストケースとして一時避難所に入っていただいて、そこでいろんな相談にも乗ってあげ、心身ともにリハビリテーションができるような状態で数カ月を過ごしてもらって、そうして中のその事情に応じて病院へ行く人は行く、自立できる人はしてもらう、自立センターへ行ける人は行ってもらうというような形でローテーションができていったらいいんじゃないだろうかと。
最初に申し上げたように、これは大阪市だけですべて解決できる問題ではございませんので、それと並行して、国に対して実は大阪市あるいはその周辺で就労をしていただくということは、しばらくの間はめどが立ちませんと。だから全国的な規模で人がいるようなところへ、例えば職業研修というようなことも加えながら、そういう方々が自立できるようなシステムをつくっていただけませんでしょうかと。そういうことも含めた立法をしていただけませんでしょうか、というお願いをいたしておりまして、やっと我々の考えているやり方を国に理解をしていただいたという段階であります。
したがいまして、今一時避難所をつくっておりますのは、決してあそこを長期的なセンターとしてあの方々に永住をしてもらうためのものでは絶対ありません。説明会なんかを実は地域で16回やったわけでありまして、そこではきちっと3年間の期限として、あの一時避難所というのは解消します。それまではとりあえずどこかにシェルターをつくって入ってもらわないと、今の状態で放置していくことは市民にとっても、そしてあの方々にとっても決してよくありませんと。そういうことをお願いしたわけであります。
どこか遠くのところへあれをつくるべきじゃないかといって言われる方々の声も耳には入ります。しかし実はあの方々は、あのあたりの地域にやっとなじんだ人々でして、その人たちをどっか全然遠くの、別のところへいって閉じ込めてしまえという式の議論は今のところ現実性を持たない。とりあえずはあの近くで、あの方々がいろんな、あの人たちも買い物したりなんかしているようでありますが、自分たちの生活パターンを取り戻して、その上で自立できるようにしてあげようと思えば、今あの人たちが生活基盤にしているあの地域で収容をしてあげないと、恐らく遠いところへ行きましょうといったって来てもくれませんし、具体的にそういう場所もございませんから、とりあえずは長居公園で現状を少しでも段階的に改善をしていきながら恒久的な対策を打ち立てていこうと。そのための取っかかりとして一時避難所をつくろうというので始めたわけでございます。
反対運動をしている方々の意見を聞けとおっしゃいますが、説明会を何度かやりましたが、その都度いわば説明を聞かないでつぶされた形になっておりまして、たくさんの方々、まさにサイレントマジョリティーという方々は、とにかく何とかしろ、何とかしろという圧力を我々にかけてこられるわけですから、とりあえずは今の状態で粛々と我々の行政責任を果たしていくべきではないのかというのが私の考えでございます。
◆江川繁委員 長々と答弁されましたけれども、一つは国に働きかける、これも必要ですが、大阪市独自としてもこのホームレス問題の抜本的解決を示していかない限り、もちろん予算もつけて解決していかない限り、今の大阪市のこの状態を変えることはできないわけですね。それについての方向性について時間があればまた後で話したいと思っております。
またもう一つだけ市長の方、この出馬に当たって、今住民と話しされたといいますけども、きょうの新聞でもいっぱい載ってますよね、もう本当に話し合いを尽くしたところが、あなた方が聞く耳持たずに逃げ出したというのが実情であります。話し合いを、これを求めているわけです。磯村さんに特に会いたいといっておりますが、あなたの基本理念、出馬表明で、例えば市民の立場で考える。市民とともに歩む市政あるいは最後に当たって市民と行政の良好なパートナーシップを築くと、こういったことをうたわれているにもかかわらず、あなたの地元でこのような状況になっていることについてどのような政治責任を考えていらっしゃるのか。また強行された場合には、ひょっとすると生命が及ぼすような大きなことが起こる可能性もあります。
こういったときに話し合いを求めている彼らに対してどのようにされるのか、もう一度答弁をお願いします。端的でよろしく。
◎磯村市長 私が市民のお話を聞いて、市民とともにと、いってることは間違いございませんが、だからといってすべてのところに顔を出してお相手をするというほどの暇もエネルギーもございません。
今回の場合は、現場の担当者が何度も何度も説明会を開いたことは事実でありまして、しかもたくさんの方々は要するにその話を、我々の話を聞いていただけましたし、しかも13万枚にも及ぶ説明のビラを近隣の方々に配布をいたしております。それをああいう形で、文字どおり反対運動というキャンペーンの形で市長と話をしたいというふうにおっしゃっていたら、そういうことを一々市長が出ていっている余裕も暇もありませんし、ましてやそういうことをやればすべての人が何かにつけてそういうことをやるようになります。
私は率直なところ民主主義の話し合いというのは、そういうことではないというふうに思っておりますから、私自身は自信を持って市民のために働いていると申し上げておきます。
◆江川繁委員 どうも市長の方、時間が来ましたので、どうもありがとうございました。
また論議したいんですけども、この話の中で例えば公園の目的外使用になるのではないかとか、私も何度も出ましたけども、いろいろ説明が不十分なまま、例えばIOC委員が来年2月に公園視察に来ると、そのオリンピック対策の目隠し、場当たり的一時しのぎではないかとか、あるいはこの建設計画ではホームレスも公園対策にもならない。予算措置の面でも大きな問題だと、本当にまだまだ疑問が出ているところであります。
みんなの意見を聞くのが民主主義であります。そういう意味で市長、今いらっしゃいませんけども、ぜひとも再度話し合いを再開されることを要請しておきます。
この問題で最後になりますが、我が党の方は一貫して次の提言を行ってまいりました。
抜本的対策のために1つには雇用対策の拡大、2つには自立支援センターの大幅増設、また3つ目に簡易宿泊所の有効活用による、福祉アパート化などによる生活保護の適用拡大。そして結核・病気対策など、こういった抜本的・総合的施策を今こそ民生局の方いらっしゃいますので、ぜひ示していただきたいということを強く要請して、この問題についての質疑を終わらせていただきます。