【 平成12年11・12月定例会常任委員会(建設港湾)-11月07日−01号 】
○矢達幸委員長 次に、理事者より長居公園の適正化のための仮設一時避難所の整備について報告いたしたい旨の申し出がありますので、これを許します。
◎高野建設局長 長居公園適正化のための仮設一時避難所の整備につきまして御報告申し上げます。
長居公園の仮設一時避難所につきましては、去る9月25日の建設港湾委員会におきまして、地域環境の整備と野宿生活者の自立支援という観点から、この秋に着工したい旨を御報告いたしております。
その後、9月27日に市会本会議におきまして長居公園の適正化対策に関する決議が議決されました。私どもといたしましては、この決議を踏まえ、施設の早期着工を目指して計画を精査検討いたしますとともに、地域住民の皆様に対する説明や、野宿生活者の調査を進め、10月30日の大阪市野宿生活者対策推進本部会議において事業着手の決定をいたしたところでございます。
今後の日程といたしましては、11月中旬に仮設一時避難所の整備工事に着手し、12月中に施設を完成させて野宿生活者の入所を開始いたします。施設の概要といたしましては、宿舎棟、それから管理棟、共用棟、合わせまして20棟の整備を予定いたしております。宿舎棟はプライバシーに配慮した構造とし、共用等には自炊・洗濯・シャワー設備などを設けます。また、自転車置き場や作業スペース等も設けてまいります。仮設一時避難所の運営については社会福祉法人に委託いたしますが、委託先には本市職員を出向させ、責任ある運営に努めますとともに、関係機関及び地元関係団体等との連携を密にして事業に取り組んでまいります。
入所人員につきましては、10月16日から実施した長居公園の野宿生活者の実態調査を踏まえ、約350人を予定いたしております。なお、避難所の入所者はこの秋に市内で3カ所完成いたします自立支援センターへの入所や福祉援護等の措置により、順次減少してまいりますので、仮設一時避難所の規模もそれにあわせて縮小し、3年以内に廃止いたします。
また、今回の対策につきましては長居公園の地元であります住吉区・東住吉区の皆様に御理解を深めていただくべく広報紙を編集し、去る11月1日に両区の各家庭に配布したところでございます。以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
◆稲森豊委員 この件につきましては、前回の9月25日に提案がありまして、私も質問させていただいたわけです。その中身は、問題点として住民合意がなされていないこと。あるいは肝心の野宿生活者自身の実態とか意向がその時点では把握すらされてないということ。それとか、あと強権発動によって撤去した場合、イタチごっこにならないか、手続上の問題も含めてね。そういう点で事業効果について、莫大なお金を使う割には事業効果については疑問があるということで何点かこういうことで意見を申し上げたわけです。
そういう中で、ホームレス問題については抜本的な、さまざまなメニューでもってホームレス問題そのものを解決するという方向をやっぱり探るべきじゃないかということで御意見を申し上げたんですけれども、今回説明のごとく仮設一時避難所を11月中旬に着工するということで、あくまでも着工すると、そういう方針が改めて出されてきたわけです。
それに対してマスコミなども希望者は1割ですと、住民は反発している。あるいはこれは五輪対策で、その状況を糊塗するだけのものじゃないか。また、大阪市が強行着工する。住民合意がないということで、かなり厳しい論調で書いてるわけですけれども、私もその点で改めて何点か、この前の質問との関連で質問と御意見を申し上げたいと思うんです。
まず第一に、いつも言われてるわけですけど、住民合意は得ていくということでおっしゃってるんですけれども、二万数千人が反対署名されておられるわけですけれども、そういう反対されておられる方についての、着工についての合意は得られたと理解されてるんでしょうか。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答えいたします。
長居公園の仮設一時避難所の整備計画につきましては、本年7月中旬以降、私ども周辺住民の皆様に御理解をいただくために連合町会また町会等を単位といたしまして、合わせて16回の説明会を重ねてまいったところでございます。
一部根強い反対の声はございますけれども、大多数の皆様に御理解いただけたというふうに承知しております。また区民の皆様に、この事業につきまして正しい理解をいただくことは重要でございますので、長居公園に仮設一時避難所の設置をすることにつきましての、それぞれの地元説明会の際にいただきました御質問、これを一問一答の形式にまとめました広報紙を作成いたしまして、去る11月1日に住吉区、東住吉区の両区につきまして、全家庭への配布を実施したということでございます。よろしくお願いします。
◆稲森豊委員 一部反対があるけれども、大多数の同意を得られたと判断されておるという答えだったんですけど、従来から大阪市のこの住民合意というやり方というのは、何回か説明会やると。しかしそれについて住民の意見とか、そういうのを聞き入れて納得してもらうというんじゃなしに、最終的には説明だけ開いてそれで強行すると。これは同じようなパターンがずっと繰り返されておりまして、いろんなところで問題が起こってるわけですけどね。
やはりこういった税金を使って何かやる場合、この住民合意というのは本当に基本でありまして、市長が決めたから、大阪市が方針決めたからと強行していくと、これはまさに自治体の思い上がりだと私思うんですよ。
新聞報道によりますと市長自身も、一部には反対の人がいるが、公園を本来の姿に戻し、ホームレスの自立を支援するという大きな目的があると、そういうことで強行の構えであるということで報道されてるわけですけどね。果たして今回の措置が公園本来の姿に戻し、ホームレスの自立を支援する内容になっているかどうか、その点でちょっとやっぱり今の時点で疑問がありますので、何点か改めてお聞きしたいと思うんですけど。
資料をこの前いただきまして、実態調査やりましたと。10月26日の時点ですね。そのときに住んでいると確認できたものが280、合計433テントがあったわけですけども、不在のものとか、荷物だけがあるとか、不明なもんもあると。それと男女の性別ですね、男278、女10名、合計288と。
その中で、こういう施設をつくって入所していただけますかという、そういう入所希望の状況の内訳ですが、288名の方と対話して、入居希望は35人です、入りますというの。これ12%なんですね。考えときますと、これが196、68%。希望しないと明確に答えてる方が28人、9%。この際ほか行きますという方が29人、10%ですね。
こういう数字から見て、先ほどの住民合意と同時に、居住者のこういうせっぱ詰まったような事業をやる割には居住者の意向にも沿っておらないと。196、68%が今後考えとくとしか答えてない。入居希望も12%しかないという、こういう実態をどう見ておられるのか、その点だけちょっとお聞きしたいと思います。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答えいたします。
野宿生活者の実態調査、長居公園の実態調査でございますけども、これにつきましては10月16日から実施をしたところでございます。私どもそれに先立ちまして全体的に、いわゆる合同の説明会、これを3回実施をいたしております。そういうものを踏まえまして、この10月16日から現地の方で実際に実態調査に入ったわけでございます。
仰せのとおり288人、これは居住確認できた人でございますけども、そのうち入所希望者が35名、入所を考えておく、いわゆる入所候補者が196名でございます。ただ入所候補者のほとんどにつきましては、施設そのものにつきまして、また施設の中につきましていろんな希望なりを持っておりまして、そういうものを含めて考えておくということでございますので、入所につきましてかなりの、いわゆる前向きな姿勢で取り組んでおられるというふうに考えております。
◆稲森豊委員 率直に言って楽観的な判断だと思わざるを得ないと思うんです。その点こだわりません、事実がわかりますからね、後。
その後、入所期間ということで自立支援センターへの入所または福祉援護等の措置を決定までの期間ということで、順次縮小して3年以内に廃止するということですけれども、これはそうしますと入った人が少なくとも3年後にはゼロになるわけですから、何らかの形で全員の受け皿が用意されてると、これは判断してよいのでしょうか。
例えば具体的に言えば、自立支援センターへの入所、そしてそれによってまた再度立ち直って、社会復帰していけるという、そういうような判断が果たしてなるのかと。
なぜかといいますと、実はこれに先立ちまして以前に大阪市立大学の環境問題研究会の方で野宿生活者の聴き取り調査ということで中間総括というのをいただいてるわけですけども、そこではもう少し詳しく年齢構成とか、その人がどういうことを望んでいるかというそういう資料を前にいただいて、私改めて読み返していたんですけども、現在、例えば求職活動をしてないという数が多いわけですよ。
何とか仕事をしたいとか、立ち直りたいと言いながら、こう答えている方が84%おるんですけどね。実際にしからば仕事を探しているかといったら探している人46%、こういう格差があるわけです。これはどういうことかというと、仕事欲しいんだけれども、年齢とか今の経済環境を考えたならばそんな見込みがないということであきらめてると、これも事実だと思うんですよ。ホームレスの方だけじゃなしに、今50代で仕事のない方わんさとおりますからね。これ一つ見ても本当に社会復帰、就職という面では非常にしんどいと私思うわけです。
それともう一点ですね、福祉援護ということでいきますと、最終的には住宅の問題あるいは生活保護、その他のあるいは収容される何かほかの社会福祉の対応ですね、こういうのは最終的に大阪市としてはやっていくと。今まで例えば、生活保護を受けたいんだけども住居がないために受けられないと、それがネックになってまして、社会福祉を受けられないという実態もあったわけですね。住宅についても適当な住宅がないと、こういうものについても準備されているんですか。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答えいたします。
このたびの仮設一時避難所事業でございますけども、本市の野宿生活者対策推進本部の事業の中で位置づけられておりまして、全般事業と連携をして進めていくというふうなことになっております。
それとまず避難所に入られた方でございますけども、私どもまず高齢者、病弱者につきましては福祉援護等の処置等に移っていただきたいというふうに考えております。
それから、そのほか市内の自立支援センターにつきまして、毎月十四、五名につきましてそちらの方に移っていただいて生活相談訓練等を受けていただく、また自立就労に向けた支援等を行っていくというふうに考えております。
◆稲森豊委員 これは今の問題じゃないんでね。実際に例えばですよ、この一時避難所に入っていると、しかし病弱でありますと。例えば、年齢50歳の男性が病弱というんか、仕事探してるんだけどないと。そういう場合に生活保護を受給する以外ないという場合、今まででしたら住宅を見つけてこい、住居を定めなさいという指導を福祉事務所はやるわけですけども、そういうケースは今度こういうことになれば、横浜とか東京でやってますように、例えば簡易宿泊所に住んでいてもそこを拠点として生活保護認めるという、そういう方針はとられるんですか。具体的な問題で答えてほしいんです。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答えいたします。
ただいまの御質問、ちょっと私ども建設局の方では答えが難しゅうございますので、よろしくお願いします
◆稲森豊委員 だから幾らそんな言うてもね、結局受け皿ないわけです。
最後にもう一点この調査の中で、立ち退き条件というのがあるんですよ。どういう条件で今のテントから立ち退くかと、これも調べておられますね。その中で、仕事がないために立ち退けない42%、仕事条件。住む場所、61%なんですね。そういう問題が間違いなくあるわけですから、この問題を解決しなければ立ち退きという問題、幾ら立ち退いてくれ、一時避難所へ入ってくれと言われても、どっかでそれ行き詰まってしまって、結局入るは、3年たっても受け皿がないために残ってくると。そういうことになるのもう目に見えているわけですから。もしここまで言い切ってですよ、緊急避難的にこれだけ急いで工事をするからには、そういうめども、当然受け皿を持っとくというのが当然だと思う。ぜひその点については、民生局も含めて対応してもらわなければ、これは信じられませんわ、危惧を覚えます。
同時にもう一点、どうしても協力しない者に対しては強権発動するとか、しないとか、これについてはちょっとあいまいな態度ですわ。当事者については強権発動しません、あくまでも納得してもろうてから入ってもらうんですと言いながら、他方では議会についてもきっちりとやると。建てるからには青テントなくすんだという、この点についてはどうなんですか、最終的にはきっちりと強権発動も含めてやるというのか、その点ちょっとあいまいにしないでほしいんですけど、どちらですか。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答えを申し上げます。
仮設一時避難所でございますけども、野宿生活者も自立でき、また公園の機能も回復できるということを目的に整備をするものでございます。
入所拒否者に対しましても粘り強くテント生活からの自立を促しまして、避難所への入所を説得してまいりたいというふうに考えております。
◆稲森豊委員 あくまでも抽象的な表現なんですね。
それと最後に御意見だけ申し上げたいと思うんですけど、私率直に言いまして、この事業の進め方というのはやっぱり常軌を逸してる、異常であると感じるんですよ。一つは、緊急避難としての公園の目的外使用というようなことをやるわけです。あそこの公園の木を、大した木でないからと言いながらも木を切って、公園機能を一部変えてでも目的外使用するということ。
それで当初この問題につきましては、実はこの港湾委員会に対して全然説明がなくて、こちらから聞いてみたところ、これ民生局が主になってやってるというような説明だったんですけど。最近マスコミなどで社会問題化して、ここでこういう考え方ですということで、議論になっているわけですけども。しかし例えば、予算措置の問題についてもきのうお聞きしますと、建設費は建設局の予備費で一億幾らですね、運営費は10億ほどかかるというんです。この財源内訳は実際どうなってんですか、この予算的措置とか。それだけちょっとお聞きしたいんですけども。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 お答え申し上げます。
施設の規模、内容等まだまだ詰まりきってない部分がございますんですが、一応3年間ということで約10億円の本体経費を見積もっております。その内訳でございますけども、施設整備費が約5億、管理運営費が約5億でございます。
◆稲森豊委員 これそんならもう予算措置、予備費から流用ですね。
◎松下建設局花と緑の推進本部緑化推進部企画主幹 地域にお住まいの皆さんの切実な御要望におこたえする。また、9月17日に市会本会議において議決をいただいております。早期着工が求められていることを踏まえまして、寒い冬を迎える前に整備に着手したいということで、整備の決断を行ったものでございまして、早急な着手が必要でございますので、所要経費につきまして、12年度の分につきましては、当面、予備費で対応をしてまいりたいというふうに思っております。
◆稲森豊委員 何点か質問しました。やはりどうしても普通の市政運営からすればイレギュラーという印象を受けざるを得ないと思うんです。周辺住民の皆さんの合意も完全に得られず、野宿生活者の実態とか意向にも十分そぐわず、異例の進め方で強行すると。しかも、いろんな問題が行ってくることは想定されまして、ホームレス問題の根本的な解決に至らないという、そういうような中身だと思うんですね。
もしこれがマスコミなどが言うように、本来、来年のIOCの視察のためにというようなことであるとすれば、これは本当に重大だと思うんですね。例えば、長居公園というのは当然オリンピックが開催されたとすれば施設利用ということで、やはり周りの住民の方はボランティアなど含めて、当然これは協力を得なきゃいけないと。今そういう形で住民の意向を無視して、軽視して、こういうことをやった場合、果たして喜んでそういう事業に区民の皆さんが参加してくれるかどうか。本当に私は失うものの方が大きいと思うわけですね。
だからあくまでも本件については見切り発車でなしに、住民との合意を追求して、私たちも申し入れてますように就労、住宅、福祉等、本当にホームレス問題を根本から解決するという、そういう実効あるやり方に考え直していただきたいと。そうでないと、必ずこの住民の皆さんの反対を押し切ってやるというのは自治体として本来やるべきじゃないですよ。住民の反対するようなことやってならないんですわ。必ずこれやったら、こういう事業行き詰まります。そういう心配してるわけです、私。
そういう点を申し上げまして、ぜひ再考願いたいということで私の意見終わります。