【 平成12年第1回定例会(平成12年3月)-03月08日−03号 】
次に、ホームレス問題についてお聞きします。
全国で2万人と言われるホームレス者の約半数が本市に集中し、最近では、地域住民の生活圏とホームレス者の生存権のぶつかりあいや、保健衛生面でも影響が出始めています。また、ホームレス者の高齢化も加わって複雑に社会問題化しており、早急な対応が求められています。本市は、国に対し特別立法や就労対策などを求めてきました。加えて独自の就労対策事業も行っていますが、その規模などで絶対数が不足しています。先日発表された中間報告では、彼らは仕事を探していないのではなく、むしろ探せない状態にあることが明らかになり、こうした人々への対応策を早急に検討していかなければなりません。
就労支援はホームレスの人たちが自立するために最も有効な方策であり、本市も、これまで国の緊急雇用対策事業を活用した雇用創出を図ったり、自立支援センターを整備するなど対策に取り組んできました。今後、これまで以上にさまざまな分野で公的な雇用創出し、外郭団体や第三セクターに対しても雇用促進を図る必要があります。さらに、ホームレスの人たちが自立した社会生活に戻れるよう、個々のニーズを的確にとらえ、きめ細かな支援を行う必要がありますが、そのためには、積極的・継続的な相談事業を初め、総合的な自立支援事業に取り組んでいかなければなりません。また、深刻化するホームレス問題に地方自治体が柔軟かつ迅速に取り組めるよう、国に対して緊急特別対策の実施を積極的に働きかけるべきであります。いずれにしても、ホームレス問題は人権問題でもあり、本市が社会的セーフティーネットを機能させ、可能な限りの取り組みを行わなければなりません。これらホームレス問題への総合的な対策についてお聞きをします。
◎ 市長(磯村隆文君)
ホームレス対策についてでございますが、昨今の景気の低迷等により、ホームレスが著しく増加し、その対応は喫緊の課題となっています。平成11年7月1日に大阪市野宿生活者対策推進本部を設置し、課題ごとに雇用創出促進部会、自立支援事業部会、保健医療対策部会、地域環境整備部会を設け、関係部局が連携して取り組んでおります。
本年2月16日に発表したホームレス実態調査によると、8割のホームレスが何らかの仕事をしており、就労支援のためのニーズが高く、ホームレス問題の解決には雇用の確保が最も重要であります。雇用対策は、本来、国や大阪府が担うべきものであり、実効性のある対策を国や大阪府に対して強く要望しているところであります。しかしながら、大阪市では、雇用創出促進部会で関係部局が協力してホームレスの就労支援に取り組んでおり、国の第1次補正予算の緊急地域雇用特別交付金を活用して、都市美化の観点から、市管理施設や市バス停留所等の清掃事業等を行っており、12年度では延べ約4万 5,000人の雇用創出を見込んでおります。今後とも、ホームレスの就労による自立支援を推進するため、関係先の理解を求めつつ、雇用創出に努めてまいります。
また、巡回相談を初めとする自立支援事業を実施し、個々のケースに応じて家族等への連絡や年金受給などの相談等、応急的な対応を含め、きめ細かく支援を行います。さらに、健康管理指導や感染症等の予防など、保健医療の充実を図るとともに、安心・安全な地域環境の整備に努めるなど、国と地方公共団体が適切な役割分担のもと、一体となってホームレス問題に取り組んでまいりたいと考えています。