【 平成12年第1回定例会(平成12年3月)-0307日−02号 】

34番(仲山忠男君)

次に、ホームレス問題についてお尋ねいたします。

 長引く不況の中、この数年間で急激にホームレスが増加し、今や全市的に広がってきています。各地の公園や道路などの公共空間で野宿生活を余儀なくされているホームレスの数は、今では1万人を超える数に上ると推定されています。特に公園におけるテント小屋がけの件数は、この1年で 1,450件から 2,150件にふえ、実に 1.5倍にもなっていることが明らかにされています。

 大阪市では、ますます深刻化するこのホームレス問題に対処するために、昨年7月に市長を本部長とする野宿生活者対策推進本部を設置し、聞き取り調査を実施されました。その中間報告の概要を見ますと、ホームレスの生活実態は、やはりこの不況の影響からか、昨年から野宿生活を始めた比較的野宿期間の短い人が全体の41%を占めており、仕事は80%の方がしているものの、その所得が3万円未満の方が半数を超えております。また、食事は全体の60%の方が自炊をしていますが、日用品については70%以上の方が粗大ごみから得ているとのことであります。また、健康状態においても、34%の方が体のどこかに不調を訴え、そのうち80%の方が放置しており、症状の中には結核を疑われる方も少なくないとのことです。このような状況を考えれば、健康面や人道上の配慮が不可欠になることから、早急にホームレスの自立支援策を確立させることが必要であると考えます。ホームレスへの就労支援などを行う自立支援センターを整備されるこの機会をとらえて、今後どのように対処していこうとされているのか、市長の決意をお伺いいたします。

市長(磯村隆文君)

ホームレス対策についてでございますが、昨年8月、9月に実施した聞き取り調査によれば、ホームレスの8割はできれば現在の野宿場所に住み続けたいと答えており、具体的な生活再建策がなければテント等の解消は困難であることがうかがえます。また、野宿生活が長期化すれば野宿生活から脱却できる可能性が低くなるとともに、テントなどの規模も大きくかつ強固なものになるなど、公園・道路等の管理面からも重大な事案であると認識しております。

 ホームレス問題は我が国の深刻な都市問題であると考えており、小渕首相に直接お会いし、国と地方公共団体が一体となってホームレス問題に取り組むことをお願いするとともに、当面の対応策として自立支援センターの整備や専門スタッフによる巡回相談事業を試行実施し、さらに、環境・都市美化の観点から、あいりん生活道路清掃事業、高齢日雇労働者等除草等事業を拡充して、あいりん高齢日雇い労働者等の雇用創出にも努めております。一方、特に多くのテント、小屋がけを抱えている公園においては、専任の巡視員を配置するなど、施設の管理運営上に著しく支障となるもの、周辺住民に迷惑をかける悪質な行為などを中心に、重点的・集中的な対応をとっております。

 現在、本年9月をめどに自立支援センター3カ所の開設に向けて準備を進めておりますが、これを機により実効性のあるホームレス自立支援策を展開してまいりたいと考えており、今後とも、一日も早いホームレス問題の解決に向けて、ホームレスも自立でき地域住民も良好な環境の中で暮らせる社会とするために、雇用、福祉、保健医療、地域環境整備等、各分野にわたった総合的な施策を推進してまいりたいと考えております。

15番(渡司考一君)

市長(磯村隆文君)

ホームレス問題についてでございますが、この問題は、雇用、福祉、保健医療、住宅及び環境整備等、各分野にわたって総合的に取り組むべき課題を抱えた我が国の深刻な都市問題であり、一地方自治体が単独で対処できる問題ではございません。このため、小渕首相に直接お会いし、国と自治体とが一体となってこの問題に取り組むことをお願いしたところであり、その結果、国と関係自治体で構成するホームレス問題連絡会議で「ホームレス問題に対する当面の対応策」が取りまとめられ、それに基づき大阪市では、就労による自立を支援するための自立支援センター3カ所の整備に取り組むことといたしたところであります。また、雇用対策につきましては、国の緊急地域雇用特別交付金事業を活用するなどにより、あいりん生活道路清掃事業及び高齢日雇労働者等除草等事業において、平成12年度では延べ約4万 5,000人の雇用創出を見込んでおります。しかしながら、雇用対策は本市のみで取り組むことは困難であり、引き続き国及び大阪府に対して実効性のある雇用対策を強く要望してまいりたいと考えております。

 簡易宿所は、旅館業法の規定に基づき一時的に宿泊させる施設であることから、自立を助長するという生活保護法の目的にかんがみ、被保護者が継続的に居住する住居として必ずしも適当ではないと考えております。高齢、病弱等で緊急に援護を要するホームレスにつきましては、入院や施設入所により保護を行っており、保護施設においては各種生活支援サービスや自立に向けた生活訓練が提供されることから、生活保護施設で保護を適用することが最良の方法であると考えております。なお、施設入所者のうち、地域社会での生活力が回復した方につきましては、個別の状況を検討した上で敷金等の扶助を行い、居宅での保護を実施しております。今後とも、一日も早いホームレス問題の解決に向けて総合的な施策を推進してまいりたいと考えております。