【 平成13年度決算特別委員会(一般)平成14年11・12月-11月20日−03号 】
◆ 田中ゆたか委員
次に、ホームレス対策について少しお聞かせください。
本年8月にホームレス自立支援法が公布・施行されました。これまで大阪市が取り組んできました施策について裏づけされたわけでございますけども、これを契機として、今後大阪市がホームレス対策にどのような目標を持っていくのかが改めて問われると思っております。また、これまでのさまざまなホームレスの対策の一方で、平成10年8月時点の調査では8,660というホームレスの数でございましたけども、推定1万人以上とも言われるようにふえております。まず、この点についてしっかり認識を持っていただき、一層対策を進める必要があります。
そこで、これを踏まえて法施行を受けて、いつごろまでにどのようにして大阪市の新しい施策の目標を打ち立てていこうとしているのか。また、いつまでに対策を完了する予定であるのかお聞かせください。
そして次に、これまでのホームレス対策の中で、自立支援事業の中心施設であった自立支援センターでございますけども、私の地元にも自立支援センターがありまして、その運営について日常見聞きする機会が多うございます。
自立支援センターの重要な位置づけは法施行後も変わらないと思いますし、今後の自立支援センターの整備・運営について、現在どのように考えているのか、また運営中の施設については、開設後約2年を迎えております。一定の実績を上げているようでございますけども、一方で現在のセンターの設置期間は当初3年間ということでございましたが、この点も含めてお聞かせください。
◎久保健康福祉局福祉本部生活福祉部野宿生活者対策担当課長 お答えをいたします。
ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の制定を受けまして、今後の対策をどう進めていくのかということでございますが、来年の1月から2月にかけまして、国において全国実態調査が予定されております。この実態調査を経まして基本方針が策定され、これを受けた形で府、市が実施計画を策定するということとなりますが、来年度中の速やかな計画の策定に向けまして、本市野宿生活者対策推進本部を中心に検討を進めてまいります。
その中で、自立支援センターを初めとします諸施策につきまして十分に具体的な検討を行い、法期限でございます10年を視野に対策を抜本的に進めてまいります。
次に、自立支援センターにつきましては、委員御指摘のとおり、法施行後もホームレス自立支援策の中での一層重要な役割を占めるものと認識しておるところでございます。現在その新規整備に向けまして関係先と調整中でございますが、引き続き鋭意努力してまいりますとともに、大阪市が他都市に先駆けて整備してまいりました既存の施設につきましても、支援法が10年の時限立法で5年目に見直しを行うこととされていることからも、これらも含めまして中長期的な視点で運営を図る必要に迫られておるところでございます。引き続き、施設の所在する地元の皆様の御協力を得てまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
◆田中ゆたか委員 最後にお願いしておきますけども、国の補助も入ってきて多額の市費も投じられようとするわけでございますけども、市民の税によって行われる事業ということを肝に銘じていただきまして、実施計画の策定及び実施に当たっては、市民の理解が得られるように特に気を配っていただきたいと思っております。
また、現在、公園、河川、道路、高架下などで居住しているホームレスが増加しておりますけども、これらの人々に対して、これまで以上に施設管理者との連携を密接にしながら計画的に支援していただきまして、さらに、とりわけ施設の立地する地域の住民に十分な説明をして同意を得て、地域と共存する運営を図るように特にお願いしておきます。
◆山本修子委員 次に、ホームレス対策についてお伺いいたしたいと思います。
私の地元の長居公園の仮設避難所についてでありますが、昨日もこれについて質疑ございました。重なりますけれども、地元でございます。再度確認をさせていただきたいというように思います。
約束どおり、3年以内のできるだけ早い時期ということで、本年度末にも閉鎖されると理解してよろしいでしょうか。
◎北乾健康福祉局福祉本部生活福祉部野宿生活者対策担当課長 お答えいたします。
長居仮設一時避難所の閉鎖の具体的な時期につきましては、できるだけ早期の閉鎖に努めてまいりますが、残る19人の入所者がおりまして、本人の意向もございますことから、処遇に一定の期間を要しますので、本年度末の閉鎖に向けて対処してまいりたいと考えております。以上でございます。
◆山本修子委員 ぜひよろしくお願いします。
同時に、もう一つの住民との約束は公園内のテントをなくすということでございますから、一日も早く、まだわずか残っておりますそのテントを撤去していただきますように強く要望しておきたいと思います。
先ほど田中委員の質疑でもございました、これからホームレス対策ということで、法に基づいて国の基本実態調査並びに基本調査、基本方針に沿って府・市でも対策が実施をされていくという道筋が示されたところでございますが、やはりかなめは自立支援センターからの出口問題である就労問題だというふうに思います。
大阪市では、ホームレスの就労自立を支援する中核施設である自立支援センターを3カ所設置しておられます。入所者を見てみますと、平均年齢は50歳代と中高年齢層であって、支援を得られる家族、親族がいない、借金問題を抱えている、就職に有利な資格・技能などを持たない人が多いといった再就職に結びつきにくい状況にあることがわかります。これまでの退所者の内訳を見てみますと、就労により退所した人が4割、生活保護施設入所等による人が約1割、半数の人は何らかの形で自立に向けて退所できたものの、残る約半数の人は雇用に結びつかずに退所なさっているということでございます。
私は、昨年3月の民生保健委員会で、障害者雇用の促進について、本市発注事業の活用について指摘をさせていただきました。調べてみますと、こうした障害者など就職困難者に対する雇用施策の一環として、他の自治体では既に発注事業等の活用にかかわる取り組みがなされているということがわかりました。
例えば仙台市では、清掃業務などの役務を発注する場合、障害者雇用を促進している市内の中小企業を優先して選定すること、また木工品や軍手などの物品が必要な場合に、授産施設、小規模作業所などから調達するといった優遇制度を実施なさっていると聞いております。
そこで、こうした先進的な事例を参考にして、本市においてもホームレスなどの就職困難者に対して、大阪らしい雇用創出の取り組みの一環ということで、本市発注事業の活用を図っていってはどうかというふうに思います。全庁的、横断的に雇用施策を調整する市民局のお考えをお伺いいたします。
◎河野市民局市民活動推進部雇用・勤労施策室長 お答え申し上げます。
本市は、全国最多の野宿生活者が市域内におられます。これらの人々に対する自立支援は喫緊の課題でございます。これまでに、自立支援センター入所者に対しまして、大阪府や公共職業安定所との連携により職業訓練や職業相談、職業紹介などの支援を行い、就労による自立の促進を図っております。
こうした上に立ちまして、障害者に対する仙台市の取り組みや他の自治体の事例などを十分研究いたしまして、本市発注事業にかかわりまして雇用施策としてどのようなことが可能か検討してまいりたいと考えております。
◆山本修子委員 これまでも、市会として障害者雇用に関して業務委託をした事業者に障害者の雇用を義務づけること、あるいは障害者の雇用促進を図っている優良企業に対する優遇措置などについて相当議論されてきたという経過がございます。しかしながら、実態は十分進捗していないというふうに思います。失業者がふえる中で、これまでも就労困難な障害者はもとより、喫緊の課題としてあるホームレスの雇用創出について、本市発注事業を活用し道を切り開くべきだと私は考えます。こうした就職困難者に対する雇用対策を積極的に、主体的に進めていくことこそ、大阪市としての行政責任であると考えるわけです。
雇用問題にしっかりと積極的に取り組む強い姿勢のもとで、本市発注事業を生かしたホームレスなどの就職困難者の雇用促進に取り組むべきだという私の提起に対して、再度お答えをいただきたいと思います。
◎鷺島市民局青少年・労働関連施策担当部長 お答え申し上げます。
雇用・就労は、本来あらゆる人々がみずからの意思に基づき、自己実現の一つの手段として取り組み、生きがいや生活に必要な対価を得るものと考えられ、人間の基本的権利の一つをなすものと考えております。
委員御指摘のように、今日の厳しい雇用情勢の中では、就職困難者はより厳しい雇用環境のもとに置かれているものと認識いたしております。こうした中で、本市発注事業を契約した請負者に対し、当該事業に就職困難者等の雇用・就労を確保するための方策など、これまでの市会での御議論を踏まえまして、全庁的な方策検討を行ってまいりたいと考えております。
◆山本修子委員 ホームレス等の雇用創出について、大阪市として取り組むべき課題を今申し上げましたけれども、もう1点、広域的な視野に立っての就労支援についてお伺いしたいと思います。
今般、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定をされ、国と地方公共団体それぞれの責任分担のもとで多様な施策が推進されていくというふうに思いますけれども、就労支援に関しては雇用先の確保が厳しい大阪に限らず、もう少し広域的に探してみるべきではないかと思うわけです。例えば他の府県においては環境や自然の保全など、都心にはない雇用もあると思われ、ひいては過疎地対策にもなるような広域的な雇用需給調整を図るシステム、これを創設するなど、雇用確保の取り組みをさらに一歩進めるべきだと考えます。
ホームレスの自立支援において、雇用と就労確保に向けた支援策が重要であり、積極的に推進すべきことを昨年の市会においても我が会派は強く主張してきたところであります。雇用対策は、一地方公共団体で完結できる問題ではないことは理解できますけれども、まず、これまでの経験の上に立って、近畿圏からでもホームレスの就労支援に向けた行政ネットワークや、さらに経済界、産業界、労働界も含めた有効なネットワークを構築し、雇用の拡大を図るシステムを本市がリード役となって進めていくことが必要だと思いますけれども、御見解はいかがでしょうか。
◎武内健康福祉局福祉本部福祉援護担当部長 お答えいたします。
ホームレス対策についてでございますが、ホームレスに至る大きな要因は御承知のとおり失業問題でございます。これに、個人的な要因が複雑に絡み合った結果であると考えておりまして、その対策に当たりましては、特に雇用対策は極めて重要なことであると認識いたしております。
大阪市におきましては、ホームレスの方々が早期に野宿から脱却して再び野宿生活に戻らないように、自立支援センターにおいて個々の入所者の状況に見合った生活及び就労の指導と訓練、さらに職業相談、職業あっせんなどを行っておりますが、現在の雇用情勢の悪化とも相まって大変厳しい状況となってございます。
ホームレス対策におきましては、安定した雇用の確保、就労支援が最も重要でございますことから、再就職が可能となるような職業訓練の充実や広域的な就労先の開拓、また職業あっせんなどのあり方を、国の機関であります大阪労働局並びに大阪府とも一層緊密な連携を図りながら、委員御指摘の就労支援のネットワークを含めた、さまざまな手法について積極的に検討を重ねてまいりたいと考えているところでございます。