【 平成14年3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-0318日−04号 】

◆鈴木のり子委員 

 次に、ホームレス対策についてお尋ねいたします。

 ホームレス問題は都市部において顕著な問題であり、とりわけ最も多くのホームレスを抱える大阪市においては、その解決が喫緊の課題となっております。大阪市ではホームレス対策として巡回相談事業を初め、自立支援センターや仮設一時避難所の整備運営に取り組まれていますが、来年度の拡充内容及び自立支援センターのこれまでの支援状況について説明をお願いいたします。

◎西尾健康福祉局福祉本部生活福祉部連絡主幹 お答え申し上げます。

 ホームレス対策といたしまして、来年度は国の補助を受けながら巡回相談員の増員による巡回相談事業の充実、大阪城公園での仮設一時避難所の設置運営や、自立支援センターの新たな4カ所の整備に取り組み、ホームレスの自立支援に一層努めてまいります。

 整備に当たりましては、今後とも市民の理解と協力を得ながら取り組んでまいりますとともに、入所者のプライバシーの確保にも配慮してまいりたいと考えております。

 自立支援センターでは巡回相談を通じて入所いたしましたホームレスに対し、宿所及び食事の提供、健康診断、生活相談・指導を行い、就労意欲を助長するとともに、大阪府や大阪労働局、公共職業安定所との密接な連携のもとで職業訓練を初め、職業相談・あっせん等を行うことにより就労による自立を支援しております。

 また、これまでの自立支援センターでの実績といたしましては、平成14年1月末現在 814人が入所し、既に 596人が退所しております。退所者の40%に当たる 239人が就労により自立を果たしており、また13%に当たる78人が入院や施設へ入所し、福祉的援護を受けております。以上でございます。

◆鈴木のり子委員 ホームレスの自立に当たっては就労が非常に重要な課題であります。自立支援センターから就労により自立した者と福祉的援護を受けた者を合わせると退所者の約半数になるとのことですが、それ以外の方はどうなっているのでしょうか。また、これではホームレスの就労による自立を支援するための施設である自立支援センターが十分機能しているとは言えないのではないでしょうか。いかがでしょうか。

◎西尾健康福祉局福祉本部生活福祉部連絡主幹 お答え申し上げます。

 自立支援センターにおきましては、社会福祉施設での経験豊富な職員による入所者に対する生活相談・指導などを十分行っております。また、センターの生活相談指導員と公共職業安定所の職業相談員が緊密な連携を図りまして、入所者の就労に向けた自立支援をしております。

 しかしながら、退所者 596人のうち 166人が帰郷や知人・友人のところで仕事を探すなどの自主退所、60人が理由を告げない無断退所、53人が飲酒等による規則違反退所となっており、退所者の47%が自立支援センター入所中に就労に至らず退所となっております。また、退所者につきましては巡回相談事業と連携を図り支援に努めてまいります。

 入所者が昨今の社会経済情勢、雇用環境の中で就職することは厳しい状況にありますが、今後とも関係者ともども一人でも多くの入所者が就労により自立できますよう努力してまいります。以上でございます。

◆鈴木のり子委員 自立支援センターからの自主退所者や無断退所者などを減らし、自立支援センターを十分に機能させるためには就労に結びつくような職業訓練が重要であると思います。

 これまで自立支援センター入所者に対してどのような職業訓練を行ってきたのか。また今後どのように充実させるのか。そして自立支援センターからの退所者で再びホームレスに戻ったものに対してどのような支援をしていくのか説明をお願いいたします。

◎東健康福祉局福祉本部生活福祉部連絡主幹 お答えいたします。

 自立支援センターでは、入所者に対し大阪府がフォークリフト運転技能講習などの短期の技能講習や就労訓練としての常用雇用促進事業を実施しており、また、本市では国のホームレス能力活用推進モデル事業を活用して野宿生活者能力活用推進事業を実施し、さまざまな求人情報の収集・提供を初め、自転車修理等の技能講習会や民間事業者への雇用機会提供に対する説明会の開催にも取り組んでいるところです。今後、入所者個々人のニーズに合い、しかも就職にも結びつきやすい職業訓練につきまして、大阪府と連携し検討していきたいと考えております。

 また、自立支援センターでは退所者のアフターケアについても検討するとともに、巡回相談事業との連携を一層強化し、再び野宿生活に戻った退所者に対しましては、巡回相談員とともに継続的な相談などの支援に努めてまいります。

 今後、野宿生活者の状況や自立支援センターの整備状況を考慮した上で、自立支援センターの入所のあり方についても検討していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

◆鈴木のり子委員 最後に要望ですけども、ホームレス問題はさまざまな要因が複雑に絡んだ問題であり、またホームレス個々人に応じた施策を必要とする非常に困難な課題がありますが、大阪市として今後も積極的に粘り強く取り組んでいただきたいと思います。

 以上で私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。