【 平成14年3月定例会常任委員会(文教経済・通常予算)-03月14日−02号 】
◆柳本顕委員
大阪城そして大阪城を取り巻く公園で、もう一つの課題というのはホームレス問題であります。
当委員会はゆとりとみどり振興局で公園管理を担当されておりまして、本来であればホームレス問題について議論するときにはその出口となる雇用施策や医療、福祉の点でも指摘すべき点があるわけですけれども、今回は公園の適正化ということに絞って質疑をさせていただきます。
大阪城公園では平成13年度、今年度にホームレス対策として仮設一時避難所の建設が予定されていたと思うんですれども、どうやら来年度になるようであります。おくれている理由をお聞かせ願います。
◎鍵ゆとりとみどり振興局総務部企画主幹 お答えいたします。
大阪城公園での野宿生活者によるテント・小屋がけ数は平成13年8月の調査では 649件と非常に多く、テント・小屋がけ数の比較におきましては既に仮設一時避難所を設置いたしました長居公園の約 1.5倍、西成公園の約3倍となっております。このことから仮設一時避難所の規模や場所の選定におきまして、より慎重な計画の検討が必要でございますが、これらの調整がおくれておりまして今年度に設置することができない状況でございます。
現在仮設一時避難所をより効率的かつ円滑に設置できるよう、野宿生活者の概況把握など予備的な調査を進めておりまして、今後一日も早く大阪城公園仮設一時避難所の設置準備に入っていく予定でございます。よろしくお願いいたします。
◆柳本顕委員 少なくともこれ以上事業をおくらせることは賢明ではないと思いますので、早急な対応をお願いするわけですけれども、確かにホームレス対策としての仮設一時避難所は建てれば対策になるというものでもなく、どのように入所を促し、いかにして出口形成をしていくかということも重要なだけに調整は困難ではあると思います。また慎重に進める必要があるのも事実であります。
仮設一時避難所の第1弾となった長居公園についてですが、平成12年末の開設よりちょうど1年ぐらいたったところなんですけれども、公園の状況もかなり改善されたように感じています。現在の長居公園内のホームレスの状況はどうなのか。仮設一時避難所の開設から現在に至るまでの、施設の利用状況とあわせてお聞きいたします。
◎鍵ゆとりとみどり振興局総務部企画主幹 お答えいたします。
現在長居公園内には1人の野宿生活者が居住しており、8件のテント・小屋が残っております。今後一日も早く適正化を図るため努力してまいります。
また仮設一時避難所につきしては宿泊棟12棟、最大利用人員 264人で開設しました。開設以来約1年2カ月で 193人が入所し、このうち 110人が自立支援センターへの入所や就職、施設入所などにより退所し、現在83人が在籍しております。野宿生活者の退所に伴い、昨年8月に2棟撤去いたしまして、現在10棟、最大利用人員は 200人でございますが、今後利用人員に適した形で順次、撤去・縮小してまいります。
◆柳本顕委員 まだ長居公園内に1人のホームレスがおられるということですけれども、長居公園にわずかでもホームレス、テント・小屋がけがあるということは、またホームレスが増加する根っこを残しているということでありますので、今後とも適正化に向けての努力をお願いいたします。
また、公園内の仮設一時避難所の設置については、長居公園が初めてということであっただけに、そのニーズのほどを把握することはなかなか困難であったことと思いますけれども、現在は83人の在籍者に対して、最大 200人のキャパがあるということなので、答弁にもあったようにむだのないよう適宜縮小していただきたいと思います。
次に、昨年末に開設された西成公園の仮設一時避難所についてですが、報告では年末に5棟、 100人分、1月に入ってからさらに5棟、合計10棟ですね、 200人の入居が可能ということですけれども、現在の利用状況と西成公園の近隣の公園の現状をお聞きいたします。
◎鍵ゆとりとみどり振興局総務部企画主幹 お答えいたします。
西成公園での野宿生活者によるテント・小屋がけ数は13年11月の実態聞き取り調査では 251件を数え、公園の利便性の向上を図るため、昨年12月末に仮設一時避難所を開設し、現在56人の野宿生活者が入所しております。しかし、まだ公園内には 100人程度の野宿生活者が居住しており、今後引き続き入所誘導を図ってまいります。
また、西成公園の近隣の公園でも野宿生活者によるテント・小屋かけが約90件を数え、地域住民からも野宿生活者対策として仮設一時避難所の活用が要望されております。
このことから近隣の公園の野宿生活者については、野宿生活者の健康状態、生活状態などの実態を把握し、基本的には自立支援センターへの入所誘導を図りながら、仮設一時避難所も活用していきたいと考えております。
◆柳本顕委員 施設を開設したからといって、これは入居者でいっぱいになればいいというものではありませんけれども、ほぼ同規模の長居公園では初めの2カ月間で入所者は 140人ぐらいだったと思います。それと比べると西成公園は3分の1以下で、しかも公園の適正化もまだ進んでいないように思います。西成のホームレスは居住期間が長いという地域性も理解できますけれども、地元の協力のもとでできた施設でもありますので、十分に生かして公園の機能・回復を少しでも着実に進めていただけますよう、強く強く要望しておきます。
特に、西成公園もそうですけれども、学校と隣接している公園などは、子供たちが安心して通学できるようホームレスとのトラブルを回避するためにも、一日も早く改善に着手していただきたいと思います。
最後に今後長居、西成、大阪城の3公園についての取り組みの御決意をお伺いいたします。
◎南崎ゆとりとみどり振興局施設管理調整担当部長 お答え申し上げます。
平成12年度から大規模かつ集団的に、テント・小屋がけのございます公園を対象に公園の適正化対策と野宿生活者の自立の支援ということを目的といたしまして、仮設一時避難所の設置を進めてまいりました。
おかげさまをもちまして、平成12年度には長居公園、今年度には西成公園に仮設一時避難所の設置をするということができました。しかしながら、西成公園におきましては、入所者はまだ56人ほどでございます。現在も継続的な指導を実施しておりますけれども、今後さらに近隣の公園も含めまして機能回復に向けて鋭意努力をしてまいります。
また引き続き来年度には大阪城公園におきましても、仮設一時避難所の設置を計画しておりまして、今後速やかに施設を設置し、公園の現状を改善してまいる所存でございます。
私どもといたしましては、仮設一時避難所の設置に多大な御理解と御協力をいただきました地域住民の皆様におこたえをするためにも、一日も早く公園の適正化を図ってまいりたいという決意で臨んでおります。
また、これは委員の先ほどの指摘にもございましたけれども、ホームレス問題の抜本的な解決を図りますためには公園や道路などの公共施設の管理適正化とあわせまして、やはり雇用施策や医療・福祉施策等の総合的な対策を推し進めていく必要がございます。今後とも大阪市野宿生活者対策推進本部のもとで、各関係局ともども連携して取り組んでまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
◆柳本顕委員 ありがとうございました。
着実に進めていただきますようお願いいたします。
ホームレス関連で、学校周辺対策について教育委員会にも確認しておきます。
教育委員会の一つの役割として、学校内外での子供たちの安全を確保するということがあると認識しておりますけれども、しかしながらホームレスや露天商の存在が子供たちの学習環境を著しく悪化させたり、先ほども触れましたけれども、通学路をふさいでいるという現状が見られます。この点については長年にわたり多方面から強く状況の解消が要望されているのにもかかわらず、平成12年度に学校内に一定の対策はとられたものの、十分な解決策とはなっていません。現在も子供たちの通学環境は極めて不安全であると言わざるを得ません。
この点、教育委員会として今後どのような決意で取り組んでいかれるのか。子供の安全をどのように確保されていくのかお聞きいたします。
◎瀧澤教育委員会事務局総務部整備課長 お答えいたします。
教育委員会といたしましては、これまでも学校などにおける子供たちの安全確保や良好な学習環境の保持に努めてまいりましたが、今後ともより一層子供たちの安全確保、良好な学習環境の確保に向けまして学校を初め、関係諸機関と綿密に連携を図りながら取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
◆柳本顕委員 ぜひとも教育委員会としても、各局と協力して対策に力を入れていただきますようお願いいたします。
このホームレスの問題と一緒にすることが適切ではないかもしれませんけれども、昨年は6月に大阪教育大学附属池田小学校での児童殺傷事件が起こり、私自身も兄弟校出身の一人として大変苦しい思いをいたしました。ホームレスの私の地元の近くの方からは、同じような状況が自分たちの学校でもいつ起こるかわからないという不安の声が聞かれます。大阪市でも学校園の安全確保に向け、インターホンの設置や防犯警備機器の設置など安全防犯対策マニュアルのもと、危機管理体制の確立の取り組みを進めていただいているわけですけれど、さらに地域事情も踏まえた上での対策の強化に努めていただきますよう、強く要望しておきます。