【 平成13年5月定例会常任委員会(民生保健)-0522日−01号 】

○福山よしてる委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長発議のとおり決しました。

 次に、陳情書の審査に入ります。

 陳情第22号、長居公園仮設一時避難所を直ちに撤去し、ホームレスの抜本的対策を求める陳情書を議題といたします。

 理事者の見解を表明願います。

◎福島健康福祉局長 それでは、健康福祉局関連の陳情書につきまして見解を申し上げます。

 陳情第22号、長居公園仮設一時避難所を直ちに撤去し、ホームレスの抜本的対策を求める陳情書についてでございますが、長居仮設一時避難所につきましては、長居公園の適正化と公園内の野宿生活者の自立に向けた支援を図るため、昨年1122日に整備に着手し、1229日から受け入れを開始いたしました。これまでに170人が仮設一時避難所へ入所したこともあり、公園内の野宿生活者も20人以下となっております。

 また、テント・小屋がけの件数は、昨年8月には約450件ありましたが、現在では約40となっており、快適に公園の利用ができる状態となりつつあります。引き続き、残る野宿生活者に対しましても、粘り強く入所を説得してまいりたいと考えております。

 また、仮設一時避難所に入所した170人のうち35人が、自立支援センターへの入所あるいは入院や生活保護施設への入所措置等により退所いたしました。5月16日現在、135人が入所中であります。今後とも、就労支援や福祉措置等による自立を促し、仮設一時避難所は3年以内に廃止する所存でございます。

 以上、陳情書につきましての健康福祉局の見解を申し上げました。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。

◆山本修子委員 今の陳情第22号にかかわって、もう少し事実関係といいますか、実態を正しく確認をしておきたいというように思います。

 今の福島局長の見解で、長居公園の実情は5月16日現在で、避難所への入所総数170人、退所総数35人、その退所の内訳として、自立支援センターへは8人、就労3人、帰郷が2人、入院が3人、施設入所が12人、自主退所が7人ということで、また、残るテント・小屋がけ数も38件というふうに、私の方へは資料としていただいているところでございます。

 ただ、この陳情にありますように、昨年の8月は458件だったと思います、テントがありました。そして、今現在では38件が残っていると。いわば、引き算をいたしますと、420件のテントがなくなっていて、そのうち、避難所にこれまで開所以来入所した人が170人いると。そして、先ほどありましたように、退所して自立への道を歩んでいる人が、その35人のうちの何人かと、ほとんど大半というふうに理解をするところであります。

 陳情書では300人がどこかに行ったというように書かれているわけです300人といいますと、計算しますと正確には250人ぐらいの人、昨年の夏から、テントから出て行った方ですね。250人ぐらいいらっしゃるわけですが、そのどこかに行ったというふうに書かれてて、それが地域周辺に拡散しているんではないか、こういうことの疑念が呈されているというふうに思います。

 私も地元におりますから、市民感情として、大変公園がきれいになってきたというのはうれしいことなんですが、昨年の夏以来の、そしたらそこへ住んではった人はどこに行きはったんやろということが少しも見えてこないということで、一定そのあたりをもう少し整理をして、明確にしていただきたいなというように思います。

 事前にいただいた資料によりますと、昨年の8月から避難所開所までの間に約240件の相談があって、そのうち220件については、医療機関への入院措置とか生活保護施設への入所措置がなされたということが報告をされているわけですけれども、そのあたりをもう少し明確にしていただいて、いわば陳情書に出ているこの300人はどこへ行きましたんやという、この実態をもう少し正確に言っていただいて、そして、地域周辺の公園などに拡散という形で、結果としてそうなってしまっているんではないかというこの疑念に対して、いや、そうではないんやったらそうではない、いや実はそうですねんというんやったらそうですということで、ちょっとここを明確にしていただきたいと思います。

◎松浪健康福祉局福祉本部生活福祉部連絡主幹 お答えいたします。

 長居公園においての平成1210月調査では、野宿生活を余儀なくされている人のテント・小屋がけ数は約430件程度でございました。

 一方、長居仮設一避難所の計画発表を行いました昨年の8月以降、委員御指摘のように、長居公園の野宿生活者のうち、高齢者や病弱者など就労困難な人たちにつきましては、避難所開所まで放置できないということから、医療機関への入院や生活保護施設への入所など、必要な援護を行うとともに、避難所開設以降も同様の措置を講じまして、今年4月末までに約220件の福祉援護による対応を行ってまいりました。

 また、昨年末に開所いたしました長居仮設一時避難所へは、本年5月16日現在では、170名の入所受け入れを行ってまいりました。結果、現在では公園内の野宿生活者は17名となっております。このことから見ますと、20名程度の方が何らかの自己の努力によりまして、自主的にテント・小屋がけを撤去し、長居公園から退去していったものと考えております

 一方、ゆとりとみどり振興局からいただいた資料によりますと、大阪市内全域の公園におけるテント・小屋がけの総数は、本年2月の調査では2,118件となっており、昨年8月調査での2,593件から見まして、475件が減っている状況となっております。以上でございます。

◆山本修子委員 今のお答えですと、いわば周辺の地域の公園に拡散したのではないというふうに、ほぼ確認はできると思います。

 ただ、市民感情として、まだまだ大阪市としてのホームレスの抜本対策というのは見えてこないものですから、見えてこないというのは、この陳情にもありましたように、長居公園につくられた仮設の避難所から自立支援センターへ行かれたのがわずか8人という実態、これではなかなか自立支援センターへ行く人、次から次へと10人から15人毎月センターへ行ってもらって自立への道を歩んでもらうんですというふうに言われていたそのことと合ってこないではないかというふうに言っておられると思うんですね。つまり、そういう道筋が見えていない。抜本対策としての道筋が見えていないということが、一つはあると思うんですね。

 そこで、市内3カ所で、昨年10月から順次開設された自立支援センターの運営状況、これ少しお尋ねをしたいと思います。

 お伺いしたところによりますと、4月末現在で入所者総数が371人、そのうち就労により退所した人が44人、また、自立支援センターからの通勤者が69人で、合わせて113人が就労されているということでございます。ただ、この数字は入所者総数から見ても、まだまだ就労した人が約3割ぐらいと、非常に少ないというふうに思います。

 そこで、この自立支援センターで今後どのようにして就労自立に向けて取り組んでいくのかというあたりを、もう少しお伺いしたいというように思うんですね。

 つまり、自立支援センターへの流れをつくっていかないと、これは長居公園だけではございません、他の周辺の公園も、先ほどおっしゃったように、二千数百のまだテントが張られている。あるいは高速道路の下とか、路上で段ボールで寝てらっしゃる方もまだまだ目につきます。そういった人たちを野宿から自立への道へと誘導していくというその目的がこの自立支援センターの一つの大きな役割としてあるわけですから、そこが余り動かなかったら全然解決にならないわけですね。そのあたりどうなっているのかお聞かせいただきたい。

◎松浪健康福祉局福祉本部生活福祉部連絡主幹 お答えいたします。

 現在、市内3カ所の自立支援センターから退所した総数につきましては、4月末現在で156人であります。そのうちのおよそ3割に当たります44人が就職による退所となっています。

 自立支援センターを十分機能させ、野宿生活者問題の根本的な解決を図っていくためには、実効性のある雇用対策が必要であることから、現在、大阪労働局を通じまして、関係者に対し求人開拓への協力を求めますとともに、大阪府が行っている野宿生活者常用雇用促進事業や生ごみリサイクルモデル構築委託事業などとの連携を図っております。

 しかし、財源を含めまして、本市単独では対応しきれない問題であることから、大阪府とともに、環境や自然の保全事業等、農林業従事者を補う形での雇用創出など、特別就労対策事業の実施について、国に対し引き続き強く要望を重ねてまいりたいと考えております。以上でございます。

◆山本修子委員 今言っていただいたような内容を、もう少し私たち市民に逐一情報提供していただきたいというように思うんですね。

 3月の予算委員会におきまして、私はホームページでぜひ知らせてほしいということで、どうもいろんな事情があっておくれているようでありますけれども、大阪市としてこのホームレス対策、懸命に、重点を置いて取り組んでいるんだというあたりをぜひ知らせていただきたい。そのことで、市政に対する理解も深まるだろうというように思っておりますので、ぜひお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、この3月市会において、今夏を目途に大阪市としての当面の対応策を策定するというように、我が会派の質問に対して御回答をいただいているところであります。

 我が会派は、この3月の予算市会におきまして、磯村市長に、大阪市ホームレス問題への提言を御提起申し上げました。

 一つは、大阪市において当面の対応策を策定するに当たっては、関係団体や雇用問題と関係の深い経済界・労働界との協議会を設置することが急務ではないかということをあげております。

 それから、野宿生活者の実態とニーズ把握を的確に行いながら、具体的な支援施策につなげることが重要であると指摘をし、そのためには、雇用の問題について、とりわけ国任せということではなくて、大阪市としても、過疎地対策事業や広域的な雇用需給調整を図り、そしてそのために自治体間の協力機構の創設や受け皿としての雇用支援ネットワークの創設などを行うことが、喫緊の課題であるというように指摘をさせていただいておりますが、このあたりを再度、決意を含めてお尋ねをしておきたいと思います。

◎武内健康福祉局福祉本部福祉援護担当部長 お答え申し上げます。

 今、委員から御指摘ございました大阪市の当面の対応策につきましては、3月市会でも御指摘ございましたんですけど、いずれにしましても、本年1月に市大の方で取りまとめました総合的調査研究報告書、さらには、有識者で構成いたしております懇談会等での御議論等を参考にいたしながら、またさらには、多方面からの御意見を賜りながら、ことしの夏をめどにとりまとめたいというふうに考えているところでございます。

 取りまとめに当たりましては、今、山本委員から雇用の問題の御指摘がございましたけれども、自立支援の問題あるいは雇用、保健医療、住居、さらには環境整備等のそれぞれの課題ごとに、大阪市の地域事情や、国、大阪府、民間等の役割分担のあり方も含めまして、それらを踏まえた内容にしたいと考えているところでございます。

 大阪市の野宿生活者対策につきましては、これまで巡回相談事業の創設でありますとか、自立支援センターや、今ございます仮設一時避難所の整備等ございますけども、これにあわせまして、入所者の方に対しましては、生活訓練といたしまして、所内での作業といいますか、軽作業的なもの等についても緊急に取り組んでまいっているところでございます。

 これらの事業につきましては、着実な推進を図っているところでございますけども、しかし、いかんせん一地方自治体だけではやはり限界もありますことから、先ほど申しておりますように、国に対しましても、また市会の御協力を賜りながら、特別立法の制定や特別就労対策事業の実施について、要望を重ねてまいっているところでございます。

 今後の対策につきまして、その効果的な推進をするに当たりましては、今、委員からも御指摘ございましたように、当事者のニーズの把握は極めて重要でございます。それぞれの方々に見合った支援プログラムを作成することは極めて重要なことでありますので、13年度予算におきまして、巡回相談員を11名から17名に増加をさせていただきました。それの取り組みを図っているところでございます。

 また、最後に御指摘がございました雇用の問題、これは極めてこの対策での大きな位置を占めるわけでございます。この点につきましても、大阪市の役割等もございますけども、国に要望を重ねていくとともに、委員御指摘ございましたように、雇用支援のネットワークといいますか、そういう環境づくりの整備といいますか、それらにつきまして、今後、幅広い関係機関がございますので、それらも調整しながら十分検討してまいりたいと考えています。

 いずれにいたしましても、市長を本部長といたします野宿生活者対策推進本部のもとに、全庁体制で大阪市の先ほど申しております当面の対応策の策定に取り組んでまいりますとともに、今後とも引き続き大阪市といたしましては、また市会の御協力を賜りながら、国に対して特別立法の制定や特別就労対策の実施について要望を重ねてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◆山本修子委員 夏には、ぜひ私ども市民にわかるような形での大阪市としての当面の対策、同時に中長期にわたる対策をお示しいただきますことをお願いし、また期待もいたしまして、質問を終わります。

◆山中智子委員 ホームレス対策の抜本的な問題ですとか、今の自立支援センターへの流れなどについてはもう御質疑ありましたし、これまでにも何回もこのことは質疑をしてきましたので、少しだけお時間をちょうだいして、私たちの立場を申し上げたいというふうに思います。

 こういう形で既にでき上がって、現在135名の方がここで生活をしておられるこの仮設一時避難所を、しかし、それでも撤去をしてほしいという陳情が、やっぱり上がるまでになった経過を私たちは振り返りながら、常に肝に銘じて同じ失敗をすることのないようにしていかなければならないというふうに思うわけです。

 市民の皆さんが、長居公園にまず最初に2つ、3つのテントができたときに、何とかしてほしいと相談したけれども大阪市は何もしなかったと。それがある日突然、仮設一時避難所をつくるという話が出て、それから本当に長い間住民の皆さんは、思いを大阪市の皆さんにもぶつけてこられました。去年の秋には、テレビや新聞で大きく報道される小競り合いの中で着工がされたわけですけれども、ああいう一連の経過が、今なお一時避難所を撤去してほしいという、言葉は悪いですが、できないことといいますか、135人の方が暮らしておられるところを壊せとまでいう陳情に私はつながってるというふうに思うわけです。

 この辺のあたりはよく振り返っていただいて、遅まきながらと言ったらあれですけれども、でき上がった後で、住民の方たちを巻き込んだ協議会ですか、つくったようにお聞きをしていますけれども、今、協議会の状況ですね。住民の皆さんがそこにどんなふうに参加されてどんなことを言っておられるのか、それがどんな形で公開されているのか。情報公開、住民参加という立場で、この今の協議会のことについてちょっと御説明ください。

◎松浪健康福祉局福祉本部生活福祉部連絡主幹 お答え申し上げます。

 御指摘のございました運営に関する協議会でございますけども、これまでに過去4回開催いたしてまいりました。

 中での議論といたしましては、まず最初には設置についてということで、まだ設置がされておりませんでしたので、そういった運営委員会の必要性についての内容について開催いたしました。

 その後、施設の視察なり、そういったことも含めまして開催してまいったわけでございますけども、設置後の開催につきましては、まだ残るテントがございましたので、そのテントの撤去計画の問題とか、自立支援センターへの入所措置について円滑な措置ができるようにということの内容で論議がされてきたところでございます。

 この会議の公開につきましては、前回の会議で、一応傍聴の内容につきまして論議いたしまして、傍聴については前向きに検討したいということで、現在協議を進めているところでございます。以上でございます。

◆山中智子委員 ぜひ傍聴など情報公開も大いに進めていただいて、今度の仮設一時避難所の問題を、ひとり健康福祉局だけではなく、大阪市全体の市政のあり方が、あのことがあって変わったと後で言えるような、本当に市民の皆さんの声をよく聞きながら仕事をするようになったなと、あのことがあってと、せめてそういうプラス面が後で振り返ったときに残るような、そういう仕事を引き続いてやっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 あわせまして、とにかく仮設一時避難所ありき、私たちは仮設一時避難所を必ずしも否定するものではありませんけれども、これほどまでに住民の皆さんと、もしもこれからもあつれきが起こるようであれば、それを既定の方針とするのではなく、先ほどから出ていますように、事前に相談にぜひ来ていただいて、福祉援護措置という形で何とか直接自立支援なり福祉措置、入院などができないのかなど、いろいろ柔軟に対応していただいて、なおかつそれでも仮設一時避難所がどうしても必要だという場合には、いろいろと先々情報を、先に知らせてしまえば反対運動も早く起こるんじゃないかという心配はおありだと思うんですけども、そこは住民を信じていただいて、本当に必要なんだと、大阪市はホームレスを抜本的に解決していくために真剣に頑張っていて、その一つとしてどうしても必要なんだということが本当にわかったときには、住民の皆さんも納得をしてくださるんだということで、住民を信じていただいて、情報公開は早めに、住民参画にも心を砕いていただいて、こういうことで住民の信頼を失うということが二度とないことを強く要望して終わります。

○福山よしてる委員長 協議会を閉じ、これより委員会を再開いたします。

 これより採決に入ります。

 陳情第22号、長居公園仮設一時避難所を直ちに撤去し、ホームレスの抜本的対策を求める陳情書については、これを不採択とすることに決することに賛成の方は御起立願います。

   (賛成者起立)

○福山よしてる委員長 多数であります。よって、委員長発議のとおり決しました。