【 平成13年3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-03月16日−05号 】
◆石川莞爾委員 ホームレス対策についてですね、市長の所見を一言お聞きして、別の委員会の方に行っていただければと思います。
ホームレス対策は、私どもも巡回相談事業をやっていることとか、自立支援センターも結構ですし、シェルターもいいですし、一時避難所についてもやっています。雇用の拡大も図っています。それはそれで別に悪いことやってるんじゃない。それはそれぞれに必要なんだけども、私はやっぱり全体として1万人に及ぶホームレス、そういう人たち全体を視野に入れた対策が今、求められているのではないか。簡単に言いますと、ばらばらの仕事をいろいろ試しにやってみてるけどね、全部全体を見てやっているかなという感じはいたします。
一地方自治体である大阪で何もかもできませんがなという議論はわからんでもないです。ただし、東京都が生活福祉部の保護課というところが、福祉局らしいですが、「東京のホームレス」(白書)というのを発行するそうです。自立への新たなシステムの構築に向けてという副題がついていまして、路上生活者の実態調査をやったそうです。そして、これは大都市が抱える構造的な問題としてもはや放置できない社会問題だというふうに位置づけて、東京のホームレスの実態を克明に分析されている文書があるんです。これはだれでも手に入るインターネットで引っ張り出したものですけども、東京都はね、要するに国がああだこうだ言うてるのを待ってられへんという立場でつくっているんです。
そういうことが新しい動きとしてありますので、やっぱり全体ですね、1万人近いという、そこに視野を移した目標を示した基本、そういうものが今、必要になっているんではないかと思いますが、市長どうでしょうか。
◎磯村市長 ホームレスの問題については、確かに東京も大変な大問題だというふうに考えておられて、長い経過もあるようでありますが、私どもはもう早い時期からこのホームレスの問題が放置できない問題であり、それも短期的な現象ではなくって、長期的な社会構造にかかわる問題だということを、早くから認識いたしておりましたから、私が直接亡くなられた小渕総理に直訴までして、国に機関を立ち上げていただいて動き出したわけでございますが、悲しいことにああいう状況を想定した法律がないものですから、我々としてはあいりん対策を拡大解釈する形で一時期やってきたんですが、もうこれではたまらないという思いがあったので、例の一時避難所をつくったりするというような思い切った手を打っていったわけです。
率直なところ、国に対する働きかけについても大阪市が先頭を切ってやっておりまして、東京都といろいろ協議をしながらやっているんですけれども、多少事情の違いもありましてなかなか意見が一致しませんが、私はもう見切り発車でいいから国の方で必要な立法をしていただいて、議員立法でいいから立法していただいて、これまで我々がやってきたことの裏づけを保証していただくと同時に、さらに進んだやり方をやらしていただきたいという意図で取り組んでおります。
何しろ数が多いもんですから、一挙にというわけにはまいりませんので、順次という思いでやっておりまして、その間多少試行錯誤的に経験も積み、いろんな調査も積み重ねながらと思ってやっておりまして、恐らく我々の経験が東京を初め、ホームレス問題を抱えている大都市のいい先例になるようにという思いで、先を走っているつもりでございます。
しかし何といっても、国がきっちりした立法をしていただきませんと、一大阪市だけがやって解決できる問題ではありませんし、もちろん身近な大阪府とは十分協力しながら仕事を進めていって、一日も早く国の施策として立ち上げていただきたいと、その要望を重ねていきたいと、こういうふうに思っております。
◆石川莞爾委員 申しわけありません。市長、時間が参りましたので、財総委員会の方へ行ってください。
今、市長が見解を言われてですよ、私どもも同意できるところもありますし、大阪市だけでやれるもんじゃないということについては、わかった上で議論をしております。
市長は、先頭に立ってやるんだというふうにおっしゃるんですが、やっぱり1万人を視野に入れるという、そういう立場で頑張ってもらわなあかんなと思うんです。でないと、一部の人たちにだけみたいな話ではいかんなと私は思うんです。
ただ、個別の問題もありますので、この間で言いますと、厚生労働省がですね、ホームレスに対する基本的な生活保護の適用についてという文書を出して、その間動きがありました。保護課の方に聞きますと、係長さんなども東京の会議に行かれてですね、この説明を聞いて課長会議もあったようです。これは全国レベルの話です。ですから、その中で、これで一体何を変えるというふうに厚生労働省は言っているんか、考え方の進展内容をですね、どういうふうに受けとめておられますか。
◎堀田民生局総務部保護課長 お答え申し上げます。
先般3月2日でございますが、厚生労働省社会・援護局で全国の係長会議がございまして、その折にホームレスに対する基本的な生活保護の適用についてという考え方が示されたところでございます。
概略で申し上げますと、ホームレスにつきましては、その状況がさまざまであることから、その状況に応じて対応することが必要である。そしてまた、適切に対応するためには、自立支援センターの設置や緊急一時宿泊所などの確保による対策、雇用対策、住宅施策などの総合的な対策が必要であると。
このため、ホームレス問題の対応に当たっては、生活保護担当部局だけではなく、他部局、他の自治体、関係機関との連携を図る必要があると。
そしてまた、具体的な生活保護の適用の基本的な考え方といたしましては、まず冒頭で、生活保護制度は資産、能力などを活用しても最低限度の生活を維持できないもの、すなわち真に生活に困窮する者に対して必要な保護を行う制度であるということを明確にした上で、ホームレスに対する生活保護の要件は一般世帯と同様である。しかし、単にホームレスであることをもって当然に保護の対象とはなるものではない。また、居住地がないことや、稼働能力があることのみをもって、保護の要件に欠けるものではないと示したところです。
そして、基本的な対応なり方法につきましては、就労意欲、能力があるホームレスについては、自立支援センターへの入所を検討すること。そしてアルコール依存症や精神的、身体的な疾患のある者、高齢者及び障害者などについては、保護施設への入所や医療機関への入院等による保護を行うこと。自立支援センターに入所し、入所後努力したが就労に結びつかず退所したものについては、改めて保護の要件を確認し、必要な保護を行う。
なお、病気などによりまして、急迫状態にあるものについては、申請がなくとも保護すると。そして、野宿生活者の状況によっては、養護老人ホームや各種の障害者等の福祉施設などへの入所も検討すると。
そういうことが、概略ではございますが、3月2日の生活保護関係全国係長会議において示されたところでございます。
◆石川莞爾委員 えらい概略が長かったので、予定がちょっと狂いましたけど。
要するに保護の関係の適用についての文書といいますか考え方を示されて、今、課長も紹介されたように、適用については、またということ以降にね、居住地がないことや、稼働能力があるのみをもって生活保護の要件に欠けるものではない。
つまり、保護申請に来られたホームレスの方にですね、あなたは住民票がどこそこにあるからだめとか、あるいはないからだめとか。簡易宿泊所はね、旅館と同種施設だから、一時滞在なんであって、居住とはみなさないとか、そのことを理由にして適用しないなんてことはやってはあきませんよと。
働く能力ですね、これも働ける状態にあるから法をうちませんよというふうに機械的なといいましょうか、そのことをもって適用を除外してはならんと。別の言い方したら、働く能力がある場合でも、ホームレスの人には生活保護の適用ができますよと、そういう場合があるんですよと、居住地がなくても適用してくださいよと、無制限にやれと言うてんと違いますけども、そういうことが書いてあるんです。
大事なのは、前段で課長が紹介されたように、資産、能力など活用しても最低限の生活を維持できないもの、すなわち生活に今、真に困窮する方に対して必要な保護を行うことですよと、こう書いてあるんですね。今、私読み上げたこの部分のですね、文書の内容をですね、大阪市も窓口できちんと守ってもらえますかというて聞いたら、課長は守りますと言うに決まっているから、守っていますじゃなくて、守ってくれますかとお尋ねしたい。
◎堀田民生局総務部保護課長 お答え申し上げます。
私ども大阪市におきまして、従来から野宿生活者への生活保護の適用については、高齢者や病弱者など真に生活に困窮している方々につきまして、保護の要件を十分確認し、そして医療機関への入院や生活保護施設への入所、そういうことを適切に行っているところでございます。
あわせまして、施設入所の方につきましても、その入所中に療養や生活訓練、そしてまた地域社会での生活力などが回復した場合、居宅の生活ができるよう敷金等も支給し、移しがえを行っているところでございます。
いずれにしましても、真に保護を必要とする方につきまして、それぞれの条件、状況、要件を十分に検討し、適正に対応しているところでございます。
◆石川莞爾委員 適正に対応していなかったら問題やからね。聞いたらそう言うでしょって言うねん。だから、この指示の文書を改めて厚生労働省が出したわけですから、ですからこの趣旨をきちっと実施する、守って仕事を進めますということをはっきりさせてもらわんかったら、出した意味はないんですよ。だから、そのことを申し上げときます。
それから、ホームレス関係の問題で、あと国にも要望してますと。法律をつくることについて市長の意欲も聞きました。だけど、現実にはやっぱり就労に結びつくという、そこが一番大事な点ではないかと思うんです。
公的就労を拡大するためには、緊急地域雇用特別交付金事業というのは今は生きてますわね。だから、これをですね、国に継続をきちっと要望として、一般的なんやなくて、この事業を拡大し続けてくれということを要求すべきだと思いますが、どうですか。
◎吉山民生局総務部連絡主幹 お答えいたします。
野宿生活者問題の解決の重要なかぎが、実効性のある就労支援の確立にあると考えております。
大阪市では、国の平成11年度第1次補正予算で創設されました緊急地域雇用特別交付金事業を活用いたしまして、環境・都市美化開発の観点から、あいりん生活道路清掃事業と市有地除草等事業を拡充いたしまして、あいりん高齢日雇い労働者等の雇用創出を図っておるところでございます。
また、国家予算に関する重点要望事項といたしまして、特別立法の制定と実効性のある特別就労対策事業、とりわけ野宿生活者の就労自立に向けた雇用創出を図る事業の制度化などの具体策につきまして、実現されるよう要望を重ねておるところでございます。
一方、平成11年12月19日の市会本会議におきまして、ホームレス対策に関する特別立法の制定や、ホームレスの就労充実のための全国規模での実効性のある特別就労事業の実施などを要望されておられますホームレス対策に関する意見書案が、全会一致で可決され、関係行政庁に提出していただいておるところでございます。
現在、大阪府におきましても、緊急地域雇用特別交付金を活用いたしまして、野宿生活者に対する雇用創出を図っていることから、国に対しまして大阪府とともに、緊急地域雇用特別交付金事業の延長・拡大を含め、特別就労対策事業の実現に向けて、要望を重ねてまいりたいと考えております。以上でございます。
◆石川莞爾委員 今やっているこの事業も、実態はもう御承知だと思うんですけれど、人数はやっぱり少ないですから、だから毎回抽せんになっているんですね。
延べの人数で言いますと大きいように見えますけども、なかなかくじが当たらんというのか、そういう厳しい状況があるわけですよ。
しかもこの人たちは、東京の例なんかを見ますと非常にリアルなんですけども、東京の場合ですよ、白書の中では大半が単身男性だと、50歳から64歳の中高年齢層が中心だと。多くは未婚、または離婚経験者で家族との連絡を絶っているとかね、かつては、技能工などの技能が求められる安定した就労をしていた人が6割だと。39歳までの若年層の中には、もともとのホワイトカラーが2割もいてるとかね。7割は解雇、倒産、病気など本人が望まない理由で職を失っていると。失職と同時にホームレスになっている。路上生活の長期化により心身が疲弊している。7割以上が求職活動をし、8割が就労したいと答えている。約半数が働いていて収入はあると答えているが、答えた人の半分は月収が3万円未満だと。
大阪でも、御承知のとおりアルミ缶を集めて遠いところまで自転車で走ってやってはる人たちの収入というのは、ここの東京で書かれているような実態に近いもんですよ。
ですから、就労の機会をふやすこととか、本当に働く意欲があるわけですから、先ほどの保護課長とのやりとりの中でも言いましたけど、働く意欲はあるんです。現にアルミ缶集めに行ったりしてるんやから。だけど仕事がないんですよ。それで行き詰まっているそういう人にね、あんた働く能力があると、現に働いてるやないかという、そういう機械的な扱いをしてはいけませんよということが言われているんです。
全体としてはやっぱり、全国みんな挙げてやるべき課題ですよ。議会は、おっしゃったとおり全会一致で議決もしましたし、各党それぞれに政策や見解や申し入れをやってます。私どももそういう点では、国では国会議員が、市では私ども共産党議員団として市長に要望もしましたし、昨年の予算要望のときには、全会派挙げてですね、この問題について、議会としての陳情もやっているわけです。みんなそういう立場で頑張っているわけですから。そういう点では、厚生労働省などは新しい動きをしているそういうものに、やっぱり乗っかった前向きの仕事を全力を挙げてやってもらいたいということを申し上げて、この件は終わっておきます。
◆太田勝義委員 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは最後に民生局長さんにお尋ねします。お尋ねしますというより決意をお願いしたいんですが。
この間の本会議でも、市長の答弁でホームレスですね、野宿生活者の問題が出てからですね、今日まで各党、各委員が、相当数の方が質問されているのは、1万人ほどおられるホームレスさん何とかせないかんということで、市も一生懸命やっておられるんですね。それはそれでわかるんです。
私は去年当委員会でこのホームレスさんというのは僕はこれは雇用の問題だと、先ほど石川委員さんもそういうようにおっしゃったんで、どなたもそう思っているんですね。市もあいりん地区の清掃をするなり、除草するなりとかいうて、あるいは仮設一時避難所をつくって3カ月後にはやっぱり就職を世話しようと言ってるんですね。
だから、やろうとしていることは、この仕事を探そうということなんですけど、不景気なんですね。だからね、先ほどお話ありました、私もいろいろと聞いたところ、アルミ缶を集めておられる方が8割ぐらいおられるということで、月収3万円ですけども、毎日一生懸命、リサイクルのときにアルミ缶をとって持って帰られるんですね。これをいっそのこともっとスチール缶もペットボトルも、もうちょっといろいろとごみもホームレスの方に持って帰ってもらおうと、アルミ缶だけお金になるから1日1,000円でも集めるわけで、逆にスチール缶でも1,000円になるようにその分を大阪市が上乗せすると、そうするとまちはきれいになるし、ごみはなくなるし、というようなことで申し上げたんですね。そのときに要望しておきますということだったんですけども、局長、その後どういうふうな感覚で御検討いただいたのかお答えをお聞きしたいと思います。
◎寺川民生局長 お答え申し上げます。
昨年9月の委員会で、今、委員おっしゃいましたように、ホームレスの問題は委員の方から失業問題でもあり、また今おっしゃられたいわゆるリサイクルに乗りにくいスチール缶、ペットボトルなどを集めて都市美化を中心に、こういう内容を検討すべきということでいただいたところでございます。
私どもこの貴重な御提案を受けまして、大阪市野宿生活者対策推進本部の中に、雇用創出促進部会を設けております。この場で真剣に今までも取り組んで来ておるところでございます。ただ残念なことに、具体的にはまだ至っておりません。
ただこの間、我々としましても、いろいろな雇用創出ですね、委員おっしゃっていただいたものもございますし、今状況の中で、自立支援センターを3カ所昨年来から開設してみました。この中でも、いろんな取り組みで就労フォローの始まりがあります。
また、昨年来の長居の仮設一時避難所におきまして、避難所に入っておられる方々に、今は避難所内の清掃などの業務に1日10人という形で従事をしていただいております。この方々についても、13年度には、外へ出ていただく作業にする業務内容の検討を進めており、そういう就労支援にも努めていきたい。
また一方、平成13年度で、大阪府は労働行政の立場から、そういう観点から、府として野宿生活者の就労ニーズの把握、あるいは新たな雇用の確保ができないかという改革のための調査研究に取り組むということになっておりまして、その中で、生ごみのリサイクルシステムについても検討していくと。そういうことを調べて構築できる事業を計画していくというふうにも聞いております。
市長も先ほど申しましたように、大阪市独自でできないということで、本市といたしましても、こういう今までの雇用の特別交付金を使えますし、また都市美化の観点から、道路・バス停留所・児童遊園などもやってきました。ただ、委員おっしゃいますように、非常にまだ小さい、そういうことでございますけれども我々今後ともこういう措置を含めて、都市基盤の観点で、やはりどんな形で就労機会がふやせるかということを、モデル事業を構築すべく、今後とも国、これは大阪では大阪労働局、府ともども実践と検証を含めて、そういう雇用創出の就労機会の確保に努めてまいりたいと考えております。よろしくお願いします。