【 平成15年度決算特別委員会(一般)平成161112-1119日−05号 】

◆姫野浄委員 私からも、付託案件に対して質疑をさしていただきます。

 最初はホームレス対策であります。平成15年度には、自立支援センターを中心にいたしましてホームレス対策が行われたわけでありますが、大阪市のホームレスのうち、何人がホームレス状態から脱したんでしょうか、自立を果たしたんでしょうか。自立という場合には、就労と生活保護というものがあると思いますが、この人数はそれぞれどのようになっておりますか。

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。

 平成1210月より順次開設をいたしました3カ所の自立支援センターでの平成16年3月末までの実績でございますけれども、3支援センター合計で、入所者総数 2,070名、退所者総数が 1,843名、退所事由の主な内訳といたしまして、就労による自立退所は 768名、退所者総数に占める割合とすれば41.7%。入院による退所ということで50名、同じく 2.7%、施設入所による退所ということで 109名、同じく 5.9%などとなっております。その他、友人紹介による就労先の確保であるとか、親族を頼って退所したというような自主退所など 538名、29.2などとなっております。以上でございます。

◆姫野浄委員 生活保護は。

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 

 生活保護というのは、入院によりまして生活保護でというのがありますし、施設入所と先ほど申し上げましたのは、大体が生活保護施設入所というふうになっております。以上でございます。

◆姫野浄委員 自立が42%ですね。ちなみに、東京都では、 4,200人の退所者のうち、自立が、就労で 2,118人、50%と言われております。大阪市は41.7%、ちょっと低いんですね。このままのペースでは、市長の公約であります4年間に解決をするというめどは、ちょっと難しいんじゃないかと思います。今のやり方では、なかなか難しいと私は思うわけであります。

 やっぱりですね、生活に値する住居を確保するということが最優先に進められるべきではないかと考えるわけです。

 関西経済同友会が提言を出しまして、ホームレス対策として、大阪市の市有地に 3,000人規模のプレハブ仮設住宅の建設を求めたいと、施設は入居者の最低限のプライバシー保護とか、保てるような個室を備えた建物とすると提言をしております。ホームレス状態を放置し続けたままでは、健康は破壊され、仕事は見つからず、結局、自立をおくらせることになっているわけでありますからね、この点が非常に重要だと。

 東京都ではね、こういうことをしてるんですよ。ホームレス地域生活移行支援事業−−ちょっと長いですね−−をつくり上げましてね、住居を借り上げております。低家賃で貸し付ける制度を実施しております。どういうことかといいますと、民間アパートを都が借り上げまして、月 3,000円の低家賃で貸し付けているというわけであります。

 大阪市の場合、特にあいりん地区のあの辺に集中をしているわけでありましてね、私は一回、ここで抜本的に住居対策を進めるべきではないかと。あんりん地区には約 4,000室の簡易宿泊所があります。これ、全部、空き家になっているというわけではありませんけどね。仮に、この1室2万円で借り上げましても、月に 8,000万円、年間9億 6,000万円、これだけの出資をする必要があるんですけどね。とりあえず、こういう大胆な、思い切った宿泊所対策、住宅対策が検討されるべき時期に来てるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。

 本市では、本年3月に策定をいたしました大阪市野宿生活者の自立の支援等に関する実施計画におきまして、野宿生活者がみずから安定した生活を営めるように支援することを基本とし、野宿生活者みずからの能力の活用を図るとともに、必要に応じて各種施策を活用しながら、再び社会の一員として自立した生活が営めるよう、自立の支援等に関する施策を推進していくこととしております。

 そのためには、就業機会の確保が最も重要であると考えておりまして、就労する意欲はあるが仕事がなく失業状態にある人に対しましては、自立支援センターへの入所を図り、宿所・食事を提供し、生活習慣の改善、心身の回復とともに、個々の状況を多面的に把握するアセスメントを行い、個々の就業のニーズや職業能力に応じた支援プログラムを設定して、各種施策を活用し、技能の習得や資格取得等を目的とした技能講習など、就業の機会を図り、安定した雇用の確保につなげることとしております。

 このように、自立支援センターを野宿生活者の自立の支援を総合的に支援する中核施設と位置づけまして、その拡充を図ることとしております。以上でございます。

◆姫野浄委員 先ほどの数字であらわれておりますように、自立が少ないんですよね。どこへ行かれたかと言われましても、半分以上の人は行き先不明なんですね、自主退所と、こうなっているんですね。

 私は、やはり、住むところを確保するということを最優先にしてはどうかと考えるわけであります。このことは、大阪市の財政上も大変大きな効果があると考えるわけですね。

 西成のあいりん地区の野宿者の生活保護を見ましたら、このことが非常によくわかるんです。大阪市の更生相談所がありますね。ここで、生活保護を取り扱っております方々の資料を見ますとね、1人当たりの扶助費は実に 303 8,000、年間かかってるんですよ。うち、医療扶助が 180万円かかってるんです、非常に大きいんですね。

 私、更生相談所の生活保護費の総額を見て驚きましたけども、15年度、 101億円かかってますね。こういう状態をやっぱり解決をしていくということは、大阪市の生活保護の財政問題にもかかわる大きなことですのでね、私は申し上げたいんですよ。やっぱりね、長期間にわたりまして路上とか公園で生活をしてきた人は、大概病気になっておりますし、進行しまして更生相談所にやってくるんですよね。そして、入院なり、あるいは施設、こういうふうに行くわけですね。これが非常に大きな負担になっているということであります。

 それから、もう一つは、今まで大阪市は更生相談所から施設保護を原則にしてきました。居宅保護を基本にしております生活保護制度を少し外しまして、この道を進んでおりまして、報道されておりますような佐藤裁判などを起こされまして、一審、二審で大阪市が敗訴をしまして、こういう施設保護を原則というようなものは誤りであるということになりましたし、その後、国の方も若干、指導を変えまして、やっぱり生活保護は居宅保護という方向に変わりました。

 その辺も見まして、やっぱり、特にあいりん地区においては住居の確保というのが行政の第一義的課題であるということが浮き彫りになってきてると思うんですね。その辺、改めて私は感じるわけでありますが、どうですか、実態から見まして、そういうことが言えるんじゃないでしょうか。

◎野田健康福祉局生活福祉部保護課長 お答え申し上げます。

 更生相談所におきましては、あいりん地域で住所を有しておられない方の生活保護を実施いたしております。相談内容によりまして、入院措置、また生活訓練等の必要な方につきましては、生活保護施設への入所措置を行っております。それぞれの施設におきまして、目的を達成した方につきましては、敷金を支給し、居宅保護へ移行しております。

 いずれにいたしましても、適正な保護実施に努めているところでございます。

◆姫野浄委員 私が申し上げております住宅の確保はね、今、非常に重要な課題になっております。これを1つのホームレス対策の柱に据えるべきじゃないかというのが私の意見です。

 もう一つが、先日も議論のありました就労対策なんですね。関西経済同友会あたりも、かなり踏み込んだ提言をいたしております。この提言では、やっぱり、1つは公的就労、もう1つは民間の大きな協力体制ですね。このことを挙げております。

 公的就労については、この間からありましたように、いろいろな清掃事業とか公園、道路などのそういうものに、ホームレスの人たちに日当を与えて仕事をしてもらうと、これが非常に基本になっていくかと思いますけれども、これをどのように継続さしていくかということであります。

 それから、同友会の提言では、経済界の役割が非常に大きいということを強調しておりまして、各社各人が内職とか軽作業などの仕事出しをすることによって多くのホームレスの自立が促せるんじゃないかということで、ここでは、行政とNPO等が一体になってホームレス仕事センターというような組織を立ち上げてはどうかという提言もいたしております。

 先日、大阪野宿生活者就業支援協議会というものが発足したそうでありますが、私は、この就労について、こういう場でもって、大阪市の、ひとつ、経済界への積極的な協力を訴える必要があるんじゃないかと思いますが、公的就労の拡充とともに、民間の企業に対する協力を推し進めていくという点では、どのようにお考えですか。

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。

 野宿生活者の自立のためには、就業の機会の確保を図ることが最も重要であると考えておりまして、平成15年の全国の生活実態調査におきましても、きちんと就職して働きたいと希望する者が48.7%、約半数あり、行政からの何らかの支援を受けながら軽い仕事をしたいと希望する者などを合わせると6割を超えております。

 そのため、自立支援センターでは、常用雇用による就労自立を基本として生活リズムを取り戻し、職業相談員による相談あるいは紹介、さらには先ほど申し上げましたような各種の資格技能を取得できるような充実に努めているところでございます。

 安定した雇用の確保をするためには、行政機関のみでの取り組みには一定の限界もございますので、民間企業等の協力が不可欠であることから、今般、大阪労働局、大阪府、大阪市、経済団体・労働団体で構成される大阪野宿生活者就業支援協議会を設置したところであります。

 野宿生活者の雇用の促進を図るためには、まず、事業主等への啓発、いわゆる野宿生活者問題に対する理解を深めること、また、常用雇用に向けた体験就労としての職場実習やトライアル雇用制度の活用、求人ニーズに合致した技能講習科目の選定などについて支援協議会を通じて各団体の協力を得てまいりたいと考えております。

 しかしながら、年齢や職歴等から、直ちに常用雇用につくことができない人や、野宿生活を余儀なくされるおそれのあるあいりん高齢日雇労働者に対しましては、軽易な作業の提供による雇用の確保も必要であり、この点についても協力を願うものとしております。以上でございます。