【 平成16年2・3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-0312日−02号 】

田中ゆたか委員

次に、全く話は変わりますが、ホームレス対策についてお伺いさせていただきます。

 観光集客というのを大阪市は目指しておる中で、その向上を図る上で大阪ならではの魅力づくりが必要であり、その魅力の一つとして水都大阪の再生を積極的に今進められております。いわゆる水の回廊などをめぐっておられます観光船なども非常に好評であると聞いておりますし、私も実際乗ったことがございます。

 水上観光ルートの魅力づくりのためには、水質の改善も今頑張っておられますけども、水辺の景観の確保が私は重要な要素と考えております。川の周辺にブルーテントが本当によく目立っております。観光船に乗っていたときに、ほかの観光客もあれは何やという意見もされておりました。

 私は、今ちょうど大川沿いに住まいをしておりまして、毎日河川敷、また河川公園で洗濯物を干して悠々と暮らしておられるホームレスと顔を合わせながら日々過ごしております。また、住民からもいろいろな御相談を受けております。現在まで河川敷並びにその周辺の公共施設におけるホームレス対策はどう取り組まれているのか、ゆとりとみどり振興局と健康福祉局にそれぞれお伺いしたいと思います。

◎吉田ゆとりとみどり振興局総務部管理課長 お答えいたします。

 当局の管理いたしております公園以外の道路、その他の公共施設を含めた御質問でございますので、他の施設管理者から承った内容もあわせましてお答え申し上げます。

 大阪市内における野宿生活者の状況につきましては、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」により、昨年実施されました国の全国調査の数字がございます。公園では 2,061人、河川では 1,130人、道路では 2,261人となっております。河川敷では、その中にある公園及び道路等も国または府などの河川管理者から占用許可を受けて管理しておりまして、公園、道路等それぞれの管理者が巡回相談、あるいは区役所と連携しながら野宿生活者に対し自立支援、福祉的援護等の施策につなぐとともに日常的に指導・勧告を行い、テント等違法な設置物件の撤去に取り組んでまいりました。同様に河川管理者も野宿生活者に対し指導・勧告をしていると聞いております。また、必要に応じ河川管理者と公園、道路の管理者とで情報の交換、時には共同作業など連携した取り組みを行っております。

◎梶原健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援事業担当課長 お答え申し上げます。

 本市の野宿生活者の対策でございますが、巡回相談事業として現在29名の巡回相談員が市内の野宿地を巡回いたしまして、平成11年8月の事業開始から平成16年1月末時点に至るまでの期間に市内全域で 8,339人の野宿生活者に面接・相談を行ってまいりました。そのうち河川敷並びにその周辺の公共施設におきましては、河川で 804人、河川敷公園を含む公園全体で 3,656人の合計 4,460人の野宿生活者に面接・相談を実施し、 1,287人の方が自立支援センター等への施設に入所しております。以上でございます。

◆田中ゆたか委員 着実に取り組みを行われているというのはわかりましたけども、私の地元であります中之島周辺、特にまた中之島公園が平成15年の1月2日から、いわゆる何カ月もの間占拠されてた経緯もございまして、後ほど詳しく触れますけども、そういう中之島周辺とか大阪市の重要な観光スポットにホームレスが多くなっているように思われます。河川管理者との連携は今お伺いしましたけども、河川敷や護岸は公園、道路、河川と管理者がふくそうして、それぞれの担当領域のみの対策では有効・迅速な対策となり得ていないと思います。

 本市では、国の基本方針に即して実施計画を策定すると聞いておりますけども、水の都大阪の再生というテーマに向けて今後具体的にどう取り組んでいくのか。また実施計画の計画期間は5年間と聞いておりますけども、この計画期間内にどのような方策によって美しい水辺を市民に提供していけるのか。また、ビジターにとって大阪市が水の都であるという実感を持っていただけるようにしていただきたいと考えておりますが、その点どうでしょうか。

◎吉田ゆとりとみどり振興局総務部管理課長 お答えいたします。

 委員御指摘の中之島周辺につきましては、河川は大阪府、公園・道路等の本市施設はゆとりとみどり振興局及び建設局というふうに管理者がふくそうしておりますので、取り組みを効果的にするためには互いに連絡を密にし、情報の共有化を図りながらそごのないように連携して対策に取り組んでいくことが必要と認識しております。今後、それぞれの施設管理者が相互に連絡を密にしながら、今年度策定されます実施計画に盛り込まれる総合的な自立支援策と連携し、野宿生活者に対する働きかけを強め、それぞれの施設の利用の適正化を図り、市民を初めビジターにも水辺空間の美しさを楽しんでいただけるよう施設の機能の回復に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

◆田中ゆたか委員 連携といいましても、やっぱり府とか国とかですね、先ほども言いましたようにふくそうしておりますので、私どもも提言してまいりますけども、しっかりと連携を組んでいただきますようよろしくお願いいたします。

 次に、国の基本方針に即して策定しておられます野宿生活者の自立を支援する実施計画において具体的にどのように取り組みを行うのか、改めてお伺いさせていただきたいと思います。

 また、景気の動向などによって不確実な要素があるということでございますけども、ホームレス問題の解決に向けたシミュレーションはどのようになっているのか、お聞かせください。

◎梶原健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援事業担当課長 お答え申し上げます。

 実施計画におきましては、野宿生活者がみずからの意思で安定した生活を営めるよう支援することを基本方針といたしております。そのための方策としまして自立支援センターの整備、就業機会の確保、安定した住居の確保及び保健・医療の確保など総合的な自立の支援に取り組むことといたしております。

 平成15年1月の全国実態調査の際の市内野宿生活者のうち 508人を対象といたしました聞き取り調査によりますと、「きちんと就職して働きたい」、「何らかの形で仕事をしたい」という人が合わせて64.3%、また、新たに野宿生活になる方として、野宿生活になってからの期間が1年未満の方が29.2%という結果でございました。調査結果から推計いたしまして、今後5年間における自立支援センターへの入所対象とすべき総数は約1万 5,000人と推計されます。

 現在の自立支援センターの平均入所期間でございます 160日から算定いたしますと 1,300人程度の定員の入所施設が必要となることになりますが、就労支援策の機能強化、入所期間の短縮化など効率的な施設運営を図り、入所施設規模をできるだけ圧縮してまいりたいと考えております。

 計画の初年度となります平成16年度では、自立支援センターにつきましては 300人の定員増を行いまして、既設の3センターの入所定員 280人と合わせまして入所枠を倍増するなど、計画的に野宿生活者の自立を支援してまいりたいと存じます。

 巡回相談員につきましては、本年度の1人当たり新規・再面接を含みます相談件数 320件をもとに相談員、看護師の増員を行いまして、現在の29名体制から34名体制といたしますとともに、医師によります野宿地での巡回健康相談を実施し、今後入所枠の倍増を予定させていただいております自立支援センターへの入所並びに福祉的援護等によります自立に向けての相談体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。

◆田中ゆたか委員 今申されました新たに看護師を増員することによって、また違った展開がなされるということで、この巡回相談事業を来年度期待したいと思うわけでございますけども、私は、今までホームレス対策について何度も提言してまいりましたが、年々施策も充実といいますか、一つ一つ局としてもレベルアップをされていると思っております。

 しかしながら、市長の公約は平成19年度に解消というか、いわゆるホームレスをなくすということを言われておる中、言うまでもなく健康福祉局だけの問題ではなく、大阪市の各局で連携をとっていっていただきながら行動してもらいたいと存じております。

 自立支援センターを確保して巡回相談事業を充実させ、また最大の難関であります就労に結びつけて初めて自立が完了し、また納税者となり市民へ返ってくるというのが理想でございます。19年度までの解消がテントをなくすということだけにならないように、先ほども申しました府・国にも、また経済団体にも、私どももこれから提言してまいりますし、また市民にパブリックコメントした実施計画に沿った対策が確実に成果が出るよう指示してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 また、先ほど触れました中之島公園の件なんですけども、これ、ちょうど行為・占用許可申請書いうのがここにあるんですが、15年1月2日にいわゆる西成区の釜ヶ崎反失業連絡会共同代表、山田実さんですか、こういう方の申請で1週間だけや思ってましたとかいう話あったんですけども、先ほども言いましたように何カ月間も占拠され、また中之島新線のぐあいといいますか、皆さんの働きもあったと思うんですけども、今はおられませんが、先ほど言いましたように本当に中之島だけじゃなくて、各重要な拠点が大阪市観光集客を目指していくという上ではございます。どうか二度とないように、所管の所長のいわゆる決議のもとこの占用許可が出されたということでございますけども、また、こういった事例があった場合はできれば私どもにも相談いただければと思っておりますので、あわせて要望しておきます。

◆柳本顕委員 

 大阪市では、一昨年財政非常事態宣言が出され、以来予算を組む際にも、また各施策・事業においても選択と集中が不可欠であるというふうに言われております。一方で、福祉施策というものはどれをとっても基本的には必要なものであるので、あるにこしたことはないというものばかりであるように思います。しかし、同じ施策を行うにしても、効率的・効果的な手法によって予算を落とすことができたり、今日的な視点から終息・廃止すべき事業、また新設・増強すべき事業というものがあって当然であるというふうに思います。

 そこで、平成16年度予算、どのような観点で予算組みを行われたのか、概略の説明をお願いいたします。

◎前田健康福祉局総務部運営企画課長 お答えいたします。

 健康福祉局の平成16年度の予算編成に当たりましては、「安全で安心できる、みんなで支えあう大阪の実現」という市長公約の確実な実現を目指し、最重点施策である保育所の待機児童の解消と特別養護老人ホームの利用待機者の解消並びにホームレス対策の推進を図りますほか、大阪市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、大阪市障害者支援計画及びすこやか大阪21など各計画の着実な推進や、大阪市地域福祉計画・区アクションプランの策定などに積極的に取り組むこととしたところでございます。

 一方、財政非常事態とも言うべき非常に厳しい財政状況のもと、経常的経費につきましては事業評価の活用を図り優先順位の選択を行い、これまで以上に精査をし、効率的・効果的な財源の配分を行いましたほか、民間社会福祉施設整備助成単価の縮減や民間活力を活用した公立保育所等の民間委託化などに取り組むこととしたところでございます。以上でございます。

◆柳本顕委員 苦しい台所事情の中で非常に御努力をいただいてることは評価できると思います。事業評価も活用というふうに御答弁をいただいたところなんですけども、手元に一部ですね、平成15年度のある事業の業績評価調書というのをコピーとらさせてもらったんですけども、健康福祉局関係の事業評価書を見させていただきますと、事業改善・見直しの検討という項目が結構スペースとってあるんですけども、このあたりが現状どおりとか、改善すると書かれてあるんですけども、その内容がちょっと不十分というか簡潔に書かれ過ぎてるというか、今後に対しての取り組みの熱意というのが、御努力はいただいてると思うんですけども、いまいち苦しいというような感じを受けるのも事実でございますので、その点もうちょっと自己評価、しっかりチェックしていただいて、今後の事業のあり方に反映していただきたいというふうに思います。

◎中山健康福祉局長 お答えいたします。

 健康福祉局の事業は、保健・医療・福祉の各分野、例えば保育所の待機児童の解消、児童虐待防止を初めとする子育て施策、障害者への支援、介護保険・国民健康保険の運営、ホームレス対策、感染症対策、市民の健康づくり、市民病院の運営など多岐にわたっておりまして、いずれも市民生活に直結したものでございます。