【 平成16年2・3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-03月16日−04号 】
◆ 前田修身委員
続きまして、あいりん対策、ホームレス対策についてお聞きをしたいと思うんですが、特に私、西成区でございますんでよく御存じと思いますけれども、あいりん地域においては日雇い労働者の方が西成労働福祉センターに朝早くから仕事を求めに多くの方が来られております。しかしながら、求人数が減少し、就労できない日雇い労働者の方が多くおられます。これらの労働者への施策として従来から大阪府は労働対策、本市は福祉対策を主に実施をしてきているところでございます。
これらの対策が行われている一方で、現在のあいりん地域においては、地域に住んでおられる住民の生活環境が脅かされてきている状況というんですか、そういう状況が発生をしてきております。例えば地域内の小中学校の周辺、またあるいは南海電鉄の高架沿いの道路には露店が連なっております。時には、私も朝、早朝出るときですけども、あそこを走ると非常に通りにくい、通られへんときは通られへんなりの対処はするんですけども、非常に車両等の通行に支障が出たり、露店を片づけた後の荷物を路上に、また路上のみならず民家の軒下に置いている状況が多々見られるわけでございます。
また、露店から出されるものもあるかわかりませんけども、他の地域から持ち込まれたと思われるごみの不法投棄などが山積みとなっている箇所が何カ所もあります。最近も、それに対する放火事件があったのは皆さん既に御存じだと思いますけれども、このような状況に対して、道路を管理している建設局としてはどのような対策を講じてきているのか、お聞かせを願いたいと思います。
◎森本建設局管理部路政課長 お答え申し上げます。
路上の露店に対しましては、道路法及び道路交通法に違反する行為として、定期的に西成警察署と共同で指導を行うとともに、放置物件につきましては道路法に基づく所定の手続の後、撤去を行っております。
また、不法投棄に対しましては、環境事業局とも協力いたしまして随時撤去を行っており、昨年12月には環境事業局と連名で西成警察署長あてに夜間の巡視、取り締まりの強化を要請いたしたところでございます。警察からは、1月中に不法投棄者2名の逮捕を行ったと聞いております。今後とも引き続き、警察を初めとする関係機関と一層の連携を図るべく調整いたしまして、共同して現地での指導を強めてまいりたいと考えているところでございますので、よろしくお願い申し上げます。
◆前田修身委員 私も長年あの地域、小さいころからずっとよく知ってるんですけども、やはり警察のお力をおかりしないと非常に厳しい部分もあるかもわかりませんので、しっかりと取り組みをお願いしたいと思います。
次に、公園におけますホームレスの対策についてお伺いをしたいと思います。
地元問題ばっかしで申しわけないんですけども、我が地域の区内の公園におけるホームレスの方ね、一向に減る気配がないように思うんです。私にとっても身近な聖天山、阿倍野に住んでる方おるかどうかわかりませんけど、聖天山という公園があります。長橋の第1公園、また花園公園などありまして、その辺を例にとりますと、以前、何年も前からホームレスの方がテント・小屋がけをして、寝起きをしてるわけでございます。特に公園周辺の住民の方は、日中でも極端に言うと物干しにも上がれない、また窓もあけれない、カーテンもあけれないという、そういう状況が多々あるんですね。また、多くの市民の方からそういう市民相談が入ってきてます。
これは、そこにおる人しかわかりません。どういう状況なのか、わからんですな、皆さん。そういう方からいっぱい市民相談来るわけでございます。そやから窓をあけれない、カーテンあけれない、物干しにも上がれない、こういう状況ですよ。生活環境を非常に脅かされてるんじゃないんかなというふうに思います。ですから、この周辺の環境なんかについて公園管理者としてこれまでどのように対応されてきたのか、ちょっと聞かしてくれませんかね。
◎吉田ゆとりとみどり振興局総務部管理課長 お答えいたします。
西成区内の公園におけるこれまでの野宿生活者対策としましては、西成公園内に仮設一時避難所を設置いたしまして野宿生活者に対して入所誘導を行っておりますほか、巡回相談を初め区役所等関係機関と連携いたしまして、自立支援や福祉援護等の施策につなげながら継続的に指導・勧告等を行い、テント等違法物件の撤去に取り組んでまいりました。
その結果、西成区内の公園のテント・小屋がけ数も3年半前のピーク時から見ますと半数近くまで減少しております。ただ、その一方で委員御指摘のように以前とほとんど状況の変わらない公園もございます。野宿生活者が、公園でテント・小屋がけを設置して寝起きすることにより、地元住民の方々の公園利用に支障が生じたり、生活環境に影響を及ぼしていることから、地元住民の方々のためにもこの状態は早期に解決しなければならないというふうに認識いたしております。
今後、今年度中に策定される予定の野宿生活者の自立の支援等に関する実施計画に基づきまして、大阪市野宿生活者対策推進本部のもと、関係機関と連携しながら、より一層公園機能の回復と利用の適正化に努めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
◆前田修身委員 早期解決への認識をしているということでございますけども、単に認識しているだけでは、いつまでたっても問題の解決にはなれへんと思うんです。当然、いろんな方々、人権の問題等も絡みますけども、地域住民の方々には良好な生活環境の中で暮らす権利があるという観点を踏まえて、具体的な取り組みをより一層深く、本当にできるようにしてほしい。あそこで住んでる人の気持ちをどういうふうに踏まえてやっていかれるんか、その点も含めて強く要望したいと思います。
大阪市は、他都市に先駆けてホームレス対策に取り組んでこられまして、一定の成果は上げているように考えてるんですけども、しかしながら、公園について答弁いただきましたように公共施設に多くのホームレスの方がおられます。先日もそういうお話がございました。
大阪市の野宿生活者の自立の支援等に関する実施計画(素案)によれば、平成15年10月末時点での新規の巡回相談実績は 7,954件、このうち自立支援センターへの入所総数は 1,855人で23.3%、また全国実態調査によれば何らかの形での就労を望む人が64.3%おられるということであり、本市では市内に3カ所、定員合計 280人で自立支援センターを平成12年度に開所されていると聞いております。もっと多くの人に入所していただくべきではないかと考えます。
そこで、本市においては自立支援センターの整備を図り、平成16年度には 300名の定員増により入所枠を倍増するとのことでございますが、入所定員枠を増加し、巡回相談からの自立支援を円滑にする趣旨であると考えますけれども、反面、ハード面の整備も大切なことでありますけど、ホームレスの人、個々の状況に応じて自立を支援していくという取り組みが重要ではないかと思います。この意味で、ソフト面への取り組みが一層推進されることが必要なことではないかと。さらに、先ほどの全国実態調査の結果によれば、市内の野宿生活者の53.3%が身体の不調を訴えているとしております。ホームレス個々の自立を考える場合、健康問題は重要なことだと考えております。どう取り組みを進めようとしているのかをお聞かせ願いたいと思います。
◎梶原健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援事業担当課長 お答え申し上げます。
委員御指摘の巡回相談において面接を行いました野宿生活者でございますが、自立支援センターへの入所誘導を行いますとともに、施設入所、入院等の福祉的支援を行っております。より多くの野宿生活者の方に自立支援センターへ入所していただくため、実施計画におきまして自立支援センターの拡充を目指しております。
自立支援センターにおきましては、生活習慣の改善、心身の回復とともに一人一人のライフヒストリーに応じたきめ細かな自立支援プログラムを設定し、生活・健康等の相談・指導援助、職業相談、職業紹介等を行いまして自立を支援いたします。また、必要な場合には専門家による法律相談を実施いたします。
野宿生活者の健康問題につきましては、16年度から巡回相談事業におきます相談員を29名体制から34名体制といたしますが、そのうち看護師を1名から3名に増員し、野宿地において心身の健康に不安を抱える野宿生活者に対します健康相談を充実させますとともに、精神科医師に加えまして新たに内科系医師による巡回健康相談も行うことによりまして、疾病の早期の発見に努めることといたします。
また、自立支援センター、公園仮設一時避難所の入所者に対しましては、健康診断の実施、医師・看護師による健康相談などにより、疾病の早期発見や適切な医療につなげるよう支援いたしております。以上でございます。
◆前田修身委員 ホームレスの自立支援策の中心になるのは、就労に対する支援であると思います。自立支援センターからの就労による退所者は 666人で、退所総数の4割程度にとどまっております。実施計画の素案によると、市は国、府、経済団体及び労働団体等による支援協議会を設置し、就労しやすい職域の開拓を行うとするとともに、各種技能講習、職業訓練等の施策を活用し、就労支援策の充実を図るとしております。厳しい雇用情勢のもとではありますけれども、より一層の就労支援に取り組んでもらいたいと思います。
ところで、厳しい雇用情勢の中、せっかく自立支援センターを就労退所しても、日雇い労働の経験者を多く抱える本市では就労が定着せず、再び野宿になる人もおると聞いております。ホームレスから自立させることも重要でございますけども、再び野宿に戻ることのないよう、退所後においても就労自立を支える施策が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◎梶原健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援事業担当課長 お答え申し上げます。
野宿生活者の就労支援におきましては、自立支援センターへの入所を図り、生活習慣の改善、心身の回復とともに、個々の状況を十分に把握した上で、一人一人の職業能力に応じた支援プログラムを設定し、各種施策の活用によりまして実効性のある支援を行ってまいります。
委員御指摘の支援協議会におきましては、事業主等に対する啓発も行いまして、就労支援に努めることといたします。さらに、支援協議会の協力を得ながら従来の警備、ビル清掃のような職種だけでございませんで、直ちには常用雇用に結びつきにくい方に対しまして企業あるいは地域の御協力を得まして、例えば塗装や大工仕事、あるいは農作業の手伝い等の野宿生活者の職業能力に応じた職域の開拓を行い、身近な就労についても支援してまいりたいと考えております。このようなことを踏まえまして、自立支援センターにおける就労退所率の向上に努めてまいりたいと存じます。
また、自立支援センターからの就労退所者におきましては、再び野宿に戻る場合もございます。現状におきましては、自立支援センターから就労退所者に対しまして郵便・電話により状況確認を行っておりますが、連絡のとれない場合もございます。今後の取り組みといたしまして、就労退所された方に対しまして、職場に定着し、再び野宿に戻らないように自立支援センターにアフターケア専門要員を配置し、郵便・電話によるフォロー体制に加えまして、居宅への訪問による生活及び就労等の指導・相談を行ってまいりたいと存じます。以上でございます。
◆前田修身委員 るる申し上げましたけれども、この施策は、10年、20年の先を見越した施策ではなくって、早急に地域問題として、地域の住民の問題として取り組まれるように強く要望をしておきたいと思います。