【 平成15年2・3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-0304日−02号 】

P.22 ◆ 柳本顕委員

 続きまして、ホームレス対策とあいりん対策について幾つかの観点に絞ってお伺いをしたいと思います。

 本当にこの野宿生活者といいますか、ホームレスの課題については私の地元でも非常に大変切実な課題でありまして、今や大阪市、さらには全国的な問題としてとらえられておりまして、昨年の7月には自立の支援等に関する特別措置法案が国会で可決され、国全体としての動きが今まさに始まろうとしてるわけでございますけども。今まさに始まろうとしていると言いつつ、現場ではその法律の基本、実態調査や実施計画を待っているような状態ではないという切実な状態が続いている、まさにどんどんどんどん日々深刻化しているのが現状でございまして、それとともに地域住民の方々の悲鳴というものも日に日に高くなっているのも事実でございます。

 この課題につきましては、いろんな観点、切り口がございまして、ふくそうした課題でありますので非常に議論するのも難しい点があると思うんですけども、きょうは夜間緊急避難所とあいりん内での結核対策ということで2つに絞り込んで質疑をさせていただきたいと思います。

 秋の決算委員会でもこの夜間シェルターといいますか、夜間緊急避難所については質疑をさせていただいたところでございますので、重複を避けるようにして質疑をさせていただきたいと思います。

 この夜間シェルターについては、当初地域住民から建設反対の意見もあったわけでございますけれども、施設整備をすることにより地域改善の一助となるならということで御理解をいただき、平成12年から臨時夜間緊急避難所として設置をし、運営を行ってるわけでございます。

 3年前に住民との間でどのような取り決めがなされたのか、今まさにその期限が来ようとしてるわけですけども、確認の意味も含めてお伺いをしたいと思います。

◎倉谷健康福祉局福祉本部生活福祉部保護課長 お答え申し上げます。

 臨時夜間緊急避難所についてでございますけれども、数回にわたる地元説明会を開催しまして地域の皆様方にあいりん地域の状況を御理解いただき平成12年から設置・運営を行っております。

 この設置に当たりましては、地域の皆様方から地域内の清掃や放置物件の除去、防犯灯の増設など環境改善を主とした各種の要望を受けたところでございます。これらの要望につきましては、関係局とも連携をし、対処してまいったところですが、すべての要望に対処できた状況ではございません。各種の要望への対応や臨時夜間緊急避難所の設置後の問題につきましては、地域の代表、運営の委託先、大阪市の三者で運営委員会を設置しまして地域住民の方々との意思疎通を図っていくこととしたところであります。

 また、避難所の使用期間につきましては、他の施策の進捗状況との関連から平成12年4月1日から3年間としたところでございます。以上でございます。

◆柳本顕委員 地域の環境改善ということについては、さきの決算委員会でも質問させていただきまして一定の努力をされたことを聞かせていただきましたけれども。努力をしていただいてるのは本当にわかるんですけども、それが果たして本当に地域の環境改善に大きく目に見える形で動いているかというと必ずしもそうではないという、これは非常に厳しい状況である中でございますんで、私としてもなかなか難しい問題であるということは重々承知ではございますけれども。

 今お答えいただいた中に運営委員会という話がございましたけれども、この運営委員会はこれまでどのような形で何度行われ、その中で住民との間でどのような意思疎通が行われたのか、お尋ねをいたします。

◎倉谷健康福祉局福祉本部生活福祉部保護課長 お答えします。

 運営委員会につきましては、この3年間で5回開催をしまして、臨時夜間緊急避難所の運営状況の報告、そして意見交換を行っているところでございます。

 運営委員会では、要望の進捗状況や利用者の衛生対策、また当初撤去しましたごみや放置自動車が増加しているということで早急な対応を求める意見が出されまして、関係先と連携しまして対処してきたところでございます。

 臨時夜間緊急避難所を運営したものの、あいりんの状況が一向に改善されていない状況で、約束を守ってもらえないという不安もあって、約束は3年間、早く市の方針を決定してほしいといった意見もいただいております。あいりんは、労働者のまちという視点になりがちですが、地域の住民も居住しているということを認識してほしい。また、臨時夜間緊急避難所が本当に労働者の自立に役立っているのか、野宿生活を解消するためだけの施設になっているのではないか、総合的な対策を講じるべきであるとの意見もあるところでございます。

◆柳本顕委員 本当に今現在、地域の方々が上げておられる声を今課長の方からもお話をいただいたわけでございますけども。ただ運営委員会、3年間で5回というのは、もうちょっとやっぱり地域の住民の方々との意思疎通を小まめに充実した形で図っていただく必要があったんじゃないかなというふうに思いますし、その点、私自身ももっともっと努力をしていかなければならないと、私自身も反省をしているところであるんですけども。

 ホームレスの問題となると、いつも野宿をせざるを得ない状況にある弱者を守る視点が主流となります。これは同感できることでありますけれども、その一方で、何とかこの地域の環境をよくしたいと思い、また現在の住んでいる子供たちとか年配の方々の生活環境を守りたいと本当に日々懸命に努力をしている方々がいることも十分に理解してほしいと思うんですね。このあたりは本当にマスコミの方々にも十分認識をしていただきたいというか、地域の方々もいろいろ苦しみながら努力をしているということを理解してほしいと思うわけでございます。

 その思いが通じるなら、この苦しい状況の中でシェルター建設を3年前に理解した住民の方々、協力してくださった方々にこたえるためにも、また今後さまざまな自立支援施設の建設に当たってほかの地域でも理解を得るためにも、住民との約束は守っていくべきであると思いますけども、どうでしょうか。

 また、仮に守ることが困難であるとするならば、仮にですけども、それ相応のこれまでの対応が必要であったというふうに思うわけでございますけれども、それも残念ながら先ほど言いましたように十分ではないと。現状をどのように考えているのでしょうか。

 決算特別委員会においてホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の中で、ホームレスになることを余儀なくされるおそれのあるものが多数存在する地域が明文化されたのは、あいりん地域の対策が必要であることを念頭に置いたものであるとの答弁がございました。今後基本方針、実施計画が策定されると、さらなる施設整備にも取り組む必要が出てくるように思います。

 施設整備に当たっては、住民との信頼関係が何よりも大切で必要であり、そのためにもこれまでの住民の意見を真摯に受けとめ、取り組んでいく必要があると考えますが、局の決意をお伺いいたします。

◎武内健康福祉局福祉本部福祉援護担当部長 お答え申し上げます。

 経済・雇用状況の悪化等を背景といたしまして、野宿生活を余儀なくされる人が増加しております。建設・土木産業に従事する労働者が多い、委員から御指摘もございました、あいりん地域におきましても、長引く景気の低迷や機械化等によりまして雇用環境が悪化している状況となってございます。

 今御指摘ございました、臨時夜間緊急避難所の利用者の多くは日々の現金就労により生活を維持している労働者であり、就労できないことが野宿生活に陥る要因となってございます。これらの労働者にとりまして、臨時夜間緊急避難所は体力の消耗を防止し、また翌日就労するための施設として現在も必要な施設でございます。また、地域住民の方々にとりましても夜間の生活の安定に寄与していると考えているところでございます。ましてその設置なり運営におきましては、地域の皆さん方との信頼関係が何より重要なことでございます。それを築くためには、意思の疎通を図ることが必要であります。

 今御指摘ございました運営委員会の開催回数も含めまして意思の疎通を欠いた点がございます。また地域の皆さん方に不安を与えてる面もございます。この点は大変申しわけなく思っております。残された期間は短い状況でございますが、局としても最大限の努力をして運営委員会での種々の貴重な御意見を踏まえまして、地域の皆さん方とさらに議論を深めてまいりたいと考えております。

 一方、今委員が御指摘されましたホームレスの自立の支援等に関する特別措置法におきましては、あいりん地域を念頭に置いた条文が明文化されているところでございます。今後、国の基本方針に基づきまして大阪府並びに大阪市が実施計画を策定することになってございますが、実施計画の策定に当たりましても、地域住民の意見もお聞きするよう努めてまいりたいと存じております。

 施設整備におきましても、地域の皆様の意見を聞くことが重要でございますので、これまでの意見を十分に踏まえまして施策の推進に当たってまいる所存でございます。

◆柳本顕委員 臨時夜間緊急避難所について部長の方から局としても最大限努力をしてという御答弁をいただきましたけども、そのことを私自身も重く心に受けとめて活動をしてまいりたいと思っております。

 特別措置法に係る実施計画の策定や施設整備に当たり、住民の意見を踏まえ施策の推進に当たるというような決意表明もあったわけでございますけども、今後、恐らくまたあいりん地域においてもある一定の施設整備や運営をされる必要が出てくると思うんですけども、地域住民との信頼関係を築く上で意思疎通を図ることが本当に重要でありまして、そこでの意見を十分に反映した整備並びに運営をしていただくように強く要望しておきます。

 続きまして、地域の結核についてお伺いしたいと思うんですけども。

 就労や生活の問題だけでなく、健康の問題、特に結核の問題は非常に深刻なわけなんです。大阪市では結核が猛威をふるうおそれがあることから、平成13年2月、大阪市結核対策基本指針「STOP結核」作戦を策定され、10年間で結核罹患率を半減させることを目標に職員が共通の認識のもと一丸となって取り組んでおられると聞いております。

 しかし、大阪市の結核罹患率は近年減少してきているものの、残念ながら今なお全国平均の約3倍という状況が続いておりまして、特にあいりんの罹患率は非常に高いと聞いておりますけども、今現在の状況についてお伺いをいたします。

◎半野田健康福祉局保健医療本部健康推進部予防課長 お答えいたします。

 平成13年の大阪市の結核新登録患者数は 2,155人で、人口10万人当たりの結核罹患率は82.6となっておりまして、全国平均27.9の約3倍となっております。

 また、あいりんの新登録患者数は 336人で、罹患率は1120.0となり、全国平均の約40倍、大阪市平均の約13.6倍となっております。以上でございます。

     床田正勝委員

そしてちょっと野宿生活者の関係で質問させていただきたいんですけども。平成13年度予算の委員会、2年前のちょうどこの民生保健委員会の場なんですけども、ここで取り上げさせていただいた内容なんですけども、改めてさせていただきます。

 野宿生活者のことで、他都市で大阪市までの片道切符を支給されて大阪市の充実したといいますか、ホームレス対策などの福祉的措置を期待して大阪に来られる事例があるんじゃないかということを伺ったところ、隣接府県で交通費を支給されて来阪された事例があるとの報告を受けているという御答弁を2年前にこの民生保健委員会の予算市会のこの場でいただきました。

 そこで、どこの県のどこの市から来られたかという自治体名、2年間追跡調査していただいてると思いますんで、それがどこか教えていただきたい。そしてそのケースに対しての対応と大阪市としての基本的な姿勢、これについて伺います。

◎倉谷健康福祉局福祉本部生活福祉部保護課長 お答えします。

 福祉事務所には、いろいろな御相談で来所される方が多いのですが、その中にはJR線や私鉄などの鉄道で目的地に向かう途中で所持金を使い果たして旅費に困っているという相談などがございます。また、大阪なら医療機関も多いから行ってはどうかという事例もあると報告を受けております。このように、交通費を支給して大阪市へ行くように助言されたと、本人から聴取しました例としまして神戸市などがございますが、本来、当該自治体で適切に対応すべきでありまして、本人の申し立てではございますが、このような自治体に対しては抗議を行うなど厳正に対応しているところでございます。

 本市には、西日本を初め全国から仕事などを求めてさまざまな方が集まってまいりますが、中には景気の低迷が続き、雇用情勢が悪化しているために仕事につけず、生活困窮に陥る場合もあると思われます。生活保護制度は国民が生活に困窮したときの最後のよりどころとなる制度でありまして、それぞれの事情をよく聞いた上で適切に対応する必要があると考えておるところでございます。以上です。

◆床田正勝委員 ありがとうございます。

 こういった野宿生活者の方がいらっしゃって、野宿生活者対策がうまくいかなければ生活保護になるんですね。

 先ほど、話をちょっと戻しますけども、お年を召した方で年金よりも生活保護が高い、ようさんもらえる、こんな話があるかいなということで、生活保護になるケースもある。そしてそういう悪い事例があったり、なおかつ将来の年金制度が不安やいうことで、年金を掛けない若い人がふえてます。ということは、今みたいに他都市から来さされた野宿生活者の方、お年を召した方、これからの若い人、皆さんこれ生活保護の対象になるんですね。これは莫大なお金になると思いますんで、その辺もちょっとまた改めて指摘をしておきたいと思うんですけども。

 今御答弁いただきました中で、神戸市という御答弁いただきました。先日来から健康福祉局の皆様方と調査させてもらった中で、神戸市以外の自治体があったと思うんです。私のあれによりますと、名古屋、和歌山、京都が一応該当してるんではないかと思うんですけども、改めて伺います。

◎倉谷健康福祉局福祉本部生活福祉部保護課長 お答えします。

 大阪市へ行くように指示されたかどうかは不明な場合も含まれておりますが、本人からの聴取によればでございますけども、交通費を支給されて大阪へ来たという事例はございます。

◆床田正勝委員 ありがとうございます。

 これについてはあれではなく野宿生活者の方々個人に聞き取りをしてそういうお答えがあったというだけで、神戸のように確たるあれがないということの程度でございますんで、これはさらっと流しておきたいと思うんですけども。

 先ほど申しましたように、そういった生活保護、これについては野宿生活のこういったよそから入ってこられる方ですとか、また大阪市内で残念ながらそういうふうに生活保護を受けざるを得なくなった方、またお年を召した方とかいろんな方がいらっしゃるんですけども、当然最初にも言いましたけども、生活保護は本当に必要な手段なんです。生活困窮されている方、また本当に自立をしたいんやけども、そういった環境がたたない方、そのような方にはちゃんとしていただかなければいけない。ただ、そういった市民の皆様方の、また行政の制度の善意を悪用するようなケースが多々ありますんで、これについてはやはりなくしていかなければいけないと思っております。これについてはもう一度、皆様方と一緒に認識を改めておきたいと思いますんで、よろしくお願いします。

     船場太郎委員

先ほど出ました偽装離婚の話ですけども、離婚をしたような形はとってはおりますけども、こちらで、母子世帯のところでちゃんと保護を受けてそれで生活してるところへ、別れたはずのだんなが毎日高級車に乗って帰ってるとか。高級車までいかんやろうけども、しかし何ら以前と変わりないような夫婦の生活を続けていらっしゃるというふうなこと。大変に難しいかろうと思いますけども、こういったものもございますし、また、先ほど出ました片道切符の対応もしっかりと詰めていかなければいかんなと思います。

 それから、もっと腹が立つのが、福祉を食い物にしてる人がおりまして、事件が実際に起きましたな。ホームレスの方々を一つの所へ全部来い来い来い来いということで集めて入れて、そこで住民登録させて、全部その方々に、はい生活保護受け、はい生活保護受けと、またうまいことこれ当てはまるんですな、この生活保護の審査に。みんな受けさせて、それで生活保護をとったけどその上前をピンはねするというふうな、福祉を食い物にしているという許せないというふうな事件も実際にありました。

 ですから、やっばり今ここで福祉の洗い直し、チェックというものが必要だと思います。ちょっとさっきの答えでは少し甘いんではないかなというふうな気がいたします。

◎倉谷健康福祉局福祉本部生活福祉部保護課長 お答え申し上げます。

 長引くこの景気の低迷によりまして、雇用情勢が悪化してるわけですけれども、さらには高齢化やあるいは核家族化の進展等によりまして生活保護の受給世帯が増加をしております。伴いまして、保護費も増加しているところでございます。

 この生活保護制度、社会保障制度の根幹をなす制度と言われておるわけですけれども、真に生活に困窮している市民にとりまして最後のセーフティネットでございます。生活保護制度を適正に運用しますことは、市民の信頼を得る上からも大切なわけでございまして、真に保護を必要とする方にとりまして有効な制度となるよう一層努めてまいりたいと考えております。以上でございます。

◆船場太郎委員 きょうほど質問と答えが違うことが何回も続くのは初めてでございます。

 大阪市が破滅につながろうが、日本が破滅につながろうが、もう一つその辺やなしにもっと大切な保護の基本的な考え方やというふうな感じもいたしましたけども、それはそれでいろんな御意見があって当たり前のことやと思いますけども。

 続けて、大阪市は他都市に先駆けて自立支援センターや仮設一時避難所の整備・運営などをして、ホームレス対策として頑張ってくれてはります。自立支援センターで支援を受けて、それで自立支援センターで支援を受けて住むところをちゃんと確保なさった方、そのホームレスの人がまたまた失業してしまったり、体のぐあいを悪くしてしまったり、またはやっぱり働くのやめとこというふうなことで、こういったことから生活保護につながっていくんではないかなと思います。

 自立支援センターが頑張りはったら頑張りはるほどこのケースがふえてくる可能性があるんではないかなと思います。

 そうなったら生活保護費の方はますます膨れ上がってくることになるかもしれません。そのためにも、自立支援センターを卒業なさった方々に本当に自立が長続きするようにフォローとサポートが必要だと思います。ホームレス対策に当たりまして真に自立できるようにどのように取り組んでいらっしゃいますか、お答え願います

◎東健康福祉局福祉本部生活福祉部野宿生活者対策担当課長 お答えいたします。

 自立支援センターからの就労退所者に対しまして、継続した就労が可能となるよう公共職業安定所との連携のもとに退所後の支援についても取り組んでいるところでございます。

 今後、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づきまして、本市におきましても実施計画を策定して、より一層積極的にホームレス対策に取り組むこととなりますが、野宿生活者の就労による自立が実施計画の中心になるものと考えており、国による特別就労対策の実施を初め職業訓練の充実等により就労自立を促進する方向で取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。