【 平成17年3月定例会常任委員会(民生保健・通常予算)-0316日−05号 】

渡司考一委員

続きまして、過日も議論がございましたが、ホームレス対策について質疑をさせていただきます。

 去年、決算議会で我が党の姫野議員も取り上げましたが、大阪市と関係の深い関西経済同友会とか、それから大阪市ももちろんプランを出してますが、ホームレスの数でいいますと、東の雄であります東京都の方も計画を出しました。その辺を参考に一刻も早く大阪市からブルーテントをなくしていこうと、こういう立場で質疑をさせていただきたいなというふうに思います。

 市長、どうもお忙しいところ御苦労さまです。

 早速で申しわけないんですが、先ほど申し上げました関西経済同友会が去年の7月に「大阪のホームレス問題に抜本的対策を」という提言を出しております。サブタイトルが「ホームレスの自立と青テントの全廃を目指して」というふうになっておりますが、その中でこのように提言をしております

 大阪市は、国際集客都市を宣言して、国内外にシティプロモーションを展開しているが、この問題に対する積極的な取り組みがなされない限り、その政策は矛盾しているかに感じられるというふうに述べた上で、公共施設の占拠を見過ごし、劣悪な環境下での生活をそのまま放置することは人権問題であり、社会全体で問題の解決に早急に取り組むべきであると、こういう提言の中身になっておりますが、何度か市長もこれ同友会の関係者と懇談をされてるというふうに思いますけれども、こういう認識について、市長はどうお考えでしょうか

◎關市長 ちょっと御質問、途中から入りまして。ホームレス問題全般について、まず申し上げさせていただきます。

 やはり大阪市では自立支援センターをまずは中心にですね、やはりホームレス自身がみずからの意思といいますか自分の考えでいわゆる安定した生活、いわゆるホームレスと言われない安定した生活を営みたいという気持ちを持つことが非常に大事でありまして、そういう意味では自立支援センターの果たしている役割は極めて大きいと私は思っております。

 まずは、やはりライフスタイルというか、生活スタイルについてのそれまでのホームレスとしての生活から家の中のといいますか、これホームレス、私は単にハウスレスではないと思ってます。やはりホームレス、家庭から離れてるということがやはり大きい原因だろうと思っております。そういう意味で、社会復帰のための自立支援センターというのは非常に大事だろうと思います。

 就業機会の確保、それから住居の確保、同時に保健・医療の確保というようなことを総合的にしていかねばならないと思ってます。

 自立支援センターでも非常にきめ細かい対応をしております。例えばホームレスの人は就職のために、面接に行くというときのために、いわゆるジャケットとかワイシャツ、ネクタイというようなもの、いろいろなサイズのものをそろえて、その人はそのときにはそれをちゃんとした形で着ていけるような、そういうこともやっておりますし、また借金、多重負債等で困っている人については弁護士あるいは法律相談等も実施しております。

 また、非常に少人数のサテライト型の自立支援センターもこれを設置しまして、ホームレスが就労自立できるようにいろんな工夫をしているところであります。

 そういうことで総合的に、そしてやはり一人一人ホームレスになった原因は非常に多様でありますので、それにも対応できるようにしていきたいと思っております。

 昨年10月ですが、国、府、経済団体、労働団体と一体となったホームレスに対する就業支援協議会というのも設置されまして、経済界・労働界とも協力してこれを進めていきたいと思っております。

 非常に大都市特有の重要な課題でありますので、これからもホームレス問題についてはきっちりとした対応ができるように全力で取り組んでまいりたいと思っております。

◆渡司考一委員 何か市長、最後まで言うてしまわれたから、もう質問終わらなあかん。そういうわけにいかんので。担当のセクションとヒアリングやっておりまして、非常に熱心にやっていただいてるなというふうな印象を私も持ちました。

 自立支援センター中心ということで今までやってきたわけなんですが、私、もっといろんな施策を組み合わせるべきではないかなというふうに思うんです

 それと、質問はいたしませんが、やっぱりいつまでになくしてしまおうというような目標設定が私要るんじゃないかなというふうに思うんです。でないと、やっぱりこの迫力ある取り組みになりませんので、その辺、市長ぜひ検討してほしいなというふうに思います。

 我々も目標どおりいかんかったからあかんやないかということは絶対に言いませんので、やっぱり目標を立ててこれまでに何としてもなくそうというね、こういうプランがどうしても必要じゃないかなというふうに思います。

 それで、自立支援センターの方なんですが、できて3年ちょっとですかね。この間の退所者の状況ですね、これについて、ちょっとお答えをお願いします。

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。

 平成1210月より順次3カ所の自立支援センターを設置、運営してきております。本年2月末で入所者総数が 2,580人、退所者の総数が 2,363人、そのうち就労自立した人が 1,020人で約43%、傷病による入院あるいは施設入所した人が 183人、約8%でございました。

 この1年間の実績を見ますと、効果的な技能講習の実施や景気の回復傾向もあり、就労自立による退所が50%に達しつつあるというような状況でございます。以上でございます。

◆渡司考一委員 調査によりますと、ホームレスになったきっかけというのは、倒産、失業、リストラ、こういう事情が圧倒的に多いわけです。大半の方々が、ぜひ仕事がしたいと、社会復帰したいと、こういう希望を持っておられます。

 やっぱりそういう中で自立支援センターを出るときに、就労で、つまり仕事が見つかったというふうに、その退所者が40数%ですからね、その後どうなったかということなんですが、いただいた資料によりますと、去年から追っかけ調査をやられてるんですけれども、去年の4月以降の就労退所者で就労が継続というのが64%なんですね。東京でいいますと、大体就労で出たけども、70%は再ホームレス化というふうなお話をされております。ということは、東京の例でいきますと5割が就労で出て、その3割が何とか定着ということですから、退所者の15%しか就労継続になってないと。大阪の場合この調査で、9カ月ぐらいの調査なんですが、それは東京より大分ましやなというふうに思いました。しかし、これではなかなか数年で解決というふうにはならないなというふうに思います。

 そこで、先ほどのこの経済同友会の提言の中でも、大阪市にはより具体的で実効ある支援策が求められているというふうに述べております。この上で、同友会の方は 3,000戸の個室のプレハブ仮設をつくれというふうに提言では言っておるんですけれども、 3,000戸とはいかんでも、各地域地域で大阪市の使わなくなった、旭区でいいますと工営所の跡地とか、結構あるんですよね、空き地は。

 そこで、小規模なそういうのを建設するということも考えられると思いますが、とりあえず自立支援センターを進めていくということで、市長の公約もこれ大体 1,000人分でしたかな、 1,000人分の枠ですか、建設を進めるということです。

 今、3カ所で 280人もというふうに聞いておりますが、自立支援センターのこの平成16年度の進捗状況はどうなってますでしょうか。

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。

 自立支援センターの整備についてですが、16年度予算において、改修による整備が1カ所、建物リースによるものが2カ所、入所定員 300人ということで予算を計上しております。現在、関係先に対しましても御理解、御協力をいただくべく説明に努めているところでありますが、いまだ整備には至っておらない状況でございます。以上でございます。

◆渡司考一委員 関係する方々の懸命の努力にもかかわらず、やっぱり地元の了解とかそういう関係で進んでないということなんですが、だからこそやっぱり総合的にいろんな手でいかないとなかなかうまくいかんのじゃないかなというふうな思いがしております。

 それで、去年たまたま私の家に投げ込まれたチラシに、市長さんのコメントが載っておりまして、ホームレスのことを書いておられます。リビング枚方・交野というこのミニコミ誌なんですが、その中で市長はジュリアーニ前市長にも会われたとかということを問われて、かつてニューヨークが抱えていたホームレスの自立支援について、同じ課題を持つ大阪としてお話を伺いましたと。ジュリアーニさんは、大規模ではなく、小さな支援施設を多くつくるように言われましたと。ホームレスになるには人それぞれに事情があるんやから、施設ごとにカウンセラーや医療、法律の専門家を置き、密にアドバイスをすると。今後はこうした支援センターの建設に力を入れていきたいということで、ジュリアーニ前市長に大規模ではなく小さな支援施設を多くつくるように言われたという点で、感慨深く言われておりますが、この施設の具体的なイメージというのはあるんですか。

◎關市長 16年度事業につきましては、先ほど御説明したとおりであるわけです。 1,000人単位とかいろんな御意見があるわけですが、私はそういう意味ではジュリアーニ前市長の、ちょっと限られた時間で、1時間弱でしたんでホームレスに限っていろいろお話を伺うことができたんです。やはりいろんな原因で、そして事情でホームレスになっている。その状況は一人一人違うんだということは非常に私も同感でありました。できるだけ、あんまり大規模でないものをしたいというふうに思ってるわけですが、なかなかこれ、まだ計画段階でありまして進んでおりませんが、同時にジュリアーニさんがおっしゃったのは、役所は前面にあんまり出ていったらかえってよくない場合もあると。ホームレスの方が拒否する気持ちを持つことも多いと。だから、もしいいNPOが養成できれば、そういうのを使うことも非常に効率的だということも言われました。

 なかなかNPO、しかもまずはその前提としてそういうことにたけた人材を集めるということもアドバイスいただきました。なかなか日本ではそういうことも、そういう人材が豊富にあるという状況でもありませんので、これについてもこれから、今ある自立支援センターで、優秀な場所で仕事をされた経験のある方を一人でもふやして広げていきたいというふうに思っております。

◆渡司考一委員 ぜひいろんな施設を検討していってほしいなというふうに思います。

 この間、東京都がホームレス地域生活移行支援事業というのを平成16年度から行っておりますが、この概要についてお尋ねをいたします。

◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。

 16年度から東京都が特別区とともに実施している事業でございまして、ホームレスの多い特別区内の5カ所の公園を対象に、ホームレスの方に民間アパートなどの借り上げ住宅を原則2年間、更新があるというふうに聞いておりますけども、家賃を 3,000円で貸し付けて、自立した生活に向けて支援するとともに、公園の本来の機能を回復することを目的としたもので、事業については社会福祉法人、NPO法人などに委託をしているというふうに聞いております。

 事業費負担につきましては都2分の1、特別区2分の1というふうに聞いております。以上でございます。

◆渡司考一委員 最初に20人ぐらい集めて、いろいろグループをつくって2週間ほど、とりあえず生活をさせて、それからアパートなどを月 3,000円で貸すという事業で、今 300人ぐらいされてるということなんですが、いろいろ問題はあるようですね、この制度もね。しかし、東京都が今までの自立支援センターの役割の上に立って、こういう新しい事業を始めたと。 2,000戸目標ですから相当なもんですね。

 それで事前に、東京もいろいろひとり勝ちで景気がよくてというような印象なんですが、やっぱり古いアパートはかなりあきが出てるんですよね。全体で32万戸のあきがあると。そこで、家賃の安いとこ何万戸あるということから、この事業をやってるようです。

 すぐにこういうのをやれとは言いませんが、やっぱりこういうこともミックスしてやれば、少しずつでも前進をするんじゃないかなというふうに思います。いろんな事情で、この自立支援センターがなかなか建設できないという中で、こういう事業もひとつ検討すべきではないかなというふうに思います。そういう点では、財界の方も 3,000戸のプレハブというふうに言ってるわけですから、共通するものがあるんじゃないかなというふうに思います。

 これ自立支援センター方式、これ結構費用かかってるんですね。私の方で申し上げますが、1人当たり月に約12 5,000円ぐらいかかっておりますね。そのうち国が半分負担ですから、ずるく考えれば生活保護やったら4分の3が国負担ですからね。就労支援をやるというのは当然のことなんですけれども、そういう考え方もありますから、就労支援、自立支援が基本ですけれども、いろんな形態については今後さまざまな工夫をすべきだと。そして、一刻も早く大阪からブルーテントをなくそうというこの意気込みをぜひ今後も示していってほしいなと。

 経済同友会の方も、やれやれということじゃなくて、我々財界も就労支援に協力せないかんというふうに、市長、これ言うてくれてはりますからな。ぜひまた機会があれば申し入れてほしいなということを申し上げまして、ホームレスに関する質疑を終わらせていただきます。