【 平成16年度決算特別委員会(一般)平成17年12・18年1月-01月18日−03号 】
◆長尾秀樹委員
続きまして、健康福祉局の局長マニフェスト案の、「官民協働の推進」、「他の法人(大阪府等)との連携」という項目の中で、野宿生活者対策と精神科救急医療体制の整備ということが掲げられておりますので、若干お聞きをしたいと思います。
まず、ホームレス問題についてでありますが、平成16年度から大阪市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画に基づいて取り組みが進められております。この間、ホームレスの数も減少しているようには思われますが、この間の取り組みの状況についてお聞きをしたいと思います。簡潔に御答弁願います。
◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。
主なホームレス対策として、巡回相談事業、就労自立の促進を図る自立支援センターの設置・運営、特定公園の適正化対策として公園仮設一時避難所の整備・運営を実施しております。
この間の効果といたしまして、平成17年11月末現在、自立支援センター入所総数は 2,914人、退所総数は 2,777人、うち就労退所によるものが 1,198人、入院・施設入所が 212人、その他が 1,367人でございます。就労自立の率は、累計では43%、平成16年度では47%と、向上はしてきております。
また、市内公園におけるテント・小屋がけ数は、ピーク時である平成12年 2,593件が、平成17年11月 927件と約65%の減少、道路上の物件数も、ピーク時である平成11年 1,502件が、平成17年10月 566件と、約62%の減少をしております。
以上のように、これまでの取り組みにより一定の効果はあったと認識しております。以上でございます。
◆長尾秀樹委員 今御答弁ございましたように、自立支援事業によりまして一定効果があったということは理解ができます。
加えまして、この1月、舞洲に 100人定員の自立支援センターが2カ所、新たに設置がされました。そのうちの1つ、舞洲1を、よりきめ細かい支援に向けて、入所者の心身の状態、生活歴、職歴などの状況を多面的に把握するアセスメントを担う組織と位置づけていくというふうに聞いておりますが、その具体的な考え方をお聞きしたいと思います。
また、入所者の中には、就労意欲が十分にある人もあれば、意欲を発揮するまでに時間のかかる人もいるのではないかと思いますが、就労意欲を促進するよう、より一層きめ細かな支援が必要であると思いますが、この点についてどうか、お聞きをいたします。
◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。
舞洲の2カ所の自立支援センターのうち1カ所、舞洲1をアセスメント機能を主に担うセンターとし、また舞洲1以外の自立支援センターを就労に特化したセンターとして位置づけ、機能分化を行いました。これにより、アセスメントの充実・強化とより効果的な自立支援策の推進を図ることといたしました。
まず、自立支援センター舞洲1でおおむね1カ月程度、安定した生活のもと、健康の回復などを図るとともに、アセスメントや就労に向けての生活訓練などを行います。委員御指摘の就労意欲を発揮するまで時間のかかる人もおられますので、就労への不安や悩みについてサポートを行い、自立の意欲を高めていくような支援や働く習慣を身につけることなどの取り組みを行ってまいりたいと考えております。
その後に、他の4カ所の自立支援センターにおいて就労訓練や就職活動を進め、速やかに就労自立を図っていくこととしております。さらに、昨年12月に設置いたしました自立支援センターのサテライトでは、地域社会での生活にスムーズに移行できるよう、小規模の集団生活の中で自立した生活支援を行っています。
このように、自立支援センターにおきまして、自立の各段階に応じた自立支援を進めているところでございます。以上でございます。
◆長尾秀樹委員 自立支援センターの入所枠の確保とあわせまして、その機能の充実が一層図られるよう、努めていただきたいと思います。
さて、ホームレスの自立に向けまして最も実効性ある施策は、安定した雇用の確保であるというふうに思います。昨年8月に大阪府と市が連携して設置いたしましたホームレス就業支援センターの活動状況についてお聞きをいたします。簡単に答えてください。
◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。
大阪ホームレス就業支援センターは、国の財政措置のもと、大阪府と協働し、自立支援センター入所者の就業自立の促進とあいりん高齢日雇労働者への就業機会の提供のために、民間事業者等から仕事を集め、多様な就業機会を提供することを目的に設置したものでございます。
その実績は、平成17年11月末現在、開拓した常用雇用の求人 196人に対しまして、自立支援センター入所者28人、あいりん地域の日雇労働者16人がこの事業により就職いたしました。さらに、民間事業所等から臨時的・軽易な仕事を開拓し、あいりん地域の日雇労働者延べ 575人が短期の仕事につき、またセンター内のスペースを活用して簡易な組み立て作業などに15人ほどの人が日々従事しております。以上でございます。
◆長尾秀樹委員 開設して半年ということでありまして、ホームレスの自立を促進していくために、就業支援センターを通じて民間企業の常用雇用を今後一層確保していく必要があると思いますので、より多くの求人開拓がされるよう望んでおきます。
さて、民間企業での常用雇用の確保には、何らかの仕組みが必要であると思います。市として工夫してきたことがあれば、お聞きをしたいと思います。
また、就業支援センターに先立ってスタートしております大阪野宿生活者就業支援協議会の積極的な協力も求めていく必要があると思います。それらについて簡単にお答えをいただきたいと思います。
◎坂本健康福祉局生活福祉部ホームレス自立支援課長 お答えいたします。
民間企業での雇用確保の施策の一つとして、本市におきまして16年度から庁舎の清掃の業務の一部に総合評価一般競争入札が導入され、ホームレスなど就職に向けた支援が必要な人の雇用の確保が図られました。自立支援センター入所者の雇用は、16年度8名、17年度14名でありました。
この波及効果として、事業者によっては、雇用予定人数を超えて自立支援センター入所者を雇用することや、短期間のアルバイト雇用について求人情報を自立支援センターに寄せていただくなど、就労支援の協力が広がりつつあります。さらに、自立支援センターの技能講習の一つとして実施しているビルクリーニング講座受講者の雇用の促進が図られております。
先ほど御説明いたしました大阪ホームレス就業支援センターにおける雇用や軽易な仕事の開拓につきましては、大阪野宿生活者就業支援協議会の構成団体である経済団体や労働団体の機関誌などを通じて依頼し、幾つかの民間企業等から求人情報などを得ているところでございます。今後とも大阪ホームレス就業支援センターの求人開拓や軽易な仕事出しにつきまして協力が得られますよう、各団体の広報などを活用した取り組みの協力を引き続き依頼してまいりたいと考えております。以上でございます。
◆長尾秀樹委員 もう時間がありませんので、最後にお聞きをしたいと思います。
ホームレスの雇用・就業の促進に向けた取り組みについて今いろいろお聞きしましたが、ホームレスにとどまらず、障害者や母子家庭の母、高齢者等、就職に向けた支援が必要な方々全般に対して、雇用・就業の促進に向けて、民間企業における就業機会の確保に努めるととともに、本市事業も活用して雇用創出の取り組みを進めることが必要であるというふうに考えております。
先般、パブリックコメントの手続が実施されました新・大阪市雇用施策推進プランの中でも、中身の引用は省略しますが、触れられております。民間企業で就職に向けた支援が必要な人の雇用が促進されるように、行政としてさまざまな取り組みを推進していかねばならんと思います。大阪市が、範を示すものとして、本市事業も活用した雇用創出を検討することが大変意義があると思います。今後、具体的にどのような取り組みを検討しておられるか、お聞きをいたします。
◎細村市民局市民生活振興部就労支援担当課長 お答えをいたします。
本市では、関西経営者協会もメンバーになっております大阪雇用対策会議に参加をいたしまして、就職に向けた支援が必要な人に重点を置きました雇用・就業支援プログラムを策定、実施しておりますほか、昨年12月には在阪の経済5団体に対しまして雇用拡大の要請を行うなど、民間企業における就業機会の確保に努めているところでございます。
また、障害者や母子家庭の母、高齢者、ホームレスの方等、就職に向けた支援が必要な人に対します本市事業を活用いたしました雇用・就業促進につきましては、地方自治法施行令の規定を活用し、平成16年度に庁舎清掃業務の一部に総合評価一般競争入札制度を導入し、取り組んでまいりました。さらに、公の施設の指定管理者選定に当たりましては、就職に向けた支援が必要な人への支援施策の活用や障害者就業支援の取り組み実績等を評価し、就職に向けた支援が必要な人の雇用の促進に資する取り組みを進めております。
一方、一昨年に地方自治法施行令が改正され、シルバー人材センターや母子家庭の母等の団体から役務の提供を受ける場合や、障害者の職業訓練や授産を行う施設から物品を購入する場合につきまして、随意契約の方法によることができることとなり、現在、手続の整備を進めているところでございます。このように法的に随意契約が認められる場合は優先した事業の発注が可能でございますが、それ以外の場合はなかなか難しく、方策の検討に苦慮しているというのが実情でございます。
しかしながら、いろいろ難しい面がございますが、本市が率先して汗をかくという必要があると認識しておりまして、障害者や母子家庭の母、高齢者、ホームレス等、就職に向けた支援が必要な人に対する本市事業を活用した雇用機会の創出等につきましては、引き続き本市の雇用施策推進本部のもとに設置されております就職に向けた支援が必要な人の就業支援方策検討会議において検討してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
◆長尾秀樹委員 本市発注事業の活用をするに当たっていろいろ契約上の制約があるということでありますが、難しいということだけでは今後進展がありませんので、ホームレスなど就職に向けた支援が必要な人に対する就業支援という政策的観点から、法令上の諸問題との整合性を図りつつ、一歩踏み込んだ取り組みを進めていただくよう強く要望をしておきます。
精神科救急医療体制については、もう質問する時間がなくなりましたので、次の機会に譲りたいと思います。以上で私の質問を終わります