【 平成1812月常任委員会(財政総務)-1215日−01号 】

◆辻義隆委員 まず最初に、新聞各紙でも報道されましたあいりん地区におけます住民登録の問題について質疑をさせていただきたいと思います。

 住民票というのは非常に大事なものでございまして、携帯電話を契約するにも、いろんな部分でさまざまな認証機能を持っておるわけでございまして、今回、3,300人の住民票が1カ所に集中していたということをかいま見ますと、この公証機能というのは一体どうなってるのかなというふうに、非常な不信感を市民の皆さんに持たせてしまったというふうに思いますし、いまだに市側からの公式見解といいますか、発表すらない。まして、この財政総務委員会の各委員にも説明がなかった、委員長にもございませんでしたということでございまして、一体どうなっているのかと。

 西成でわずか44平米に3,300人、もう皆さんびっくりをされたというふうに思いますけれども、この記事を読んで、まさかね、生活実態がそこにあると思われる方はほとんどいないというふうに思いますし、この件につきまして、まず事の成り行き、概要を説明していただきたいのと、約3,300人、約3,300人ということで、いつまでたっても実数が出てこないもんですから、区役所で実数わからんということは、僕はないと思いますので、その実数を把握されてるのかどうか、教えてください。

◎森田市民局市民部長 お答え申し上げます。

 まず冒頭、各委員の皆様方に、今回の西成区で起こっております住民登録にかかわります新聞記事等の報道の内容、またその事実状況につきまして御報告をできておらないことにつきまして、おわびを申し上げます。

 その上で、今、辻委員からお尋ねの内容でございますが、この事案は西成区の萩之茶屋2丁目に所在をいたします5階建てのビルに多数の住民登録がなされておったということでございます。

 同地は、敷地面積で、ただいま辻委員からも御紹介がありましたが、44平米というところでありまして、鉄骨づくりの5階建てのビルで、延べ床面積でも173平米という建物であります。

 本来、私どもも含めてですが、住所を移動する場合は、御本人から届け出がありまして、その届け出に基づきまして、区役所では本人確認を行った上で、書類審査によりまして登録をしていくというのが仕組みでございます。

 委員御指摘の、報道でありました3,300の数字でございますが、その後の区役所での調査によりまして、現在明らかになっておりますのが3,530名の登録があるという報告を受けておるところでございます。以上でございます。

◆辻義隆委員 びっくりするような数字でございまして、この報道が行われたのが、たしか12月7日でございました。それからきょう現在、15日でございまして、随分日がたっておりまして、今、謝罪の言葉がありましたけれども、非常に財政総務委員として情けない気持ちでございます。

 また、その数字の精査におきましても、今、この場でおっしゃっていただきましたけども、調査について、もっと迅速になされるべきではないかなというふうに、非常に遺憾に思っております。

 230人も上回る数字が出まして、3,530人という数が出たわけでございますけども、この住民票につきまして、区役所は、いつからこの件を御承知になっていたのか、また、住民登録事務における書類審査の実施方法、この点につきまして問題はなかったのかどうか、御見解をお伺をしたいと思います。

◎清水市民局市民部区行政企画担当課長 お答えいたします。

 住民登録の担当者の中でも、その数値の多さには気がついていたようでございます。書類審査のため、届け出を受けざるを得なかったのではないかと考えております。

◆辻義隆委員 当たり前のことですわね。気がつかないはずはない。とっとことっとこ登録に来はるわけで、必要なときは、とっとことっとこ申請をして出ていくわけですよね、住民票が。ですから、その部分で、なぜ気づいていたにもかかわらず、このような届け出が放置されていたのか。届け出を一応、受け付ければ、その届け出に基づいて住民票をつくりますわな。要るということなんです。請求があったら、住民票を発行される。何か、住民票が必要だから、そういう行為が行われたということであるというふうに思います。

 新聞の報道では、日雇い労働者の求職者給付金というのがあるそうで、これを得るための登録かもしれないというふうな記述がございました。このような届け出が増加の一途をたどった原因は、何があったのかというふうに、今現時点で思われてるのか、お考えをお伺いしたいと思います。

◎清水市民局市民部区行政企画担当課長 お答えいたします。

 報道等で言われているところによりますと、登録がなされた背景には、国の制度であります日雇い労働者の失業手当、いわゆる求職者給付金受給のための、いわゆる白手帳と言われてる雇用保険被保険者手帳の取得要件に、住民票の添付が必要である、そういったことも一因であったのではないかと考えております。

◆辻義隆委員 今お答えがありました、白手帳の件なんですが、ちょっと資料を見ていただきたいと思います。

 ちょっと記述に間違いがありますので、訂正をさせていただきますが、下の方の星印のところに、雇用保険適用事業所に雇用される日雇いの雇用保険被保険者ということでございますけども、あいりん労働公共職業−−業が抜けてます−−安定所の現在の発行数というのをお聞きしました。そしたら、これ、500となってると思うんですけど、5,000の間違いでございまして、5,000でございまして、先ほどの3,530を考えますと、ほとんどがこの白手帳をとるために、このビルを活用せざるを得なかったのではないかなという実情が僕はうかがい知れるところではないかなというふうに思っております。

 どうしても、やっぱり、この運転免許証もしくは住民票ということで、住所と氏名が必要だということで、この白手帳発行に際しての手続上の問題というような視点があった。

 困り果てた野宿者、労働者の方々が、区役所にすがりついて、このビルの所有者というか、運営主体の方々が申すには、区役所があっせんしていたと。区役所に行ったら、「あそこのビルに行きなさい。そしたら手続してくれるから、そこを住所にしたらいいやん」というようなお答えをいただいたというふうなこともおっしゃっておられると。これは事実でございますか。

◎清水市民局市民部区行政企画担当課長 お答えいたします。

 西成区役所の報告によりますと、そのような事実は確認できていないというふうに聞いております。

◆辻義隆委員 確認してない、できていない、微妙な発言ですよね。今のところ、できていないということでございます。

 先ほど答弁がございました。担当者も実は、昭和56年か55年ぐらいあたりから気づき出して、今の担当者の方は、たしか4年ぐらい前に気づいておったというような新聞記事が出ておりました。インタビューに答えてる部分ですけども。

 担当者も気づいておりながら、書類審査ということでございますので、受け付けざるを得なかったというふうに言われておるわけですが、実際には届け出のところに住みようがないわけですよ、3,530人が。

 こういう場合、やはり、法に基づいてしっかりと事実を確認する。職権で、違うじゃないですか、住まわれてないじゃないですかということで、是正措置がとられるものやというふうに普通は考えられるわけです。いろいろな経過があって、実際、お話、今まで聞いておりました、この白手帳がなければ生活が、やっぱり、できないと。これだけ不況下の中で、仕事がしょっちゅうあるわけではないわけで、あぶれる日が連続した場合に大変な状況になるということで、この届け出を、実際のところは、現在も生活の糧にされて生活しているという方々がたくさんおられるということでございます。

 今後、市として、どのような対応を考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

◎森田市民局市民部長 お答え申し上げます。

 住民基本台帳法に基づきまして、事実確認の上、居住実態が伴わないものであれば、住民登録は法に基づき所要の措置をとるべきものと考えております。

 ただいま、事実確認に向けました検討を進めておりますが、非常に苦慮している部分もございます。関係機関とも連携をいたしまして、慎重に対応してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◆辻義隆委員 降ってわいた話ですのでね、また人の生活、命がかかっているということでございますので、3,530人、一人一人、今から確認作業に入らなければいけない、その生活実態を把握しなければいけないと。でないと、やっぱり、法的措置というか、うかつなことは僕はできないというふうに思いますので、その辺のところ、どこが担当部署、健康福祉局もホームレス対策ということで関係するんじゃないかなというふうに思いますので、しっかりと連携をとっていただきたい。

 実は、この問題というのは、横浜の寿町でも、また東京の山谷でも同じような問題が起こっております。住民票、免許証が必要になったために、白手帳の発行数が激減をしていて、その職にまともにありつけなくて、本来ならば雇用保険をもらえる立場であっても、住所が確定しないためにということで、さまざまなハードルになってるわけでございまして、この辺の部分でも、皆さんにしっかりと課題を整理していただいて、ホームレス自立のために向けた行政側の責任者として、その課題をいかに解決していくかということを、国にもしっかり要望していかなあかんと、僕は今回のこの件について痛感をいたしました。

 その意味で、市民局の皆さんが、しっかり課題を整理していただいて、また申し入れを国にもしていく方向でもって、この難関をきっちり、ホームレスの皆様の自立につながるように、つなげていっていただきたいなというふうに要望しておきます。