165-参-財政金融委員会-9号 平成18年12月12日

 

平成十八年十二月十二日(火曜日)

   午前十時開会

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  出席者は左のとおり。

    委員長         家西  悟君

    理 事

                沓掛 哲男君  中川 雅治君   野上浩太郎君

                大久保 勉君  峰崎 直樹君

    委 員

         泉  信也君 金田 勝年君 椎名 一保君 田浦  直君  田中 直紀君

         舛添 要一君 山下 英利君 池口 修次君 尾立 源幸君  大塚 耕平君

         岡崎トミ子君 富岡由紀夫君 平野 達男君 広田  一君  前川 清成君

         円 より子君 西田 実仁君 山口那津男君 大門実紀史君

   国務大臣

       財務大臣     尾身 幸次君

       国務大臣(内閣府特命担当大臣(金融))        山本 有二君

   副大臣

       内閣府副大臣   渡辺 喜美君

       法務副大臣    水野 賢一君

   大臣政務官

       内閣府大臣政務官        田村耕太郎君

       厚生労働大臣政務官       菅原 一秀君

   事務局側

       常任委員会専門員        藤澤  進君

   政府参考人

       内閣府大臣官房審議官      堀田  繁君

       警察庁生活安全局長       竹花  豊君

       金融庁総務企画局長       三國谷勝範君

       金融庁総務企画局総括審議官   中江 公人君

       金融庁検査局長  西原 政雄君

       金融庁監督局長  佐藤 隆文君

       総務大臣官房総括審議官     久保 信保君

       総務大臣官房審議官       中田  睦君

       法務大臣官房審議官       深山 卓也君

       法務大臣官房審議官       三浦  守君

       財務大臣官房長  杉本 和行君

       文部科学大臣官房審議官     中田  徹君

       厚生労働大臣官房審議官     御園慎一郎君

       経済産業省商務情報政策局消費経済部長     谷 みどり君

   参考人

       日本銀行調査統計局長      早川 英男君

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  本日の会議に付した案件

○政府参考人の出席要求に関する件

○参考人の出席要求に関する件

○貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正す

 る法律案(内閣提出、衆議院送付)

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○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。

 本日は、公述人の皆さん、本当にありがとうございます。

 それではまず、井口、猪股そして長田、三公述人に御質問をさせてもらいたいと思います。カウンセリング、相談に関連してです。

 現在、いわゆる多重債務者というのは二百万人以上いるというふうに言われております。そのうち、実際に相談なりカウンセリングというものが受けることができるのが、先ほど井口公述人さんが御紹介いただきました宇都宮弁護士さんのお話によりますと、大体三十万人ぐらいだと。百七十万人の方がまだどこにも相談できずに多重債務に悩んでいる、こういった現状があるわけでございます。

 私自身も多重債務の皆さんの生の声を聞きますと、どこに相談していいのか最初分からなかった、もっと早く相談していればこういうことにならなかった、こういうふうな声を聞くたびに、実際、今でも相談やカウンセリングに来れない、来ることができない多重債務者であるとか多重債務者予備軍、こういう方をどうやって見付け出していけばいいのか、どのように対応すればいいのか、何か妙案があれば教えていただきたいと思います。

 

○公述人(井口鈴子君) なかなか宣伝するというのもお金が掛かるわけですし、夜明けの会に多く相談に見えるというのは、ここのところで大分テレビとか取材を受けまして、今、先ほど、被連協の会長になっている澤口さんなんかTBSの報道特集に特集で取り上げられたりして、それでメディアに取り上げてもらったので夜明けの会を知ったということで相談に見えるということが多いわけですね。だから、みんな若者の方たちはテレビの方はよく見ていますので、やっぱりテレビとかそういうメディアを使って、多重債務者はここへ相談に行きなさいというような、そういうようなものができるといいのかなと思うんです。

 

○広田一君 続けて猪股さん。

 

○団長(家西悟君) 猪股公述人にお願い申し上げます。

 

○公述人(猪股正君) 一つには、やはり相談機関を設置している側あるいは行政による相談体制についての市民向けの広報ということが重要であると思います。それから、ただ、生活に困窮している方々は例えば新聞を取っていないとか、あるいはテレビも見ていないとか、そういう方々も少なくないので、広報の仕方も工夫しなきゃいけないと思います。例えば市が配布する市民報とか、だれもが見るような媒体に相談情報を載せるということが一つ重要ではないかと思います。

 それから、例えば生活困窮者の支援に携わる民間支援団体の方々や、それから社会福祉士などの方々とのネットワーク、連携を構築して、そういう方々を通じて生活に困っている人にこういう相談窓口があるんだよということを知らせてもらうというようなことも必要ではないかと思います。

 それから、多重債務の相談窓口のほかにいろんな、例えば社会福祉とかあるいは母子の問題等にかかわる相談窓口があったりするわけですけれども、そういったところから、そこからうまく多重債務の相談窓口へつなげる、誘導すると、そういった工夫もできていったらいいのではないかというふうに思います。

 以上です。

 

○団長(家西悟君) では長田公述人、お願い申し上げます。

 

○公述人(長田悦子君) やはり今のお二方がおっしゃったことも私も同感でして、あと、やはり法律家としてこちらから相談を必要としている人のところにアプローチするということも、確かに数はわずかしか対応はできないことは承知ですけれども、実際、埼玉弁護士会さんもそうですし、私たちもホームレス相談のことも実際実施しておりまして、こちらから行ってそういう住居を失っている方に対して相談を受けますと、その六割が実は多重債務のことがもとで家を失ったということを選択している方が多いわけですね。そういうことを考えても、やはりただこまねいて待っているだけではなくて、こちらからも積極的にアプローチする方法を考えていこうというふうに思っております。

 

○広田一君 どうもありがとうございました。

 この件に関連しまして、内田公述人さんにお伺いをしたいというふうに思います。

 実際、多重債務者であるとか多重債務者予備軍の情報をやはり一番持っているのは貸金業者の皆さんではないかなというふうに思うわけでございます。これに関連して、今回法改正がなされるわけでございますけれども、法第十二条八の規定で、カウンセリング機関の紹介というものがございます。少し御紹介しますと、貸金業者は、資金需要者等の利益の保護のために必要と認められる場合には、資金需要者等に関してカウンセリング機関を紹介するよう努めなければならない、このような規定があるわけでございます。

 内田公述人さんのお話聞きますと、現在のこの世間の貸金業に対するイメージというものに対して本当に反論をされているお気持ちは十分分かるわけでございますけれども、私自身これからの貸金業の新しいイメージをつくっていくためにも、このカウンセリング機関への紹介というものが努力規定でありますけれども、まさしく業界挙げて取り組むことが一つ重要ではないかな、このように思うわけでございます。

 一方で、そういうカウンセリングをする前に業界自体が壊滅的な影響を受けるというふうな御指摘もあったわけでございますけれども、この問題についての御所見をお伺いしたいと思います。

 

○公述人(内田勇蔵君) 私は、先ほどの中で、四十数年の営業をしておるわけなんですが、私は多重債務者になってからのカウンセリングじゃなくて、今言われている、対面貸付けが大事だと言われていますね。その対面貸付けの時点で、私たちは、私自身は事業者金融が主体なんですが、やはり借りに来るときにいろいろアドバイスしながら、これだけの大金を使ってこれでどうなんですかとかいろいろ言いますね。それで駄目な人はもう駄目だと言って断ります。まあこれは私の事業の問題なんですが。

 協会では、資金需要者の、消費者からの貸金業者に対しての苦情があった場合、ただいま先生がおっしゃるように、多重債務者の最後の返済に係る問題については財団法人日本クレジットカウンセリング協会を紹介しております。それから、やみ金の対策被害についてはヤミ金対策弁護団を紹介しております。まあ、そのほかとてつもないやみ金がいた場合には県警の方に連絡を取って対処しております。

 以上です。