165-衆-財務金融委員会-10号 平成18年11月22日

 

平成十八年十一月二十二日(水曜日)

    午後一時三分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 増原 義剛君

   理事 宮下 一郎君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      井澤 京子君    伊藤信太郎君   石原 宏高君    猪口 邦子君

      江崎洋一郎君    小川 友一君   小野 晋也君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    大野 功統君   川条 志嘉君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君    関  芳弘君   土井 真樹君    中根 一幸君

      長崎幸太郎君    萩山 教嚴君   原田 憲治君    平口  洋君

      広津 素子君    松本 洋平君   小沢 鋭仁君    川内 博史君

      近藤 洋介君    鈴木 克昌君   園田 康博君    田村 謙治君

      寺田  学君    松木 謙公君   吉田  泉君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    野呂田芳成君   中村喜四郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   内閣府副大臣       渡辺 喜美君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  外山 秀行君

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

     ――――◇―――――

 

○川内委員 民主党の川内博史でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 貸金業規制法改正案について質疑をさせていただきます。

 私は、本法案の四条、五条、七条、出資法上限金利の利息制限法への引き下げ、さらにはみなし弁済規定の廃止、これらについては、法公布後即刻施行をすべきであるという立場で質問をさせていただきたいというふうに思います。それは私一人が言っていることではなく、政府の中で議論をされてきた貸金業に関する懇談会の座長としての中間整理の冒頭の部分に、「貸金業制度等のあり方を議論するに際しては、多重債務者の発生や増大をいかに防止するかという観点が重要であるとの認識を共有した。」と、この懇談会のメンバー全員が発生、増大を防止する観点が重要であるという認識を共有しているというふうに書いてございます。

 本法案は発生、増大を果たして防止し得るのかというと、私は、発生、増大を防止し得ない、金利規制あるいはみなし弁済規定が廃止をされるまでは、相変わらず今後も多重債務者が発生するということを許すという点において、不十分な法案であるということを論証していきたいというふうに思います。

 それではまず、ことし三月に発表された独立行政法人国民生活センターの「多重債務問題の現状と対応に関する調査研究」、このレポートでございますが、本日は、内閣府の国民生活局が所管をされていらっしゃるということでいらしていただいております。このレポートの内容は大変すばらしいというふうに私は思いますが、このレポートの中の冒頭の部分に、多重債務者の置かれた深刻な状況について述べられております。

 よく、多重債務が原因で自殺をされた、自殺に追い込まれたという方々の人数についてはマスコミでも報道をされるわけでございますが、自殺をされる方だけではなく、夜逃げをされる方々もたくさんいらっしゃるということでございます。この自殺とか夜逃げ、あるいはホームレスといったような状況がこのレポートの中に記されておりますので、多分、山本大臣は読んでいらっしゃらないと思うので、国民生活局の方からまず、現在の多重債務者が置かれた現状について御説明をいただきたいと思います。

 

○堀田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の報告書の該当箇所を少し引用させていただきます。

 報告書では、警察庁発表の数値として、失業や事業の失敗、多額の債務など経済生活問題を理由としたと見られる自殺者は、一九九〇年には千二百七十二人だったものが年々増加し続け、二〇〇三年には八千八百九十七人となったことを紹介しております。また、家出に関してでございますけれども、これも、警察庁のまとめでは、一年間に全国の警察が捜索願を受理した家出人は、一九九五年が八万三十人であったものが、年々増加し、一九九八年には八万九千三百八十八人、二〇〇三年には十万一千八百五十五人に達していることも紹介しております。

 それで、これを原因、動機別に見ますと、一九九八年には、八万九千三百八十八人中一万千四百十五人が借金問題を含む事業関係であり、二〇〇三年も一四%が事業関係とのことであるということを引用しております。

 

○川内委員 自殺をされる方だけではなく、人数としては大変な数の方々が夜逃げあるいは一家離散、家庭崩壊などの大変苦しい立場に追い込まれていらっしゃるということでございます。

 それで、このレポートの中には、そうした多重債務者が置かれた状況について、「極めて深刻である。」と。「極めて深刻である。このような状況を解消するための必要な施策を行うことは急務である。」、急務であると書いてあります。

 本改正案は、この多重債務者の置かれた極めて深刻な状況を解消するための必要な施策について、十分な施策を講じている法案なのか。まず、この法案全体に対する御評価を大臣にお述べいただきたいというふうに思います。

 

○山本国務大臣 政策目的に極めて合致した、よい法案であるというように考えております。

 

○川内委員 政策目的とは何ですか。

 

○山本国務大臣 多重債務者を将来発生させないということとともに、健全な貸金業のマーケットを回復するという意味です。

 

○川内委員 多重債務者を将来発生させないというふうに大臣は正直におっしゃられました。現在多重債務に陥っている方々、あるいは今後この法が本格施行されるであろう三年の間に発生する多重債務者に関しては、この法は発生の防止にはつながらないということを正直にお答えになられたものと思いますが、いいですか。