165-衆-厚生労働委員会-4号 平成18年11月01日
平成十八年十一月一日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 櫻田 義孝君
理事 伊藤信太郎君 理事 大村 秀章君
理事 鴨下 一郎君 理事 宮澤 洋一君
理事 三井 辨雄君 理事 山井 和則君
理事 福島 豊君
新井 悦二君 井上 信治君 石崎 岳君 川条 志嘉君
木原 誠二君 木村 義雄君 岸田 文雄君 清水鴻一郎君
菅原 一秀君 杉村 太蔵君 鈴木 淳司君 高木 毅君
高鳥 修一君 戸井田とおる君 冨岡 勉君 西川 京子君
林 潤君 原田 令嗣君 平口 洋君 福岡 資麿君
馬渡 龍治君 松野 博一君 松本 純君 松本 洋平君
御法川信英君 内山 晃君 大島 敦君 岡本 充功君
菊田真紀子君 郡 和子君 末松 義規君 園田 康博君
田名部匡代君 筒井 信隆君 細川 律夫君 柚木 道義君
坂口 力君 古屋 範子君 高橋千鶴子君 阿部 知子君
糸川 正晃君
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厚生労働大臣 柳澤 伯夫君
総務副大臣 大野 松茂君
厚生労働副大臣 石田 祝稔君
厚生労働大臣政務官 菅原 一秀君
厚生労働大臣政務官 松野 博一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山浦 耕志君
(内閣官房内閣参事官) 伊奈川秀和君
(外務省領事局長) 谷崎 泰明君
(財務省大臣官房参事官) 森川 卓也君
(文部科学省大臣官房総括審議官) 金森 越哉君
(文部科学省大臣官房審議官) 藤木 完治君
(文部科学省科学技術・学術政策局次長) 袴着 実君
(厚生労働省大臣官房技術総括審議官) 西山 正徳君
(厚生労働省医政局長) 松谷有希雄君
(厚生労働省健康局長) 外口 崇君
(厚生労働省医薬食品局長) 高橋 直人君
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 藤崎 清道君
(厚生労働省労働基準局長) 青木 豊君
(厚生労働省社会・援護局長) 中村 秀一君
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 中谷比呂樹君
(厚生労働省保険局長) 水田 邦雄君
(経済産業省大臣官房総括審議官) 安達 健祐君
厚生労働委員会専門員 榊原 志俊君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第七六号)
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○鴨下委員 新たなサーベイランスがどういう形で作動するか、だれかがどこかで緊張感を持って見詰め続ける、こういうようなことが重要でありますので、健康局は主体的にその任を担っていただきたいというふうに思います。
続きまして、感染症法の改正において、結核予防法を廃止して感染症法に統合する、こういうようなことに相なったわけであります。
私は、個人的な経験では、医者になりたてのころに結核病棟で働いていたことがあるものですから、結核予防法というのにある種のノスタルジーを感じているわけで、先ほど、一つの疾患について法律として定めると偏見が起こる、こういうことがあるということで感染症法の中に包含する、こういうようなことのようでありますけれども、他方、結核というのはいまだに新規罹患する人たちも多いわけでありますし、特に高齢者がふえてくる段階においては、多分結核はまだまだ、それこそ無視のできるような疾患ではないんだろうと思っておりますので、ぜひ、そういう観点からこの対策が後退にならないように、こういうようなことを強く思うわけであります。
ただ、例えば結核予防法の三十五条の強制的な命令入所についても、今まで、同居人がいることが条件になっているとか、こういうようなこともあって多少不都合があったんだろうというふうに思いますので、こういう問題についてぜひ後退をしないで、なおかつ、いわば結核予防法において足らざる部分を補う、こういうようなことになっているのかどうかということについて、見解をお聞きしたいと思います。
○外口政府参考人 結核についてでございますけれども、これは、年々減少傾向にあるとはいえ、平成十七年においても二万八千人余の新規登録患者が発生するなど、引き続き我が国においては大変重要な感染症であります。私も、卒業したてのころには結核病棟で研修を受けましたので、思い入れは持っております。
それで、今回の結核予防法についてでございますけれども、御指摘の、同居者のいない者というと、これはホームレスの方とか独居老人等の方になりますけれども、こういった方に対しては、結核療養所への入院命令が法律上は実施できないということになっております。ただ、現場では必要な対応は行っていたようでありますけれども、法律上明文化されていないものについて現場での対応をするということになると、それはそれなりの問題もありますので、これはやはりきっちりと法律で位置づけて必要な対応をとることが必要だと考えております。
また、今までの結核予防法では、入院勧告が設けられていないなど、ほかの感染症と比較しても人権上の手続が十分でないということがありましたので、これに対しては改善されます。
それから、ほかの感染症と違って、結核対策にとって大事な定期健診や定期外健診や通院医療とか、それから、特に最近大きな成果を上げている直接服薬確認療法、これは実際に患者さんの目の前で服薬することを確認するということを続けるわけでございますけれども、これが、特にホームレスの方とか独居のお年寄りの方とか、こういった方にとっては大変有効でございます。こういうことは引き続き関係規定を設けてまいります。
また、動物の輸入に関する措置でございますけれども、例えば、結核は、動物でいえばサルにうつります。例えば動物園で、サルが人間からうつって、それをまた人にうつすということも考えられますし、そういったこともありまして、動物の輸入に関する措置などについても、従来の結核予防法にない措置ではありますが、これが行えるようになるわけでございます。
いずれにいたしましても、結核については、これは大変重要な疾患でありますので、感染症法と統合した後におきましても、さまざまな対策をとりながら一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
○鴨下委員 それに関連する話でありますけれども、労働安全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討会において、胸部エックス線検査を行う対象を原則四十歳以上とする、こういうような報告がまとめられたと聞いているわけでありますけれども、この報告書の結論である胸部エックス線検査の見直しというようなことを行った結果、これは、例えて言えば四十歳にする論理的な根拠については、私は多少疑問の部分があるんです。例えば肺がんだとか肺結核、肋膜炎、肺炎、こういうことも四十歳に満たない人たちにだって発生するわけでありますし、そういうようなことにおいて、胸部エックス線を見直そうということの趣旨、内容について御見解をいただきたいというふうに思います。
○青木政府参考人 労働安全衛生法における健康診断に関してでございますが、これは昨年四月一日に施行されました結核予防法の改正によりまして、それまで事業者に対して義務づけられておりました年一回の定期健康診断について、二次感染を引き起こす危険性が高い学校あるいは病院、そういった一部の施設を除きまして、結核の早期発見対策としての一律的、集団的な定期健診は行わないというふうにされました。
これを受けまして、労働安全衛生法における胸部エックス線検査の意義でありますとか対象について検討を行うということで、今委員お触れになりました、労働安全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討会というものを開催いたしまして、今年の八月に報告書が取りまとめられました。
その過程においてはさまざまな意見が出ましたけれども、結論としましては、例えばということでお触れになりましたけれども、受動喫煙等の職場環境が関与する肺がんとか結核、そういった呼吸器疾患なども中高年の発症頻度が高いということで、四十歳以上の労働者に、呼吸器疾患等の一般的なスクリーニング検査として胸部エックス線検査を実施するという結論がなされましたし、また、四十歳未満につきましても、医師の判断により省略可能とするということと同時に、雇い入れ時健診の後、五歳ごとの節目健診を行うということが適当だという結論がなされました。
こうした内容は、加齢に伴う呼吸器疾患や循環器疾患等の有病率の増加等の医学的データに基づき取りまとめられたものでありますけれども、さまざまな意見も出された結論ではありますが、さらに調査研究を行って、科学データを収集した上で見直しを実施したいというふうに思っております。
○鴨下委員 ぜひ、漏れのないようにうまいぐあいに制度を設計していただきたいと思いますし、確かに、胸のレントゲンをやることのデメリットあるいはやったことのメリット、こういうような意味でのさまざまなメリット、デメリットを勘案していただいて、ぜひきちんとした形で機能するようにしていただきたいと思います。
この結核のことにつきましては、大臣にお伺いをいたしますが、現在でも約三万人ぐらいの方々が年間に罹患するわけでありますし、東アジア諸国においてはまだまだ極めて重要な疾患であります。これから日本の方々も観光で出ていったり、外国人の方も日本にたくさんおいでになる、こういうような状況の中で、やはり結核対策というのは、ある意味で重要な政策の一つだろうというふうに思いますので、大臣の決意を伺いたいと思います。
○柳澤国務大臣 私は、もちろん若いころというか子供のころ、野球の選手なんぞをやって非常に華々しく地域の青年リーダーとしてやっていた人が、突如結核に倒れて若い命を失っていく、非常に悔しい表情をしながら、言動をとりながらというような話も随分耳にいたしました。
そういう経験からしますと、その後、最近においては結核でそういう話というのは聞かなくなりましたから、結核というのも、日本で大体これで放逐できたのかというような気持ちでおりましたところ、三、四年前ぐらいからでしょうか、メディアを通じて、高齢者を中心として意外に結核を発症する人が実は最近多くなっているんだ、こういう報道に接しまして、本当に、これまでの誤った考え方というものを改めたというようなことがございました。
そういうことで、今回、結核予防法が一般法としての感染症の予防法の中に繰り込まれるわけでございますけれども、今、健康局長なぞからるる御説明申し上げましたように、従来の結核予防法にあった法律というのは、丁寧に、ほかの感染症と関係のないところまでちゃんと引っ越しをして、新しい規定の中に繰り込めている、こういうことが一つございますし、また、最近のいろいろな知見とかそういうものに基づいて、ここに対策を打つべきだ、先ほどホームレスの話なぞもございましたし、先ほどは話がなかったかと思いますけれども薬剤耐性結核菌の出現等も最近非常に大きくクローズアップされておりますが、そういったような、新たな、従来になかったところにも手当てをした、そういう規定を置いているわけでございます。
そういうようなことでございますので、今回の法改正による諸措置を活用しながら、今後とも結核対策の一層の推進に努めてまいりたい、このように考えている次第です。
○郡委員 今、先進的な取り組みをされている自治体があるということを一部御紹介いただいたわけですけれども、これは結核対策特別促進事業に各自治体が手を挙げてやられていたり、あるいはそれぞれの自治体が独自予算で行っているものでありましょう。
私、先ほどちょっと申し上げました、国が、結核の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針ということで各自治体にお示しになっているものを、大変いいことが書かれているんですね。「結核の高まん延地域を管轄する市町村は、その実情に即して当該地域において結核の発症率が高い住民層(例えば、住所不定者、職場での健康管理が十分とはいえない労働者、海外の高まん延地域からの入国者等が想定される。)に対する定期の健康診断その他の結核対策を総合的に講ずる必要がある。」こういうふうに言っているわけですけれども、各自治体が手を挙げるのを漫然と待って、そこに任せるというだけでは済まない状況なんじゃないかと思うんです。
ぜひ、国として、厚労省として、しっかりとした対策を各自治体の方に、それこそ指導的な立場でやるのがこの結核対策であろうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○石田副大臣 今いろいろと御提示もいただきましたけれども、外国人初めホームレスの方などの社会的弱者の方は結核の罹患率が高い、また、その治療を開始した場合にも、それを中断するというリスクも高いと考えられておりまして、いわゆるDOTS、直接服薬確認療法、こういうことを推進していくことが重要だと思っております。
そして、この中で、具体的には、そういう方々にDOTSをやってまいりますけれども、こうしたさまざまな結核対策を実施するために、先ほどお話もあったかと思いますが、結核対策特別促進事業、こういう形で、それぞれの都道府県等でぜひやっていただこうということで進めておりまして、予算についてもしっかりと取り組んでいる、こういうことでございますから、よろしく御理解いただきたいと思います。
○郡委員 ですから、今、しっかりと予算についてもというふうにお答えでしたけれども、これは各自治体が独自に頑張ってつけているところがあるわけで、国としてはそこに対しての対策というのは不十分であるということを指摘させていただいているわけです。
そして、先ほど申し上げました指針に基づいて各都道府県は基本計画を策定することとなっておりますが、それでは、各自治体の基本計画策定状況について、どの程度実態を把握なさっていますでしょうか。
○外口政府参考人 計画は、すべての自治体で、四十七都道府県で策定しております。
○郡委員 であるならば、その計画に基づいてそれぞれの自治体が、手挙げの事業ではなくて、国としてもそこに十分な財政措置を講じるように努力をしていくべきではないかと思います。国としてのこれも危機管理の部分にも入ってくるような、そういう問題になるんだろうというふうに思っていますので、それも指摘させていただきたいと思います。
それから、次の資料三をめくっていただきたいんですが、ここは、三十歳から五十九歳の男性で無職あるいは生活保護を受けている結核患者の数とパーセンテージをあらわしたものでございますけれども、いろいろと指摘をされているように、ホームレスの方あるいは低所得者層にこの結核という病気が多いということであります。特に、大阪市の場合でありますと、実に二二・三%にも達しております。
こういうような方々というのは、保健所やまたあるいは地域の診療所などに足を運ぶ機会というのが本当にあるのかどうか、大変疑わしいところですし、事実、そういうふうにできない状況があろうと思います。こういう患者に対して、保健師やらあるいは福祉事務所などが連携して、巡回し、あるいは訪問して服薬指導を行ったり薬の確認をするなど、そういうような手だてを講じなければ、これは大変なことになるんじゃないかと思います。
社会的弱者に対する日本版のDOTS、これはより強力に展開すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
○外口政府参考人 日本の結核はだんだん減ってきてはおりますけれども、やはり課題は、昔結核になられた方が一たん治って、また高齢者になって再燃してきた場合、これは薬剤耐性の問題も絡むわけでございますけれども、その場合と、先生、先ほど御指摘いただきました外国人の方あるいはホームレスの方に、どうやって結核と診断し、それからその後、長期にわたってきっちり薬を飲んでもらわないといけませんので、そこを確認していくかということでございまして、その点で、これは地域地域ごとにそれぞれ工夫があるわけでございますけれども、DOTSの推進ということは大事な対策の柱ではないかと考えております。
○郡委員 午前中の審議でも出てまいりましたけれども、こういう方々に対する治療の継続等がなされないと、多剤耐性菌ということになって大変治療が困難になりますし、また、それが広く感染するということになりますと、これまた大変なことになります。ぜひそのところをしっかりと御認識いただきたいと思います。
先日、十月の二十八日、NHKのニュースでございました、国内で使っている薬を全部使ってもなお治らないという超多剤耐性結核症例、これが十七例も報告をされているということであります。ことしの三月には、WHOの発表で、アメリカの結核患者十六万九千六百五十四人のうち、一・六%の方が複数の抗生物質に抵抗性があって、〇・〇四%の方がほとんど抗生物質が効かなくなったということでありまして、これは、この超多剤耐性菌に侵された場合には死と直結するということでありますから、その辺のところも踏まえた上で、DOTSの強化というのを、特にこういう弱者に対しての強化をしていただきたいというふうに思います。
ところで、先ほど、宮下厚生大臣の名前で出されました結核緊急事態宣言の中で、各種施策や結核特別対策促進事業や専門医療体制を充実していくということで、六つの対策が上げられておりました。その中で、研究機関や学会に対して、「診断、治療等に関する研究と研修のより一層の推進を図っていただきたい」というふうにあったわけでありますけれども、この点についてお尋ねしたいと思います。
まず、この宣言以降、国としてこの研究開発支援や予算というのは強化されたのでしょうか。そして、その支援の中身と具体的な成果についてお尋ねいたします。
○外口政府参考人 御指摘の結核緊急事態の宣言、これは平成十一年に出たものでありますけれども、これは、当時、結核の罹患率が人口十万人対三十三・七から、次の年が三十三・九、その次が三十四・八と、二年連続で上昇に転じたために、緊急事態宣言をしたものであります。この宣言の中で、御指摘のように、結核の診断、治療等に関する研究と研修のより一層の推進を図るようということが記載されております。
このため、厚生労働省におきましては、厚生労働科学研究費補助金におきまして、結核の予防、診断、治療に関する研究開発に対する研究補助を行っております。
その実績ですけれども、予算額で申し上げれば、平成九年が四千二百万、平成十年が九千二百万でありましたが、近年は、平成十七年が一億三千万、平成十八年が一億四千四百万と増額の傾向にあり、必要な予算の確保に努めているところであります。
それから、実績でございますけれども、研究成果、まだ実用化までは距離がありますが、新たな結核治療ワクチンの開発研究などの成果も上がりつつあるところでございます。
○高橋委員 今の局長の、必要なことは取り組むということはまず確認をさせていただきたいと思います。
その上で、続けますが、日本で結核が減少したのは一九八〇年ごろまでで、それ以降、改善は減速をし、九〇年代後半には逆転上昇が三年も続きました。九九年に結核緊急事態宣言が出されたのも、そのためだったかと思います。その後、もちろん減少に転じておりますが、まだ横ばいという状況であります。〇五年の新登録患者は二万八千三百十九人、そのうち、感染源として重視すべき塗抹陽性肺結核一万千三百十八人、結核による死者が二千二百九十五人、感染率は人口十万人当たり二十二・二人であり、スウェーデンの四・八倍、米国の四・五倍で、先進国の中ではやはり最も高い。WHOでは、中蔓延国とみなされているところであります。
そこで、諸外国と比べてなぜ日本は改善がされないのだろうか、まだ依然としてこれだけ新規があるというのはなぜなんだろうか、その原因をどこにあると思うのか、考えを伺いたいと思います。
○外口政府参考人 欧米の結核対策の先進国と比べて、なぜ日本がまだ中程度のレベルにとどまっているかという原因について、これは専門家の間でもいろいろ分析をされております。
幾つか考え方がございまして、一つの考え方としては、欧米で産業化、都市化が起きた時期と、それから日本で産業化、都市化が起きた時期の間のタイムラグがそのまま影響して少しずれているという影響があること、これが一つ。
それからもう一つ、これは我が国の結核の罹患率が高い理由として、最近の急速な高齢化の影響を受けて、今高齢化で七十代、八十代になっておられるお年寄りが、ちょうど結核の蔓延が著しかった時期に一度感染をして、それがまた再燃をしてきている、そういった年齢の影響というものも専門家の分析としてあるわけでございます。
加えまして、最近の都市化、それから、先ほども御質問いただきました外国人の問題ですとか、それから独居のお年寄りとかホームレスの問題とか、そういった地域、地域の問題、そういったものがいろいろ組み合わさって、まだぐっと減っていくというところまでは行っていない、そのように考えております。
○高橋委員 欧米と比べて産業化の時期にタイムラグがあるという指摘と、それから現在の状況、外国人だとか独居が多いという問題をお話しされたと思うのですが、この点については、研究をしっかりと続けていただくということは、まず一つ要望しておきたいと思うのです。
それと、よく、戦後の経済成長の中で、欧米よりはちょっとおくれて日本が成長してきた、その時期に保菌をした方が高齢者になってから出てきたということが一般的に言われるわけですよね。ただ、もしそれが原因であれば、一定期間がたつと終息に向かうだろう、だけれども、そうではない、まだまだ可能性があるということを、まずちょっと確認させてください。
○外口政府参考人 ある程度まではそういったトレンドの中で減っていくと思いますけれども、それから先については、やはりきめ細かい対策をしなければ減っていかないと思っていますので、それは御指摘のとおりだと思います。
○高橋委員 そうすると、先ほどの質問に戻るので、ここは要望にとどめますけれども、やはり結核という名前がとれたことによって予防がおろそかにならないようにということを、これは重ねて要望しておきたいと思っております。
そこで、結核予防法を感染症法に統合することによって、入院期間延長は三十日まで特例で限定をするわけですが、一、二類感染症の応急入院は七十二時間、協議会の議を経て十日以内の延長、結核については慢性感染症であるので三十日ということになっているんですが、これが妥当かどうかということがございます。
例えば、結核の平均在院日数は今は八十二日くらい。人権上、もちろん強制入院期間が長いことは好ましくありません。ただ、実際、三年以上登録されている患者が八千九百七十六人いて、また、かつ二年以上入院をしている方が三百九人ということで、長期の入院というのはやはりまだ現実としてあるわけですね。これが追い出しに結果としてならないのかという不安がございます。あるいは、低所得者が利用を中断して逆に重症化になって悪循環になるのじゃないか、そういうこともあるわけですよね。この点についてはいかがでしょうか。
○外口政府参考人 入院の必要性につきましては、これは医療上、例えば排菌が続いているかどうかとか、それから薬剤耐性があるかどうかとか、そういった医療上の必要によって入院が続くわけでございますので、これは制度は制度として、できるだけ人権上不要な入院を無理に患者さんにさせないように、そういった制度があって日数とかいろいろな仕組みがあるわけでございますけれども、そういったことがうまく両立するように、これはよく運用していきたいと思っています。
○高橋委員 かといって、機械的にはできませんよね。リハビリじゃありませんけれども、三十日でかちっとというわけにはいかない。そこら辺はうまく対応していただけるのでしょうか。
○外口政府参考人 法律の運用と、それからあくまでも医学的な必要性、そういったことをよく踏まえて対応していきたいと思っています。
○外口政府参考人 DOTSについては、これはこれから大変重要な施策になっていくと思います。それについて、それぞれの地域によって恐らくその対象となる方々が異なると思いますし、それから、場所によってはさらに、その対象となる方々も単一のグループではなくて、幾つかのグループが混在しているというようなものに対しては、かなりきめ細かい対応をしていかなければいけない場合もあると思います。
そういったことに対しまして、それぞれの地域で保健所を中心にして、そこで工夫をしながら、ある程度リソースは限られているということはあるかもしれませんけれども、できる限り結核対策を推進するという立場で頑張っていただきたいと思いますし、私どもとしても、そういったことについて、いろいろな先進例とかをこちらの方で集めて紹介したりとか、そういった工夫もしながら進めていきたいと思っています。
○高橋委員 まず、限られているというお話がちょっとあったと思うんですね。人、保健所、そして予算という問題がやはりあるのかなと指摘をさせていただきたいと思います。
二月に結核予防全国大会が開かれました。結核予防会のこのパンフに詳しく様子が載っておりまして、非常に私も興味深く読ませていただきました。厚労省の担当課長も出席をしております。例えば、山形の村山保健所長の報告などを見ますと、山形県では八十歳以上の新登録者数が三割を超えている、結核と診断されてから一月で、死亡率は一五%にもなる。本来、もう治せる病気になった結核でありますけれども、やはりそれが手おくれになっている。治せる段階での早期発見、早期治療が重要だという指摘がされておりますが、非常に大事ではないかと思うんです。
また一方、昼間の人口が総人口の二・六倍であり、外国人の登録数が都内最大、ホームレスが非常に多い新宿でのホームレスの結核患者に焦点を絞った対策も報告をされて、これも興味深く読みました。特に、さっき私が質問をした看護師の増員をしている、そしてネットワークをつくっているという点で、やはり現場は、外口局長おっしゃるように、工夫もし、いろいろな取り組みをしているということはうかがえるのかなと思うんです。
ただ、その割に、では予算はどうでしょうか。資料の三を見てください。結核対策特別促進事業内示額一覧ということで、これはDOTSだけではなくて、さっき言った予防なども入っているんですけれども、その七割がDOTSの対策になっているということを伺っています。そうすると、国庫補助要求額が二億四千三百五十九万、全国のトータルで。それに対して、一億二千九百八十一万、半分しか採択をされていないんですよ。さっき、手挙げという話もあったんですが、手挙げしても半分しかくれないわけですよ。それだったら、自治体がもう詰まっちゃうのは当たり前なんです。
その後めくっていただくと、さっき紹介した頑張っている新宿が要求額の三分の一しか、頑張ったってどうするのというところが出てくるわけです。大田区では五分の一とか、そういう大変な配分になっている。これではやはり必要な対策はとれないのではないかということで、少なくとも自治体がこれだけはやるよと計画を組んで求めたものに対して、確保するというのが必要かと思いますけれども、いかがですか。
○外口政府参考人 それぞれの自治体では、国庫補助あるいは国庫補助以外の自治体の単独の予算を組み合わせて必要な対応を行っていると思います。予算につきましては、これは結核対策だけではないんですけれども、いろいろ制限はありますけれども、必要な予算は確保していきたい、努力していきたいと思っております。