165-参-予算委員会-3号 平成18年10月13日

 

平成十八年十月十三日(金曜日)

   午前九時開会

 

  出席者は左のとおり。

    委員長         尾辻 秀久君

    理 事

       愛知 治郎君  金田 勝年君  坂本由紀子君   中島 啓雄君

       吉村剛太郎君  小林 正夫君  佐藤 雄平君   芝  博一君

       澤  雄二君

    委 員

       岩城 光英君  小野 清子君  大仁田 厚君   大野つや子君

       太田 豊秋君  加納 時男君  佐藤 昭郎君   常田 享詳君

       中川 雅治君  中川 義雄君  南野知惠子君   松村 祥史君

       松村 龍二君  三浦 一水君  山下 英利君   山本 一太君

       足立 信也君  池口 修次君  喜納 昌吉君   島田智哉子君

       下田 敦子君  主濱  了君  白  眞勲君   広田  一君

       福山 哲郎君  藤末 健三君  前川 清成君   峰崎 直樹君

       蓮   舫君  魚住裕一郎君  山本  保君   鰐淵 洋子君

       市田 忠義君  大門実紀史君  福島みずほ君

   国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       総務大臣     菅  義偉君

       法務大臣     長勢 甚遠君

       外務大臣     麻生 太郎君

       財務大臣     尾身 幸次君

       文部科学大臣   伊吹 文明君

       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君

       農林水産大臣   松岡 利勝君

       経済産業大臣   甘利  明君

       国土交通大臣   冬柴 鐵三君

       環境大臣     若林 正俊君

       内閣官房長官) 塩崎 恭久君

       (国家公安委員会委員長)(内閣府特命担当大臣(防災)) 溝手 顕正君

       (防衛庁長官)  久間 章生君

      (内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、科学技術政策、イノベーション、       少子化・男女共同参画、食品安全))      高市 早苗君

       (内閣府特命担当大臣(金融))    山本 有二君

       (内閣府特命担当大臣(経済財政政策))    大田 弘子君

       (内閣府特命担当大臣(規制改革))      佐田玄一郎君

   内閣官房副長官

       内閣官房副長官  鈴木 政二君

   副大臣

       法務副大臣    水野 賢一君

       外務副大臣    浅野 勝人君

       財務副大臣    富田 茂之君

       文部科学副大臣  池坊 保子君

       厚生労働副大臣  石田 祝稔君

       農林水産副大臣  国井 正幸君

   大臣政務官

       内閣府大臣政務官        田村耕太郎君

       法務大臣政務官  奥野 信亮君

       文部科学大臣政務官       水落 敏栄君

       厚生労働大臣政務官       菅原 一秀君

       農林水産大臣政務官       永岡 桂子君

       経済産業大臣政務官       高木美智代君

       国土交通大臣政務官       藤野 公孝君

       環境大臣政務官  北川 知克君

   政府特別補佐人

       人事院総裁    谷  公士君

       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君

   事務局側

       常任委員会専門員        村松  帝君

   政府参考人

       内閣府国民生活局長       西  達男君

       法務省刑事局長  小津 博司君

       外務大臣官房審議官       西  正典君

       外務省国際法局長        小松 一郎君

       厚生労働省職業安定局長     高橋  満君

       厚生労働省政策統括官      金子 順一君

       国土交通省総合政策局長     宿利 正史君

       国土交通省河川局長       門松  武君

       国土交通省自動車交通局長    岩崎 貞二君

       環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長    由田 秀人君

    ─────────────

  本日の会議に付した案件

○予算の執行状況に関する調査

    ─────────────

 

○市田忠義君 もう数字が明確だと思うんですね。

 非正規労働者というのは今千六百万人、そのうちの八割が年収百五十万以下なんですよ。しかも、不安定な働き方を強いられている人のほとんどは、今も話があったように、正社員で働きたいという希望を持っている。ところが、その希望がなかなかかなえられないと。

 どうしてかと。原因は雇う側にあります。働き方の多様性じゃないんです。みんな正社員にできればなりたい。安い給料で必要なときだけ雇って、昇給も昇格もない、いつ首切っても平気だと。企業にとってこれほど使い勝手のいい労働者はいない。自動車や電機など日本を代表するような企業でも、実際に工場で働いている人というのは正社員は少なくて、派遣だとか請負だとか契約社員入り乱れて働いているというのが現状であります。

 総理に改めてお聞きしますが、派遣や請負で大企業の工場に送り込まれている労働者がどんな働き方をさせられているか、知っておられる範囲で結構ですから、お答えください。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳細については厚生労働大臣からお答えをいたしますが、いわゆる大企業のこれは製造業の現場についてのお話なんだろうと思います。もちろん、製造業の現場では、その大企業の正社員の方々も働いておられると思います。それと同時に請負の方々が、言わば、まあいわゆる協力会社的な立場で働いていると思います。その中で、近年いわゆる偽装の請負の問題が指摘されたところでございます。

 

○市田忠義君 私は現実をもっと直視していただきたいと。NHKのワーキングプアをごらんになったんだったら、どういうあれを見て感想を持ったかというのを自分の言葉で語っていただきたかったというふうに思うんですけれども。

 あれは派遣や請負で働く人々に共通する姿であって、例外じゃないんですよ。例えば、神奈川県内の自動車メーカーで派遣労働者として働いている人、時給は千二百円、工場のラインで塗装の傷やほこりを点検する仕事、昼間は八時から十七時まで、夜は二十時から翌朝の五時までの勤務が一週間置きに組まれる。時差ぼけから疲れが取れない日々が続いたと。仕事が遅い人は容赦なく首です。月収は二十万円。何か一見高いように見えるけれども、派遣会社が管理している三LDKの寮に三人で共同生活です。給与から寮費が五万円引かれる。布団代、共同使用の洗濯機、冷蔵庫、テレビの利用料で一万円引かれる。水道光熱費で一万円引かれる。そして、所得税や社会保険料引かれると、手取りはわずか十万円です。ある日、四十度の熱で寝込んだら、派遣会社からマスクをしてでも仕事に行けと、そう言われたと。ついに倒れたら、もうおまえは要らないと、寮から出ていけと。新たにアパートを借りるお金もなくて、この人はホームレスになったと。日本を代表する大企業の生産現場でこういう働かせ方が広がっている。総理は異常と思われませんか。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、もちろん労働基準法に違反する働き方をさせているのであれば、直ちにそれは法の執行をしなければならないと、このように思うわけでありますが、いずれにいたしましても、いわゆるワーキングプアと言われる人たちを前提に言わばコストあるいは生産の現状が確立されているのであれば、それはもう大変な問題であろうと、このように思います。

 言わば非正規の方々も正規への常にチャレンジができるという状況をつくっていくことにおいて、企業も積極的に向かい合うことによって、むしろ長期的、中長期的には企業の私は基本的に信頼感は高まり、また基本的には活力も高まっていくのではないかと思います。

 

○市田忠義君 こういう事態を異常と思わないかと聞いたのに、どう認識されているんですか。異常と思うんですか。いかがですか。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今おっしゃったような例が特定の企業で続発をしているということであれば、それは異常だと思います。

 

○市田忠義君 私が今紹介したのは極端な例じゃないんです。氷山の一角なんですよ。だから社会問題化しているんですよ。そういう認識では、私は、今の実態、改善できないと思うんです。

 こういう働かせ方を可能にしているのが派遣や請負そして偽装請負です。我が党は、この間、偽装請負問題でこの予算委員会を始めいろんな委員会でも繰り返して追及してきました。今月三日、ついに大阪労働局が派遣会社を偽装請負で行政処分しました。何が問題で、だれを処分しましたか。

 

○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま御指摘の大阪労働局による処分の対象会社につきましては、労働者派遣法に違反する請負を継続していたこと、労働者派遣法第五十条に基づく報告徴求に対して正しくない報告を寄せていたこと、平成十七年六月に既に業務改善命令を発出していたにもかかわらず遵法体制が十分確立されていなかったこと、こういうことが明らかになりました。このため、本年十月三日、大阪労働局長は、この企業に対しまして、企業の姫路営業所については一か月間、その他の事業所については二週間の事業停止、これは新規の契約を排除するというものでございますが、そういうことを命ずるとともに、請負事業の総点検と是正、違法な労働者派遣の再発防止措置、遵法体制の整備等を内容とする事業運営の改善命令を発出したところでございます。