165-衆-予算委員会-3号 平成18年10月06日
平成十八年十月六日(金曜日)
午前九時開議
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
予算の実施状況に関する件
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○枝野委員 これは現に、その多重債務のためにみずから命を絶つ、これはきょうは追及しませんけれども、生命保険をサラ金の側が掛けさせて、そして、自殺でもしてくれたらそこで金が入ってくるわなと受けとめられても仕方がない仕組みの中で、命を担保にして貸しているみたいな話もたくさん報道されています。まさに国民一人一人の、特に厳しい状況にある人たちの命にかかわる問題です。これは、三年間は自殺者が出ても仕方がないという政治は、私は政治のあり方として間違っていると思う。一日も早くこれを防ぐということのためにできることをどうするのかと考えるのが私は政治だと思う。
簡単な話で、現行法でも利息制限法を超えたものは違法なんですから、利息制限法を超えたものは、今すぐにでも、本当は貸していちゃいけないはずなんですから、今、サラ金業者は、刑罰がないんだから違法だけれどもやってもいいやといってやってきている話ですから、あしたからやめさせたとしても全然問題はない話である。あしたからでもやめさせるべき法案を我々としては今準備をしておりますので、対案としてお示しをしたい、提出をしたいと思います。ぜひ、国民の皆さん、どちらが正しいのか。お金を借りていらっしゃらない方にとってもこれは大事な話なんです。
なぜかというと、多重債務で返せない人がたくさんいる、自己破産をする人がたくさんいる、その分は貸し倒れになるんです。その分の金利を、ちゃんと返している人たちが支払っているんです。金利というのはそういう世界です。つまり、多重債務で自己破産する人がたくさんいるような貸し方をしているということは、ちゃんとまじめに払っている人は、今度は逆にその人の分までたくさん金利を払わされているという問題なのであって、皆さんにかかわる問題だということをぜひ御理解いただければというふうに思います。
次に、さらに厳しい皆さんのお話をさせていただきたいと思います。
障害者自立支援法の話をしたいと思うんですが、その前に、総理、ビッグイシュー、私一つサンプルを持ってきていますが、御存じでしょうか、こういう雑誌を。
○安倍内閣総理大臣 いわゆるホームレスと言われる人たちのみが売ることができる雑誌ではないかと思います。たまたま私も、数寄屋橋で演説をしたときに、それを売っている人から話しかけられたことがございます。
○枝野委員 これは、報道、あるいは私にこれを教えてくださった方によると、九〇年代初めにロンドンで始まった運動のようでございまして、ですから、この日本版の表紙も、ベッカムですかね、こういう著名人が記事に載っておりまして、ボランタリーに、この日本版では、市民パトロンという言い方でいろいろな方が参加をされておられます。これを、日本の場合、二百円で駅前などでホームレスの皆さんに売っていただく。ホームレスの皆さんに売っていただくと、二百円で売ると、うち百十円が販売員の方の手元に残る。
しかし、この雑誌、例えばベッカムの本来の取材の場合の一般的な相場を考えれば、それだけ考えても大赤字だと思いますね、経済的コストを考えたら。だけれども、そういったことを考えずに、とにかくホームレスの皆さんが自分で労働して、そのことによって収入を得た、そのお金で、さあ次どうしようかということを考えていただく。まさに自立というのはこういうことだ。経済的なコストを考えたら多分赤字なんだろうと思いますが、それをボランタリーの皆さんが支えている。
私は、自立というのは、自分の力で稼いだんだという自己満足と、そのことによって、その手元に残ったお金で、さあ自分でどうしようか、これが自立だと思うんですけれども、どうでしょう、総理、こういった考え方は大変すばらしいと思うんですが。
○安倍内閣総理大臣 私も、再チャレンジの触れ合いトークにおきまして、大阪におきまして何人かのホームレス経験者の方々とお話をいたしました。
彼らが一度ホームレスを経験したときに、また普通の生活に戻る際に何が一番困難だったかといえば、規則正しい生活と、いわば自分で何かを稼いでそれを使う、そういう規律が自分のリズムの中に戻ることが大変困難であったという話を聞いたことがあります。その中のある方は、それはビッグイシューではなかったのでありますが、やはり支援事業の一環として、空き缶等々を回収してそれを買ってもらうということから、自分で稼ぐ、そして、その達成感を認識することによってまた普通の常用の雇用に移っていった、こういう話を聞きました。
つまり、そういう方々に対して、ただ給付を出すということではなくて、いかに普通の生活に、また納税者に戻ってもらえるかということが私は重要ではないかと思います。