164-参-行政監視委員会-5号 平成18年05月29日
平成十八年五月二十九日(月曜日)
午後一時開会
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関
する調査
(大都市地域における大気環境の保全に関する
政策評価に関する件)
(大都市地域における大気環境の保全に関する
政策の現状等に関する件)
─────────────
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
今回は少したくさん質問時間いただきましたんで、サラ金の多重債務の問題について質問をさせていただきたいと思っています。
私も、サラ金の多重債務、自己破産、幾つか仕事の上でかかわっておりますが、大変深刻な事態になっているというふうに思っています。自己破産が、三年前のピークは過ぎましたけれども、依然として年間二十万件、つまり一日当たり五百五十件自己破産の申立てがあるという大変な事態でございまして、サラ金の業者がつくっております協会の多重債務の白書を見ましても、サラ金の利用者は二千万人を突破していると。大体サラ金の利用者の一割が多重債務に陥っていて、その多重債務の約一割が自己破産あるいはこれに近い状態にあると。弁護士が関与しているのは多重債務者の一%か二%ぐらいではないか、あとの圧倒的多数はサラ金業者にうまいようにやられていると、これが私は実態ではないかというふうに思っています。
生活苦の自殺、この大部分はサラ金を苦にした自殺だと思いますが、これが八千人を突破したと、交通事故の死者よりも多いと。京都の弁護士会が調査をしたところによりますと、路上生活者の八割ぐらいは、サラ金問題をきっかけに、多重債務の問題をきっかけに路上生活者に入ったんではないか、こういうふうに結論付けておりまして、本当にゆゆしき問題だというふうに思っています。その根源的な要因がサラ金、クレジットの高金利、これがこういうもののやっぱり背景にあるということはもう紛れもない事実でございます。
一方で、御案内のとおり、我が国の金利規制は利息制限法の規制とそれと出資法というダブルスタンダードになっておりまして、民事上は利息制限法の金利を超えると無効でありますけれども、出資法二九・二%を超えなければ刑事罰の対象にならない、いわゆるグレーゾーンの問題があるわけでございます。貸金業者はこのグレーゾーンを任意の支払であると、こういうふうに構成をして、ここで一定の金利を得ている。そして、貸金規制業法は四十三条でこれをみなし弁済規定という形で擁護、保護をしていると、こういう構造になるわけでございます。
しかし、昨年の後半から、最高裁が繰り返しこのみなし弁済規定を極めて厳格に解釈をして、事実上みなし弁済規定を否定すると、こういう判断を繰り返ししていると。そういうこともありまして、正に立法府の対応が求められておりますし、二、三日前、日本弁護士連合会は、改めてこのグレーゾーンの撤廃を大会の決議で取り決めております。
問題は貸金業者、サラ金業者でございますが、この人たちはこのグレーゾーン金利で貸し付けて、この分野で言わば商売をしていると、そこがまあ実は問題なわけでございます。
サラ金業者の調達金利は約二%。二%で調達をして、まあ零細業者はもう少し多いわけでありますが、二%ちょっとで調達をして、そしてそれを約十倍以上の二五%から二九%の金利で貸し付けると。そして、テレビでどんどんと広告をして、そしてまた無人契約機を使ってどんどん貸出しをする。ついに貸出し残高は十一兆円という大変な市場になって業者は大いにもうかっている。日本の言わば長者番付に何人もこのサラ金の創業者が名を連ねる。一方で、庶民は、さっき言いましたように膨大な自己破産、自殺そして夜逃げそして犯罪と、こういう状況でございます。何とかしなければならないと。
しかも、これも業界の消費者金融白書によりますと、サラ金の平均利用者像を示しておりまして、一人平均三・三社から借りていると、百五十万ぐらい借りていると。そして、年収は四百万以下の人が圧倒的に多いと、利用年数は六・五年だと。つまり、大部分の人はもう五年以上借りているんです。そういたしますと、例の利息制限法で計算をし直しますと、多くの人たちはもう元本を返し終えて過払いの状態になっていると。過払いの状態になっているにもかかわらずサラ金に追い込まれている。こういう現実がもういろんなデータから明らかだと。サラ金業者の白書からも明らかだと。
すべての原因がサラ金の貸金業規制法四十三条のやっぱりグレーゾーンの問題、ここでやっぱり商売をしているサラ金業者の存在になってくるわけでありまして、どうこのサラ金グレーゾーンの効用を皆さんが認識されておるのか。このグレーゾーンの金利と多重債務者の現況について、どういう認識を持っておられるのか。今、金融庁で協議中であるということは十分分かるんでございますけれども、担当の大臣の基本的な認識、まあこれいろいろなところで聞かれるというふうに思いますが、是非この場でお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(与謝野馨君) まず、最高裁のグレーゾーンに対する厳しい判断、これに対する立法は、国会も各党もまた政府も考えていかなければならない課題であると思っております。第二は、制度の問題として、貸金業を営む場合は非常に簡単な登録制でございます。それが果たして正しいのかどうかということもお考えいただかなければならない。もう一点は、多重債務者、これに対して更に貸し込んでいくという商法が取られているわけでございまして、こういうものに対する何らかの規制は必要なのではないかと、私は個人的には考えております。
いずれにいたしましても、国会でも皆様方にお考えいただかなければなりませんし、また各党の中でもいろいろお考えいただいておりますし、また政府の中でも、法務省、金融庁協力しながらこの問題にどう対応していくかということをきちんと考えてまいりたいと思っております。