164-衆-厚生労働委員会-10号 平成18年03月17日
平成十八年三月十七日(金曜日)
午前九時三十分開議
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
児童手当法の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第九号)
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○村井委員
それでは、もう一つの方の争点を上げたいと思うんです。
今回、生活保護の問題も上がっていました。さて、この生活保護の問題の中で、私、山谷とか西成とか、現場を見に行ってきたがです。ホームレスの人たち、たくさんおられるんですね。今回、地域の方に大きく任せていくという方針、地方分権によって生活保護を任せていく、これはこれで一つの考え方なんですが、まず、皆さん、考えてみてください。ホームレスの人たちは、本当にその市町村に住民票を持っているかどうなのか、違いますよね。山谷や西成に住民票を持っておるわけじゃないがです。もっといろいろなところからホームレスになって、仕事がない、家賃が払えぬようになって出ていった、それで、そういった一部の地域に集まってホームレスになっているわけなんです。そういった人たちにもちゃんと生活保護が適用されるようにしなければならない。
生活保護というのは何なんでしょうか。そうです、憲法に規定してあるように、我々政治家、そして国は、すべての国民に健康で文化的で最低限の生活を保障する義務があるんです。そして国民には、健康で文化的で最低限な生活をする権利があるんです。だから、今、そのために、ホームレスについても市町村に任すだけではなくて、国としてしっかり生活保護適用要件を満たしていくようにしなければなりません。
さて、そこで中村社会・援護局長にお聞きします。ホームレスに対しての生活保護適用要件はどうなっていますか。お答えください。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
生活保護は無差別、平等に適用するということになっておりますので、ホームレスであるからといって特別に基準があるわけではございません。生活保護は、他法他施策や利用し得る資産、その方が働けるかどうか、その他あらゆるもの、まず自立というものを最大限活用した上で、また、他法他施策、利用し得る施策をすべて動員した上で、なお生活に困窮する方に対して行われるものでありまして、これは、ホームレスであれどなたであれ、この基準が平等に適用されます。まずそういったことを前提とさせていただきます。
それから、今、住民票というお話がございましたけれども、生活保護は、住所地にある方に対して適用するということでございまして、いわば、現にそこにおられるということで適用しているものでございまして、ホームレスという方は家がないわけでありますが、どこかに物理的にいるわけであります。居住地がないことをもって生活保護を適用しない、そういうことでもございません。
例えば、神戸市では、国が十五年一月に調査いたしましたときに、三百二十三人のホームレスの方がおられ、現在、十七年八月、二百二十一人のホームレスの方がおられます。こういう数字は一時点の数字でございまして、ホームレスの方というのは、ある方がホームレスでなくなっても新たに入ってくるということで、一時点の数字で誤解されますけれども、百人くらい神戸ではホームレスの方、時点では減っているわけですが、この間、千三百七十五人の方に神戸市では生活保護を適用している。こういうことで、生活保護を適用する。
例えば今はたまたま神戸市の例でございましたけれども、生活保護を適用する要件に当たっている方であれば、ホームレスであれホームレスでない方であれ、生活保護は適用される。ただし、その方が働ける状態にあるのに働かないという方は、ホームレスであれそうでない方であれ、生活保護は、まず働いていただけませんか、そういうことをお願いしているということでございます。
そういったことで、現に自治体では、生活保護が必要な方については、神戸市の例で見たように、一時点、二百人くらいのホームレスの方ですが、三年間の間に千三百七十五人の方に生活保護を適用されています。そのように、自治体の方では、逆の言い方をしますと、ホームレスの方がおられるということは相当生活保護の面でも負担になっているということ、また、そういう方が流入してきているということで、二十三区と政令指定都市で全国のホームレスの方の七二%の方がおられますので、いわば都市問題である、こういう認識をいたしております。
○村井委員 今、中村局長の方から、住民票がなくてもホームレスの人でも生活保護をもらえるという話がありました。だけれども、多くのホームレスのおっさんたちに聞いてみてください。いや、おれは住民票がないからだめなんだと皆さん言いますよ。確かに福祉事務所へつなげていけばもらえる可能性があるけれども、では、実際多くの二万五千人のホームレスのおっさんたちがそれを知っているかどうかです。(発言する者あり)今、山井さんから、行っても断られるよという話がありました。
今、本当に、ぜひ厚生労働省の方で、そういったホームレスのおっさんたちに福祉事務所の窓口へ行くように、そして、場合によっては生活保護をもらえるんだよということをちゃんと徹底してほしいと思うんです。どうでしょうか、局長。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
ホームレス対策については、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づきまして、国が基本方針を示し、各自治体がそれに即してホームレス対策をしております。
そういったものの中の一番大きな柱が総合巡回相談でございまして、ホームレスの方々、御存じないということでございますが、例えば東京でいえば各区では、上野公園のホームレスの方に巡回相談員が行ってお会いして、まず自立センターに来てくださいと呼びかけをしたり、さまざまなことを行っております。その主体は、各区であり、市であり、福祉局がやっておりまして、市役所でも全庁的に取り組んでおります。そこの傘下に福祉事務所があるわけでございまして、当然、そういうことを知っております。
逆に言いますと、福祉事務所に来られていろいろ御指導を受けて、そこでホームレスの方々はその指導に従わなくて約束を破ったりしてその市にいられなくなって、そういった方がまた別の市に行って福祉事務所のところに行く、こういうことでございまして、こういう言い方は適切かどうかわかりませんが、なかなかホームレスの方々もしたたかで、行政の方も困っているということであります。
いろいろな実態がございますので、我々もやっておりますし、今、二万五千人とおっしゃいましたが、各自治体の調査で減少傾向にあるということはそうでございますけれども、また新たな流入もあるということで、先ほどの神戸市の例のように、百人減少するために千三百七十五人の生活保護の適用をしている、そういうことでございます。
逆に言いますと、ホームレスの方であればどういう状況にあれ生活保護を適用するということになれば、みんなホームレスになれば生活保護を受けられるということで、これはもう生活保護行政が崩れてしまう、こういったことも御理解いただきたいと思います。
○村井委員 最後に大臣にお聞きしたいと思うんですが、政治家の使命というのは、すべての国民に健康で文化的な生活を保障することですよね。今、ホームレスのおっさんたち、本当にその健康で文化的で最低限の生活ができていると思いますか、どうですか。お答えください。
○川崎国務大臣 国の仕事の、政治家として大きな仕事は、やはり自立をどうやって助けていくかということであって、その意思が大事であります。そういう意味では、ホームレスの自立をどうやって支援していくか、すなわち就労というものをどうしていくか、こういう面に立ちながら、東京都を初め、各団体が大変苦労されてさまざまな施策を行われております。
一方で、そうした施策を利用し、また対策を打ちながら、結果として真に生活が困窮する、こういう場合には地方自治体において適切に生活保護の適用が図られる、これは神戸の例を先ほどお話し申し上げました。そういう意味では、やはりホームレスの方々も健康であれば働いていただくということをまず主眼にしながら、しっかりやっていかなきゃならない、こう考えております。
○村井委員 ごめんなさい、最後の最後にもう一言だけ言いたいと思います。
何かというと、あの山谷にしても西成にしても、何であそこがそういうホームレスの町になったのか。あそこの真ん中にあるのは何なのか。そうですね、職安がありますよね。職安の周りにスーツを着たまま段ボールで寝ているがです。何でスーツのままなのか。そうですよ、就職する気満々だからです。就職する気満々の人たちが、スーツのまま段ボールに寝ておる。朝起きたら職安に行く、だけれども決まらない。実態はそうじゃないですか。
確かに、何人かはもうあきらめておられる方もおられるかもしれない。仕事をする気がない方もおられるかもしれない。だけれども、多くの人たちは就労する気そのまんま、満々だけれども、だけれども就職できなくて、就職する気がないんだから生活保護をもらえない、そんなふうに言っておられる。
そんな中で、ぜひ政治家の使命として、健康で文化的で最低限の生活を保障するという我々政治家の使命を果たすために、大臣には一度現場を見に行っていただきたいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。
○川崎国務大臣 昨年暮れにも、東京、大阪の都会議員、府会議員の方々含めてお見えになりまして、一度私も時間ができれば、特に大阪ですけれども、状況を見させていただこうか、こうは考えております。