164-衆-国土交通委員会-5号 平成18年03月10日

 

平成十八年三月十日(金曜日)

    午前九時三分開議

 

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一〇号)

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○細川委員 民主党の細川でございます。よろしくお願いをいたします。

 昨今、社会全体が非常に不安になってきているような、そんな気がいたします。水害とか震災、あるいはことしの冬は雪害被害が甚大でございました。また、犯罪では、幼児をねらった凶悪犯も多いし、またお年寄りをねらった詐欺罪とか、そういうものもふえております。自殺者も高どまりでございますし、ホームレスも多い。

 そうした社会不安の高まりの中で、交通の安全に対する信頼までも大きく崩れているというふうにも思います。昨年、二つ鉄道事故がございました。また、事故にはなりませんでしたけれども、航空のさまざまなインシデントや、あるいはトラブルもありました。自動車事故につきましても、死者数は減ってはおりますけれども、しかし、事故数そのものは高どまりでございます。

 安心、安全な社会を築くというのが政府の中でも最も本質的な大事なところでございます。しっかりとこの点は国の方でもやっていかなければいけないと思います。したがって、交通運輸の安全につきましても、こういうところで、この場でしっかりと議論をすることが重要でございますし、また、国民の期待や関心も多いことと思われます。

 そこで、私は、特に事故調査のあり方について、きょうは何点かお伺いをしたいというふうに思っております。

 既に事故調査委員会ができておりますけれども、この沿革を見ますと、当初は航空機だけでございましたけれども、その後、九一年の信楽高原鉄道の事故をきっかけに、鉄道事故についても独立の調査機関をつくるべきだというような声が出まして、私も当時、運輸省にそういう要請もしたことでございました。そのときは実現しませんでしたけれども、二〇〇〇年の営団の日比谷線の事故をきっかけに、鉄道事故も対象になる、こういう法改正が行われたのでございます。

 その二〇〇一年の法律の改正のときにも大きな問題となりましたのが、調査機関の独立性の問題でございます。

 この委員会は、法律上、設置法の第四条では独立を担保されておりますけれども、この任命者は国土交通大臣であり、法律上も国土交通省のもとに置かれております。そもそも国土交通省は、交通事業者に対して許認可を行い、あるいは事業の振興も図る、そしてまた、日ごろの安全性などについては指導監督をされております。こういう官庁が、原因究明とかあるいは再発防止という、客観性あるいは独立性を要求される事故調査の権能を持っていていいのだろうかというような疑問が持たれるわけでございます。仮に、真に独立して調査を行ったとしても、国民はどうも割り切れないものを感じるのではないかというふうに思います。

 さらに、昨年の尼崎の列車事故などは、運転士だけじゃなくて会社全体の労務管理のあり方が問われるような問題でありますから、これは厚生労働省の所掌事務に関する調査も多い。さらには、電車の製造基準の認可は経済産業省、あるいは犠牲者の死因などは警察庁とか厚労省、あるいは救助、救命は消防庁、こういうふうにいろいろと分かれているところでありますから、私は、国土交通省に置かれている現状では、十分な調査ができるかどうか、大変疑問を持っております。

 二〇〇一年の改正のときにも、この委員会を、八条委員会から三条委員会、非常に独立の強い委員会にしたらどうかとか、そういうような主張もしたところでございました。

 しかし、三条委員会にしなくても、同様の権限を持つ食品安全委員会とか原子力委員会、あるいは原子力安全委員会というのは内閣府に置いているところでございますから、いろいろな関係各省から独立を確保するために、事故調査委員会も同じように内閣府に移管をしたらどうか、こういうことをまず大臣にお聞きしたいと思います。

 大臣の所管であるから聞きにくいところでございますけれども、国土交通省から内閣府の方に移管したらどうかという私の質問でございます。