145-参-予算委員会-7号 平成11年03月01日
平成十一年三月一日(月曜日)
午前十時三分開会
本日の会議に付した案件
○平成十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十一年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十一年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
議院送付)
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○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
私ごとになりますが、私は一九八六年に政治の世界に入らせていただき、十二年前初めてこの予算委員会で総括質問に立たせていただきました。そして、十二年前と今との違いに改めて愕然としております。当時は中曽根内閣のときでございました。宮澤大蔵大臣も今と同じ席に座っていらっしゃいました。大蔵大臣でいらっしゃいました。
当時はバブルの高騰期、大きな貿易黒字を背景に、双子の赤字を抱えるアメリカに対して自信に満ちていたわけです。その後、冷戦構造が崩れ、湾岸戦争が起こり、様相は一転いたします。日本ではバブルが崩壊し、金融問題に抜本的な手が打たれぬまま現在に至っております。その間、一%台だった失業率は四・三%、多くの人がリストラなどでおびえております。自殺者がふえ、特に最近はホームレスが目立ちます。千二百兆円に上る金融資産があると言われますけれども、庶民の預金はほとんど利子を生まず、老後の不安を抱えております。最近の国民生活選好度調査でも、七五%の人が不安だと言っております。
戦後、ほとんど切れ目なく政権の座におられた自由民主党、その総裁として、なぜこんな日本になったのか、どのように責任を感じておられるのか。日本をよい方向に導くため、そのビジョン、方向性、方策があればお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国の現在の状況というものをどう見るかということでございますが、私は、基本的には日本の力というものは大きなものを持っておると。でありますから、国際的にもまたその責務の大きさがございますので、日本経済の動向というものがすべからく世界経済、なかんずくアジアの経済には大きな影響を及ぼしておるということだと思います。そういった意味で、対外資産もあるいは個人貯蓄も、高い技術力、これに支えられた製造力、勤勉な国民の資質などは極めて強固な基盤が存在をしておると思っております。
ただ、御指摘のように、今日こうしたものの富というものが、それぞれ国民の側にも今申し上げたような預貯金の形で多くのものがございますが、御指摘のように、現在においてはそこから生み出す利子その他が、こうした低金利時代を含めましてかつてのように大きな配当を生み出しておりませんので、そのことが従来からの日本の国民の意識、たくさんの預貯金を何とか持つことによって将来に対する不安感を除去していこうということと同時に、現時点におきましては、そうした予定される利子収入によって消費を促していくという気持ちがなえ切っておるという状況はまことに残念なことだと思っております。でありまするがゆえに、政府といたしましては、何はともあれ、今日の経済の再興、不況を克服していこうという形で最善の努力を傾注いたしておるところでございます。
戦後の政治に確かに自由民主党は大きな責任を負ってきたことは事実であります。でありますがゆえに、全体的には、日本の経済をこれだけ大きなものにしてまいりましたことは、国民の持つ創意工夫、努力、そうした努力の上に立ってでありますが、政策的にも基本的な誤りがあったとは私は考えておりません。
でありますが、しかし今日を顧みますと、いろんな問題が噴き出た形で今日のこの二年続きのマイナス成長ということに相なっているわけでありますので、何としてもこれを脱却していく努力を尽くすことによって、再び将来にわたって明るい日本経済、あるいは日本自体の発展のためにその端緒をつくり上げていかなければならないのが今日の状況と認識しております。
○広中和歌子君 私は、四・三%という失業率というのは決して高くないと思うんです、世界のほかの国に比べて。けれども、ホームレスがやたらに多い。なぜだろう。安部公房の「箱男」の世界なのかなと哲学的に思ってしまうわけですけれども、やはり何か日本の中に欠けているのは、私は、適応力であったり選択力であったり学力──学力というのはどれだけ知っているかではなくて、絶えず学び続ける力、新しい物に挑戦していく力ではないかと思います。
今のように画一化の授業の中で、そして同じことを学びなさい、同じレベルに到達しなさいといったような教育でこれから生きられるんでしょうか。もっともっと自由化が必要ではないでしょうか。それから、リスクについてももっと教える必要があるのではないでしょうか。
○国務大臣(有馬朗人君) 非常に重要な点を御指摘になられました。これからの教育はまさにそれをしていかなきゃならない。
すなわち、戦後の教育は成功したと一面で申しました。これは明らかに日本の国力を生み出していく上で成功しました。しかしながら、今までのように画一的な教育だけではだめである。ただ、基礎、基本は国民全体が持たなきゃいけない、その力は持たなきゃいけない。しかし、その上で独創性、個性というものを育てていかなければならない。そしてまた、義務感を持ち、しっかりとした責任感を持つ。そして自由な発想をしていく力を日本の子供たちに教えなければならないと思っています。これは社会全体の問題であり、皆さんも我々もそういう方向に進んでいかなければならないと思っております。