145-衆-予算委員会-8号 平成11年02月02日

 

平成十一年二月二日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 

本日の会議に付した案件

 平成十一年度一般会計予算

 平成十一年度特別会計予算

 平成十一年度政府関係機関予算

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○吉田(治)委員 ダイオキシンのみでなくて、産業構造転換全体ということで理解させていただきます。

 もう時間がございませんので、残り三点、くくらせていただきます。大臣、大変申しわけございません、長いことお待たせして。

 一点目は、雇用問題と賃金債権。前回、質問を積み残してしまいました。一点目は、雇用が厳しい中で、労働大臣の方で、雇用保険の期間延長でありますとか雇調金の早期運用、また、こういう経済状況が厳しい中で二〇〇一年に年金の支給年齢が繰り延べになるということ、これをちょっと変える必要があるのではないかというお話が来ております。これについてどういうふうにお考えなのかということ。

 それから、法務大臣におかれましては、商法の改正の中で、企業倒産法制というふうなものがございます。企業がたくさん倒産していく、そういう中において、これは労働大臣のお答えになるのかもしれませんけれども、賃金債権、ILO百七十三号条約というのがございまして、前もちらっと申し上げましたけれども、倒産してしまったら、お金、債権として取れる順番が随分低い。それは会社に勤めていたんだから仕方がないという意見と同時に、やはり働いている人の賃金債権というものを確定していくというのが、今回、この企業倒産法の中において重要だと言われておりますけれども、その辺についてのお考え。

 そして、建設大臣におかれましては、前回、自民党の伊藤議員の質問の中にも、公共事業の都市部の配分というものについて、いろいろ意見が出ておりました。まさに、単に公共事業というものは、よしあしを別にいたしましても、地方だけではなくして、交通渋滞等を含めまして、都市部への重点配分というものもこれから必要ではないかという中で、平成十一年度予算においてどういう配慮がなされているのか。

 そして、私、毎年予算委員会で取り上げておりますが、ETC、高速道路の自動料金収受システムというのが、いよいよ九九年度末において運用がされると聞いております。その中において、今、私どもユーザーで言われておりますのは、首都高、また阪神高速等々では、実は回数券がありまして、回数券を買っておけば非常に割引率が高い、安く乗れる。では、こういうシステムが入ったら、それはもうバツになるのか。それだったら、ちょっと渋滞しても安い方がええわという声もある。それについては、どういうふうに調整をなされていくのか。

 そして最後、自治大臣、大変あちらこちらで麻薬の件、御苦労さまでございました。

 これは、本当は先ほどの公認会計士のところで、外部監査制度についてお答えをいただきたかったんです。実は、公認会計士さん、弁護士さん、税理士さん、三千三百の市町村に関して、今度外部監査制度が入る。公認会計士さんの業界からすると、これはいい商売のネタがと言うたら怒られますね、できた。それで、一生懸命頑張って走り回っている。弁護士さんは、余りそういう政治的なものを使わない。これは各議会が決めるということで、いろいろな議会でそれぞれ動きがあるやに聞いておりますが、これの指針であるとか、実際何ぼ外部監査制度について各自治体は予算化というのですか、大きさによるでしょうけれども、あるのかということ。

 そして最後、大阪、特に私どもの地元、委員長も近くに住んでおりますのでお気づきだと思うんですけれども、特にホームレスの問題

 大阪市の実態調査におきましては、平成十年、昨年の夏ですけれども、八千六百六十人。冬柴議員の質問の中で、あいりんの問題がありました。あいりんの中は一千百九十一名でございます。翻って東京に目を向けますと、これは調査の仕方が違うので一概に言えないのですけれども、二十三区内は四千三百人しかいないというのか、四千三百人もいるというのか。大阪でしたら、来ていただいたらわかりますけれども、大阪城へ行ったら、テント村なんですね、青いビニールテントで。私の家内、久しぶりに二人で散歩しますと、きょうは何かキャンプの大会があるのかというぐらい、たくさん住まれている。

 これについて、地方自治体、大変御苦労されている。予算を出されたけれども、ちょっと今回は認められなかった。また、権限の部分でも、こういうふうな権限が欲しいんだけれどもということを国に対して要望もされていると聞いております。どこの省がこれをこれから担当されるかわかりませんが、まず一番最初に窓口になる地方自治体をまとめられる自治大臣としてのお立場で。

 失礼ですけれども、それぞれ大臣、いろいろ申し上げた点、御質問にお答えいただければと思います。

 

○甘利国務大臣 まず、賃金債権の順序を上げるということでありますが、これは、今私はずっと、法制審議会で議論ができないかという問題提起をしております。

 ただ、法制審議会にも限界があるようでございまして、法務大臣とも打ち合わせしておりますが、そこでできるのが微調整だとしたら、いずれにしても、できることはやってほしいと。できないことについて、国税徴収法とか、あるいは民法、商法にかかわるような問題について、それぞれの所管官庁間でどういう話し合いができるか、その場を設けたいというふうに提言したいと思っております。

 それから、雇用保険の延長に関しまして、これは現在もいろいろな延長制度がありますから、これをぜひ活用していただきたい。

 それから、教育訓練に関して、ホワイトカラーを中心に充実をしましたので、これも幅を拡大して対応できるようにしておりますので、ぜひこの制度を活用していただきたいということであります。

 

○中村国務大臣 それでは、簡潔にお答えいたします。

 今委員が御指摘のように、企業が倒産した場合には、賃金債権、一般の取引債権、租税債権等でその優劣が問題になるわけでありますけれども、これは今何で決まっておるかと申しますと、民法の三百六条の賃金債権の先取特権、それから、民法三百八条の六カ月間という規定があります。しかし、その後に実体法がいろいろつくられまして、国税徴収法、地方税法というようなこと、また保険に関する法律等で、先取り権が後からかけられておりますので、優劣がそこで決まっている。

 倒産法制は、基本的には、そうした賃金債権と一般債権等の優劣が現状の実体法で決まっているものに合わせて手続をつくっていくものでございますので、倒産法制の中で、この優劣そのものを論じるものではございません。

 そこで、今労働大臣から、これの調整が必要であり、それを検討する必要があればその場をつくるというお話がございました。そういうことがあれば、法務省も協力してまいりたいと思っております。

 

○関谷国務大臣 答弁の前に、私も二十数年国会におりますけれども、こういう、質問を全部固めてやっておいて時間内に答弁さすというのは、なかなかずるい、うまい考え方だな、やはり時代は変わっておると驚いております。

 それで、私への質問は二つでございますが、都市部におきます公共事業に重点を置くようにというようなことでございますが、いずれにいたしましても、国といたしますれば、これは都市部、地方部というのを問わず、国民の豊かな社会を実現するということで公共事業を進めておるわけでございます。確かに、ここ一、二年といっていいんじゃないかと思いますが、都市部の方々、先生方のそういう動きが非常に大きなものになってまいりました。それだから都市部に云々という意味ではありませんが、そういうようなことで、既成市街地の有効活用に資する整備事業、例えば街路整備事業や密集市街地対策等々につきまして進めていきたいと思っております。

 それからもう一つ、ETCの件でございますが、今、現在は、割引の種類は七種類ございますが、そういう割引制度を勘案しつつ、このETCにいたしますと、個々の利用者の利用実績を正確に把握することができる、そういう特性もございますので、そういう観点から合理的な割引制度を考えていきたいと思って今準備をいたしております。

 

○野田(毅)国務大臣 大きく二つのポイントについての御質問があったと思います。

 地方公共団体に対する外部監査制度に関連する問題ですが、これはもう御指摘のとおり、平成九年の改正で導入されたわけであります。弁護士、公認会計士あるいは税理士、そういった方々が、専門的な立場から、独立性を持って外部監査をやろうというシステムを導入したということで、これによって、地方議会あるいは監査委員によるチェック機能、これと相乗効果をもたらして、適正な運営が確保されるようにという期待感を持って導入されたわけであります。

 先行的に平成十年度から導入するというのが、北海道、山梨県、それから広島県、この三団体と報告を受けております。平成十一年度から、都道府県、指定都市、それから中核市に義務づけをするということでありまして、それに向けてそれぞれの団体が今鋭意検討を加えておるという段階でして、まだなかなか全国的に集計的なことはできかねておるというのが現状であります。

 それからいま一つ、ホームレスの問題でありますが、これは確かに頭の痛い問題だと思います。

 いろいろな方面が絡んでおるわけでありまして、これまで福祉事務所での相談援助とか職業紹介等の取り組みがなされてきておるわけですが、福祉、あるいは就労、医療、さまざまな面から総合的な対応が必要だろうとは思います。ただ、一方で、この問題は治安の悪化ということとも関連をしておりまして、ただ単に、そういうような親切な側面からのアプローチだけでは済まない問題もある。特に、公共施設についての管理責任という立場からもきちっとした対応も一方で必要だろうというふうには思います。なかなかこれは厄介な問題でして、そういう点で。

 この点は、特に大阪がこのところ急増しておるというところもあって、一度ゆっくり具体的に私自身も話を伺ってみたい、そういうふうには思っております。