144-衆-財政構造改革に関する特…-4号 平成10年12月03日

 

平成十年十二月三日(木曜日)

    午前九時三分開議

 

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止

 に関する法律案(内閣提出第一号)

     ――――◇―――――

 

○田端委員 ぜひひとつ国民が安心できる方向へ引っ張っていただきたいと思いますが、この問題はもうちょっと後でまた議論させていただきます。

 ちょっと商品券のことでお伺いしたいと思います。

 小渕総理は、この一両年に不況を克服して、平成十二年、経済の再生という目標を掲げて今取り組んでおられる。しかし、私たちが国民の皆さんと接している中から起こってくる現実の声はなかなか厳しいものがあって、そういう明るい見通しになるような材料はなかなか見当たらない、そういう感じがいたします。その中で唯一、商品券、地域振興券という形で今回実施されることに対して非常に明るい議論が今始まりつつある、こういうふうに思います。

 それはどういうことかといいますと、私は大阪ですが、大阪市には概算百二十億の地域振興券が来ることになります。そうすると、この百二十億のお金を大阪市でどう活性化させるかということになりますと、これは議論だけでも非常にいろいろな議論が出てきます。

 例えば、大阪二十四区に均等割しましても、これは一区五億というお金になるわけですから、一つの区で五億のお金が落ちるとなれば、その地域の商店街、いろいろな業界が手を挙げようと。そして、これは有効期限があるわけだし、また千円券ということですから、つり銭の要らないようにしなきゃならない。そうすると、商売人の知恵として、例えばお米屋さんならお米屋さんが手を挙げて、そして地域振興券取扱店というのを店先に張り出す。そして、振興券をお持ちの方、例えばこれは二千円パックですと。つまり、二千五百円で今まで売っていたお米何キロかというものを、あるいは二千三百円だったものを、少しサービスして、つり銭の要らないようにして二千円のパックにして売り出すとか、こういう知恵が今もう既に議論として私の周辺では始まっているわけです。

 例えば、これは業界として、いろいろな商店街とか加盟している区商連とか、こういうのがたくさんありますが、それぞれで手を挙げると思いますが、しかしそれ以外にもいろいろなところで、ぜひ我が方で使ってもらいたい、こういうことになっていくんだろう。例えばサービス業とか、あるいは床屋さんとか美容院とか、こういったところもいろいろな形でこれに今参画しようということが起こっている。医師会の人に会ったら、ぜひ医師会も加えてもらいたい、こういう意見も今起こっているわけでありまして、私は、こういう意見があちこちで起こってくることが、これが一つの明るい材料になる、マインド的に非常にいいんじゃないか、こう思うわけで、七千七百億円というお金が二倍にも三倍にも十倍にも気分的になっていくようにしていくことが大事ではないか、そんな思いがいたします。

 そういう意味で、例えば大阪市では今、一本でするか区別でするかということが大阪市の中で、あるいは市会議員の議員団の中でそういう議論が既にもう始まっているわけでありまして、こういったことに対して担当大臣である自治大臣が、機械的に全国の関係者を呼んでそういうレクをするだけじゃなくて、大臣が、八千億のお金を十倍ぐらいにするんだ、こういう気持ちを込めて言うことが大事だと思いますが、いかがでしょうか。

 

○西田国務大臣 七千億を十倍にするということは、私の一言ではなかなか難しいと思います。

 しかし、御承知のように、今回の地域振興券、この問題は、まず当面の景気対策に対して地域からその力を出してこようじゃないかということの発想が一つあったと思います。それからもう一つは、お正月が来ても、いろいろお年寄りであるとかあるいは子供であるとか、弱者という言葉はちょっとこれはまずいと思うのですけれども、そういう人たちに焦点を合わせてやっていこうじゃないか、こういうことで進めておるので、私も非常にその効果を期待しておるところでございます。

 御質問の中に、この事業主体、大阪の例をとってお話しになりました。これは市町村が事業主体ということにしておりますが、それは、広域連携をして効果的な波及効果を及ぼすということは大いに結構だ、こういう方向で私たちも、このことに対していろいろな御議論があるようでございますけれども、大きく期待をしておるところでございます。

 

○田端委員 ぜひ経済効果が大きく広がるように、普通、例えば企業であれば、それだけの投資をすればその何倍にもしていこうというのがもう社長の一念で決まっていくわけでありますから、ぜひその主管の大臣としては、そういう意味で心を込めて拡大するようにお願いしたいと思います。

 実は私、景気の問題がもう如実に社会にあらわれている一つの現象としてホームレスの問題があるというふうに実感しております。本当にすさまじいふえ方でありまして、私は大阪市の西成区というところに住んでおりますが、もうまさに今倍増をしているという感じがあります。

 実は、先日小渕総理が大阪入りされたときに、磯村大阪市長からもこの問題について要請をされたようでありまして、今やもう一地方自治体の域を超えて、国としてもこの問題に乗り出さないともう自治体だけではどうにもならないというところに来ているように感じるわけであります。

 それを受けて官邸筋からお話があったようで、労働、厚生、通産、建設、国土、自治ですか、その六省庁が合同で勉強会をされ、そして近々に実際の実務者が集まって、これに東京や大阪や横浜の自治体の方も加わって協議して方向性を見出そう、こういうことが始まっているように聞いておりますが、どなたにお伺いしていいかわかりませんが、とりあえず、そのメンバーになっている甘利大臣、どういうことに今なって、経過がどうなのか、ちょっとお願いしたいと思います。

 

○甘利国務大臣 田端先生御心配のとおり、このホームレス問題、深刻になってきておりまして、大阪ももちろんでありますけれども、東京でも隅田川河畔にテント村みたいなものもできてしまっております。

 そして、先生さらに御指摘のように、これは雇用政策だけの問題ではありません。福祉政策であり、あるいは医療面の政策も総合的にいろいろ考えていかなきゃならない。あるいは、御本人の人生観というか価値観とか、そういうことにかかわってくる部分もありまして、単一の省庁で解決できる問題ではありません。

 そこで、会議を開くことになったわけでありますが、それに先駆けて、自主的に関係する政務次官の方々が会議を開かれまして、この問題をやはり政府として早急に対処せよと、先生がお考えのような問題意識で政府に督励がありました。

 具体的に申し上げますと、十二月の九日にホームレス問題の関係自治体のヒアリングを行いたいというふうに考えております。我が省以外に、厚生省、自治省、建設省、それからオブザーバーとして警察庁にも出てもらいまして、関係自治体でありますから、東京都、それから大阪市、川崎市、横浜市、名古屋市からお越しをいただきまして、各自治体におけるホームレスの実態、それからどうしていくか、御自身でお考えのところと要望されるところ等ヒアリングをまず最初にしたいというふうに思っております。

 

○田端委員 この問題は、単に、例えば道交法とか河川法とか公園法とか、そういうことだけではどうしようもない問題であり、そしてまた、今もお話しあったように、野宿しているそういう生活者といえども人権という問題があると思いますし、あるいは財産とかそういったこともかかわってくる。また、社会保障的な問題も多分にあるわけでありまして、そういった側面から総合的に考えていくということになれば、どうしても国がしっかりと乗り出す必要がある、こう思います。

 経企庁長官も、私の尊敬する大阪の先輩でありますから大阪のことをよく御存じだと思いますが、私の住んでいる大阪市西成区にはあいりん地区というのがありまして、ここには二万数千人の日雇い労働者がいる。まじめに働こうとしているその人以外にそういう形でのホームレスというものが加わって、今大阪では八千六百ぐらいのホームレスがいる。そうしますと、日雇い労働者の二万四、五千人の方と合算しますと三万三千人ぐらいの人がそういう形で、だから、どこが境目という区切りはないわけでありまして、そういう形で今たくさんの方がどんどんふえていっているというのが現状であります。

 今、甘利大臣がおっしゃった東京、私は、きのうも新宿の地下街、やはり雨が降ると地下街にたくさんの方が来ておりますが、東京は四千人ぐらいですから、その倍のホームレスの方がいると思います。

 それできょうは、こういうことを口で言ってもわかってもらえないと思いますので、パネルを用意いたしましたのでちょっとお見せしたいと思います。済みません、写真を皆さんにお配りいただけますか、たくさん焼き増ししておりますので。

 これは、大阪城の金のしゃちほこが輝いているもとで、こういう木々がたくさんある中に青いテントがあちこちに見受けられるわけでありまして、大変広い大阪城公園の中に三百から四百ぐらいのこういうテントがあります。私も行ってもう全くびっくりしましたけれども、ジョギングしている人とか散歩している人とかたくさんいるわけですけれども、その横にこういう光景がずうっと続いているわけであります。これが大阪城です。

 それから、長居公園というのがありますが、これは長居競技場でありまして、二〇〇二年にサッカーのワールドカップをやることになっておりますが、この長居公園の周辺、長居競技場の周辺にまたやはり同じようにずうっと二、三百のテント村があるわけであります。

 これは西成公園というんですが、この西成公園は、ちょうどこういう形で真ん中に野球場があるんです。野球場があって、その四方にテント村がこういうふうになっている。だから、子供たちがこのグラウンドに入るにはこのテント村を通らなきゃならない。それが怖いために、御父兄といいますか、お父さんたちが車で子供たちを一カ所のところへ乗せてきまして、そこから出入りして連れて帰る。こういうことで、せっかくのいい野球場、グラウンドが、周りがこういう形で四方固めにされているものですから中に入れないというのが現実であります。

 つまり、そういう意味では、この西成公園そのものがもう不法占拠されているような状況でありまして、ここは二百五十ぐらいあるんですが、例えば、こういう人たちの中には、ペットを飼っていまして、猫とか犬をこのテントの中に飼っている。そして、この西成公園なんかの場合はもう自治会組織のようなものができております。そして、ごみ出しを決めているわけです。ごみ出しを決めて、焼却場のようなものが、燃やす場所が決まっているわけですね。だから、そこへ持ってきて燃やす。こういうルールも決まってきているんです。そういうことで、本当の地元の自治会ともその辺のルールも話し合いが今始まっているんですね。

 こういうことになってきますと、これはもう一つの社会を形成していくわけでありまして、正直言いまして、地元の人からいいますと、トイレと水道があるところは人が住みつくわけですね。そういう意味では、もう公園はなくしてくれ、要らないという理屈になってきておりまして、非常に困ったことであります。

 何も大阪だけじゃないです。私、きのう隅田川の隅田川テラスというのにも行ってきましたが、白鬚橋から桜橋のところですね。これは隅田公園でございますけれども、隅田公園もやはりこういうふうになっております。だから、これは東京も一緒であり、大都市問題であると思いますが、この問題は大変難しい問題であり、困ったことだと思います。

 まず、経企庁長官、大臣の地元の中之島公園も大川端も青いテントがいっぱいでありまして、大臣のおうちからも見えるんじゃないかと思いますけれども、最近は大阪に帰られてないと思いますけれども、今どんどんそういうことでふえているんですが、大臣、どういう御感想でしょうか。

    〔委員長退席、大島委員長代理着席〕

 

○堺屋国務大臣 私も、東京でも大阪でも、自転車が趣味なものですから、そういう公園を走り回って青いテントが猛烈な勢いでふえているというのを実感しております。

 問題はこれの発生源なんでございますけれども、これはいろいろあるようでございまして、NPOの青年たちにも調べていただきました。二百人ぐらい聞いていただいたら、もともとそういう生活をしておられたという方が結構おられますが、そのほかに、失業が原因である。それからもう一つは、これは希有な例かもしれませんけれども、ローンが払えなくなってマイホームを失ったというような答えが返ってきたこともございます。

 こういうことを考えますと、やはり今、景気振興が第一だと。働く気がある正常な方々が結構そういう状態になっているというのは憂慮すべきことで、年齢層もかなり散らばりがあるようでございます。その点、今非常に期待されております中小企業に対する貸付保証とか借り入れ保証とか、あるいは金融問題とかいうものの解決とともに、即効性のある公共事業を早く進めることが根本だと思っております。

 大阪の場合につきましては、貸付保証の事務手続等にいささか遅延があるようでございまして、また先生にも御報告させていただいて、改善方を考えたいと思っております。

 

○田端委員 その中小企業の貸し付けの問題についてもちょっと伺いたいと思いますが、しかし、このホームレスの問題、私はこれはひとつ深刻な問題として閣僚の先生方にも受けとめていただきたい。

 つまり、これは、もちろん景気の問題が一番大事なんですが、雇用問題が大きな要素でもあります。そして、こういうことを放置しておきますと、これはもう環境あるいは衛生問題等が必ず起こってきます。例えば、年末この人たちが、今大阪でも大阪の南港というところに入っていただく施設がありますが、たった二千五百人分しかありません。そうすると、大半の人が正月を路上で過ごさなきゃならない、こういうことでありますから、そういった意味でも、治安の問題にも大変大きく影響してきます。

 御存じのように、あいりん地区というのは暴力団もすごいし、そしてまた、ここは覚せい剤の密売の日本一の本拠地といいますか場所でありまして、そういったことともダブって、ここにこういう方々がたくさんいるということが非常に問題です。最近また不法外国人といいますか、不法滞在の人たちもこういう中に入ってきている、潜り込んできている、こういうことでもありまして、幾重にもこの問題が複雑に絡み合っているわけであります。

 したがって、私もいろいろ申し上げまして、先般衆議院の決算委員会が視察に来ていただきました。あるいは建設委員会とか労働委員会もお越しになったようでございますが、ようやく国会の先生方も現場を見ていただく、こういうことがだんだんと出てきましたので、ぜひ皆さんの知恵を絞っていただいて、これは何も大阪だけの問題じゃなくて全国的な問題として、そして日本の経済の一つのあらわれ、シンボルとしてこうなっているわけですから、どう解決していくかということにお互いに知恵を絞り出さなきゃならないと思っております。

 先般、私もニューヨーク、ワシントンに行きましたときに聞きましたら、七、八年前は向こうも多かったようですが、今好況に支えられてそういう人がやはりもうほとんど見当たらないということでありまして、そういった意味では、何といっても経済の再生というものが一番根本だ、こう思っております。

 経企庁長官よく御存じのように、関西の完全失業率が全国平均四・三を上回って五・二という状況でもありますし、それから倒産件数も、これは大変、既に大阪府はことしもう二千件を突破しております。昨年は千八百ぐらいですから、それをはるかにしのぐ量になっているわけであります。

 そういった意味で、私の周辺では、去年、ことしとマイナス成長だ、来年も正直言ってわからない、それじゃもう商売しないでじっとしている方がいいんだ、商売すればするほど泥沼にはまってしまう、そんなんなら今まだ黒字の間にもう店を畳んだ方がいい、計画的に自主廃業しよう、こういう人が今どんどんふえているわけでありまして、そういった意味では、本当に後ろ向きな発想かもわかりませんが、しかし、そこまで追い詰められていかざるを得ないところにまで今来ているのが現状だ、こういう感じがいたします。

 来年プラス成長へというお話もございますけれども、経企庁長官、どうでございましょう、今そういう状況になっていることを御感想があればどうぞ。

 

○堺屋国務大臣 現在の景気の状況はまことに厳しいものがございます。また、これからなおしばらく、特に雇用についてはより厳しい状態が続くのではないかというような懸念もしております。

 そういうことを踏まえて、この緊急経済対策を早期に実行し、また、平成十一年度予算、税制においても十分配慮する必要があると思っております。

 

○田端委員 甘利大臣、私は、こういうところを、例えば特定不況地域とか何かそういう指定をしていただいて、何か特段の配慮をしていただくということはできないんだろうか、例えば労働省そのものの出先機関をきちっと設けて府や市と一体になってこの雇用対策に取り組んでいただく、こういうふうなことを考えておりますが、いかがでございましょうか。

 

○甘利国務大臣 地域指定をするという制度はございます。あるいは、業種指定をするという制度もあります。これを私は、今回の緊急経済対策絡みでさらに柔軟に対応できるようにしたらどうだという提案をして、これを具体的に実施をします。

 例えば、特定の不況の業種の指定をするときには、全国一律調子が悪くないと指定ができないというようなことの要件を緩和して、一定のエリア内でもいいじゃないかというようなことを考えたいと思っておりますし、それから、先ほど先生から特にあいりん地区のお話が出ました。日雇い労働者が多いところでありまして、ここは、新しい政策として、日雇い労働者の雇用率が一割を超える企業に関しては、その超えた分について一人五千円の補てんをする。これは、日雇い労働者の日給が大体平均一万五千円ぐらいでありますから、三分の一ぐらいを企業に補助するということも考えております。

 それから、職業訓練ももっと機動的にやろうじゃないか、民間の訓練施設も使っていろいろやっていこうということまで含めて、ブルーカラー、ホワイトカラー、幅広くやらせていただきたいというふうに考えております。

    〔大島委員長代理退席、委員長着席〕

 

○田端委員 自治大臣、これはもう府とか市の自治体の域を超えている問題ですので、ひとつ大臣の方も、自治省としても真剣にお取り組み願いたい。そしてまた国家公安委員長として、そういう立場からも、ここは薬物の取り締まりとか暴力団の取り締まりとか、そういった意味で今後治安に対する非常に大事な問題になっていくと思いますので、その点もあわせてお伺いしたいと思います。

 

○西田国務大臣 先ほど労働大臣もお話しになりましたが、私の方としても、関係省庁とよく連携をとりながらやってまいります。もう一つ、地方の各団体ともよく情報収集、意見の交換等をやって対策を講じていきたい、このように思っております。

 それから、最後に治安問題にお触れになったわけですが、治安というのは、国民の方々が安全で安心して暮らしていく基本になるわけでございまして、私どもの役割も非常に重要でございます。欠くことのできない仕事だ、このように思っております。御指摘のように、地域住民に不安を与えたり、または犯罪がそこから発生するというようなことは容易ならぬことでございますので、私の方も、国家公安委員会としても万全を期して督励をし、やっていこうと考えております。

 

○田端委員 最後に大蔵大臣、今この問題、いろいろ私具体的に提示させていただきましたが、経済の失敗ということをお認めになった上で、この現実というものをどういうふうにお感じになったのか、感想を伺って質問を終わりたいと思います。

 

○宮澤国務大臣 大変深刻に承っておりました。

 今まで、幸いにして雇用というところまで余り深刻にならずにまいりましたけれども、最近、有効求人倍率がどんどん低下してまいりましたし、企業の耐久力にももう限度があるというような感じが出てまいりまして、労働大臣にもお願いをいたしまして雇用百万というようなこともお考えいただいておるわけでございます。来年はこの問題がもし深刻になりますと、本当にもう、ただ不況とかいうことでない、家庭でうちのお父さんがという話になりますと別の問題になってまいりますので、十分財政としてもできるだけのことをいたさなければならないと考えております。

 

○田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。

 

○並木委員 先ほど、田端委員の写真等を示されてのホームレスの問題、大変そういうものも厳しくなっている、失業者も、数字的にもそうですけれども、実態として増加している、そういうような披瀝もありました。このままいくと、まず来年の三月の決算を越えられないんじゃないかという会社が続出してしまう。そういう面では大変、桜の咲くころ、厳しいことも考えられるわけです。

 つまり、財政構造改革法というのは、迅速な財政出動を難しくして景気をさらに失速させた、そして税収を落ち込ませて、結果として財政をさらに悪化させてしまったというような、何だったのか、まさにそこが言いたいところであります。

 ただ、これも二重の失敗をしていると思います。いわゆる景気をさらに悪化させた、そういう失敗と、予算成立後、九八年度予算ですけれども、実質的には全くこの法は機能していない、つまり建前だけの法になってしまいまして、そういう意味で、法における支配というか、法のコントロール、そういった点で大変形骸化した法律になってしまった。法の権威も失墜せしめたということだと思います。

 今、これを凍結ということで、建前論になりかねない。宮澤大蔵大臣の精神という意味は我々もある意味でわかるところなんですけれども、やはり法の中では建前論と本音論というのが二重になっているというのが日本的風土でもあるわけですけれども、そういう点では大変好ましくないんではないかなというふうに考えるわけです。

 そういう意味で、改めて政府はこの失政を認めて猛省をしというところを確認しておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたので長くは繰り返しませんが、確かに、前回総選挙がございましたころに、片方で二十一世紀を展望して我が国の将来を議論いたしますと、財政の将来というものはいろいろに心配をせられ、消費税の議論などもございました。

 たまたまそのときに、我が国の経済の足元がこれほどであるという認識がございませんこともありまして、ややそういう世論の動きに乗って、当時の総理大臣としても将来に向かっての財政のことを考えられた。殊に、高齢・少子化ということがございますので、長期計画についていろいろなことを考えられた。それ自身は間違いでなかったかと思いますけれども、実は、いろいろなことから経済そのものは非常な悪化を深めてまいりまして、財政改革そのものはデフレーショナリーなものでございますから、それに実はさらに経済を追い込んだというような結果になったと思います。

 私どもの党内では、そういうこともございまして、リーダーシップの交代があり、新しい総裁が総理としてこの法律の凍結をお願いするに至った。党内としては厳しい反省をいたしましたことでございます。また、国民からは参議院選挙について厳しい御批判を受けたというふうに考えておりまして、その間に至る経済政策の運営の落ち度というものは、私ども政権党としてやはり認めなければならないところであると考えます。