129-衆-予算委員会第三分科会-1号 平成06年06月07日
本分科会は平成六年六月一日(水曜日)委員会に
おいて、設置することに決した。
本日の会議に付した案件
平成六年度一般会計予算
平成六年度特別会計予算
平成六年度政府関係機関予算
(文部省及び自治省所管)
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○大畠分科員 私は、学校の先生方あるいは文部省のお一人お一人のことを責めているのじゃなくて、戦後の日本の教育もそろそろ方向転換の時期ではないですか。さらに、文部省もこれまで一生懸命頑張ってきて、日本の経済発展や今日の日本というのがあるのはもちろん文部省の教育の一つの成果だと思いますが、ここまで経済発展もしてきましたので、そろそろ基本的な方向を変える時期に来ているのじゃないか。
もちろん、通商産業政策についても、日米問題、一番の問題は経済摩擦の問題であります。いかに日本の黒字を減らすか、これは競争の結果だから仕方ないじゃないかとはもう言えないところまで来ています。私は、そういうことからもうちょっと日本の教育、文部省の教育方針そのものを、従来の額面だけあるいは表面を手直しするというのじゃなくて、根本から文部省教育の方針そのものを見直すべき時期に来ているのじゃないか。
そして、よく言われますが、日本だけが繁栄すればいいというものじゃなくて、まさにアジア諸国あるいはアメリカ、ヨーロッパ諸国等々の青年諸氏と大いに手を携えて生きるんだ。それはすなわち、地域社会の中でもそういう黙っていじめられる子供をどんどんいじめるのじゃなくて、そういういじめを見たらきちっと、おかしいじゃないか、あるいはまた仲間が抑えに入るとか、つい最近もホームレスの方が殴り殺されたという話は聞きましたね。あのときもたくさん周りにいたというのですよ、日本人、日本人というか大人の人が。だれ一人とめに入らないし、警察にも通報しなかったという話がありました。これは、言ってみれば、このいじめ問題と今回のホームレスの方の事件というのは非常にかかわり合いがあるのじゃないかと私は思うのですよ。
したがって、これはすべて文部省だけの責任ではないと思いますけれども、いつもやられているから平気だよと言って黙って耐えて殴られていたという、そういう少年が全国にまだたくさんいるんじゃないか。私は、マットで巻かれて亡くなった子供さんもいましたけれども、そういう問題に対して、今文部省がどのような手を、これまでもとのような対策をとってきたのか、それを真剣に伺いたいと思います。
○野崎政府委員 今先生から教育の発想を変えるべきではないかということでございまして、実は私どもも今その問題に取り組んでおるわけでございます。従来、必ずしもそういうことを意図したわけじゃないのですが、やはり知識や技能の量ということをどうしても重視する、つまりどこまで知識なり技能の量があるのかというようなことで、それを学力と考えがちであったことは確かに御指摘のとおりだと思います。
私どもはやはりそういうことをこれから直していかなければいかぬ。これから大事なのは、子供たちがみずから考え、主体的に判断し行動できる力、つまり自分たちで考える、そしてまた自分たちで学習していく力、こういうものを育てていこうということで、新しい学習指導要領、小学校では平成四年から動いております、中学校は平成五年、高等学校がことし、平成六年から動いていますが、その新しい学習指導要領もそういう新しい学力観に立って改訂をしたところでございまして、今先生のお話を聞きながら、まさに私どもがこれから取り組もうとしていることを先生から御激励を受けたんだ、このような気持ちでお話をお伺いさせていただいたわけでございます。
○大畠分科員 それで、激励もしますが、激励するとともに、こういう事件がもう起こらないようにしてほしいのですよ。
これはもちろんPTA、家族が悪ければ、家族というか社会や両親、両親というかみんなも、みんなで力を合わせてこれはやらなければならないのですが、とにかく、やはり学校の中でこのような事件が起こった、そしてどこへも訴えようがなかったというものがあったので、端的に、こういう子供たちが何か相談できるような窓口といいますか、あるいは学校内にそういう相談をする人がいるとか、先生に言うと殴られるというのですから、第三者が、何かそういういじめ問題とか子供さんが非常に困ってどうしようもないというときはここに電話してください、どこにも連絡せずに一生懸命問題解決のために取り組みますよ、そういう機関が必要じゃないかと私は思うのです。
そこで、先ほどの質問でありますけれども、山形の事件以来文部省がいじめの再発防止のためにどのような対策をとってきたのか、それを具体的に伺いたいと思います。
○野崎政府委員 いろいろいじめの問題につきましては、児童生徒の心身に重大な影響を及ぼす深刻な問題ということで私どもも考えておりまして、これにつきましては、早速問題行動の実態とかそういうことを調べました。昨年の十二月には、各都道府県教育委員会あるいは学校におきます指導あるいは取り組みの再点検というようなことを求めております。
それから、具体的に言えば、あとは教師向けの指導資料の作成とか、教員研修、教育相談活動の推進、いろいろな形で実施をしておりますけれども、特に私どもが今重視しておりますのは、いじめの端緒と申しますか、そういうものをだれが、見つけたかというのはちょっと言葉が適切じゃないのですけれども、そういうものが大体担任教師が三割ぐらいです。やはり学校全体としてこういう問題に取り組むということが一番大事なわけでございますけれども、担任の人がまずそういう端
緒となるべきものを見つけて適切に対処するということが一番大事じゃないかということで、昨年十二月の通知の中では、学級担任が、担任する児童生徒の指導につきまして重大な職責を有するんだ、まず第一義的な責任を負ってほしいということを明確にしたところでございます。
なお、平成六年度の予算の中には、いじめ等につきまして教員あるいは児童生徒、保護者を対象にいたしました実態調査を行いたい、こう思っております。そして、学識経験者によります調査研究協力者会議を設けまして、総合的な対策等を検討していきたい、このように考えております。