129-衆-決算委員会第三分科会-2号 平成06年05月27日
平成六年五月二十七日(金曜日)
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本日の会議に付した案件
平成二年度一般会計歳入歳出決算
平成二年度特別会計歳入歳出決算
平成二年度国税収納金整理資金受払計算書
平成二年度政府関係機関決算書
平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書
平成二年度国有財産無償貸付状況総計算書
平成三年度一般会計歳入歳出決算
平成三年度特別会計歳入歳出決算
平成三年度国税収納金整理資金受払計算書
平成三年度政府関係機関決算書
平成三年度国有財産増減及び現在額総計算書
平成三年度国有財産無償貸付状況総計算書
〔総理府(警察庁、経済企画庁)、通商産業省所
管、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公
庫、自治省所管及び公営企業金融公庫〕
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○小森分科員
それで、これはわかっておることだと思いますけれども、同和対策審議会の答申というのは非常によく論理的に整理をされておりまして、我が国の産業構造というものを分析して、「このような経済構造の特質は、そっくりそのまま社会構造に反映している。すなわち、わが国の社会は、一面では近代的な市民社会の性格をもっているが、他面では、前近代的な身分社会の性格をもっている。」つまり、部落差別を温存する条件というのはここにあるという意味のことを言っておるわけですね。したがって 人々の意識と、うものもそれがあるいはくくりつけられておるわけですね。
それで、きのうですか、私は外務省を相手取ってやったところで外務省に言うたんですけれども、あなたらは何で人権差別撤廃条約を批准せぬのかと。足を引っ張るのは法務省なんですけれども、外務省はどっちかというと外国のつき合いになるから早くやりたいという気持ちもあるのでしょうけれども、まだよう踏み切らない。世界百三十九カ国が批准しているのですね。日本は先進国だと言いながらまだやらぬのですね。口の先では、自衛隊を出したいときには国連中心外交ですね、人権のときには国連中心外交でない。そういうでたらめを言うなときのうも言うたんですが、こういう人間の意識をくくりつけておって、それはやはり国会、国会のみならず行政、政府にも人権の問題は軽んじられるという関係になるのですよ。
したがって、通産省とか経企庁とかが根本にさかのぼって物を考えていただく。これは党派的なことではないのです。もうこれは大変な国益の問題ですからね 同和対策の事業を組むと言うたら、国益でなくて、日本の国の徳川封建幕府以来ひこじっておる差別の問題を解決してやるんだという気持ちが起きるかもわからぬけれども、これは国益の問題なんですからね。そういう観点で考えていただきたい。
そして、もう余り時間がないから、さらに私の言いたいことを申し上げておきます。
残念でならないのは、今回の政治改革の問題をめぐって、宮澤内閣のときも海部内閣のときもそうだし、それから連立政権になっても、社会党までひこじり込まれて賛成しましたがね。私は処分されましたよ。党に反対して。なぜ私がそういうことについてやるかといったら、イデオロギー的に社会党の左派だからというような問題ではないのですよ。要するに、そういうことになって、政治勢力が二つの大きな塊になった場合には小さなものは捨てられていくという、今の日本のいわゆる経済の二重構造みたいなものがまだ整理されずにずっと行き渡っておる。ゼネコン汚職が起きる、自動車産業だって下請、孫請、電機産業だってそうだし、そういう状況だったら、どうしてもそれは、大きな二大ブロックになったときには、そんな細かいところは政治的には捨てられていくのです。これはもっと世の中が変わっていけばまた別の考えが生まれてくるかもわかりませんけれども、そんなことは全く議論されていないのです。
それで最近は、やることを私は非難するわけではないけれども、なるべくそういう声は届いた方がよいと思うからこの場でも言いますけれども、いや、小選挙区で今度は選挙をやるんだといって調子張りよる者がおりますが、わかっておるのかと私は言いたい。
アメリカの二大政党、共和党と民主党のあの国においてなぜ凶悪犯罪、人を殺したというような事件が日本の九倍なのですか、十倍なのですか。社会荒廃のするままに任しておりますよ。皆さんもアメリカに行かれると思いますけれども、ニューヨークの空港なんか足元へかばんを置いておってもとられますよ。社会荒廃、もうなるに任せておりますよ。
ホームレスがいっぱいおりますよ。零下七度、八度というところで露天で寝てますよ。インドとかバングラデシュなんかは露天で寝てる人は多いですけれども、まだあそこは気候が暖かいからよいけれども、ニューヨークの冬の零下七度、寒いときには零下十度ぐらいに下がるところは、朝起きたときは凍え死んでいるというようなことです。手が届かないのですよ、大きなものの利益だけを考える政治になったら。
レイプの数が、私は法務委員会におるから、そんなことも統計的によく目を配って見るけれども、アメリカのレイプは年間百万件ですよ、政務次官。これあなたは、小選挙区になって私らのような変わり者が出なくなったら、そういうことを言う者がいなくなってなるに任す、それはみんな多少正義感あるから多少のあれはあるだろうと思うけれども。
だから、皮肉なことを言うようですけれども、これまで自民党が後援会をつくって個人本位の選挙をやった、それは金を使うもとだといってへ理屈をつけて、何か政治改革の理屈を竹下さんのときに言い出したのだけれども、それぞれの者が後援会をつくってやるということは、まことに皮肉なことではあるが、いろいろな人の意見を自民党の議員は吸収しよったわけ。そこらのことも、それは必然的にそうなったのだろうと思うけれども、私は困ったことだと思ってます。
よほどこれは、それならばわかった、小選挙区で選挙をさせい、しかし経済の二重構造は一生懸命やる、解決やると。そこらが解決つけば、世の中のシステムがうまくなれば、それはよその国でもやっておることだから、一概に一〇〇%これは大ぼろくその選挙制度だとは言えぬかもしらぬけれども、日本的土壌の中でやり合うてみなさい。むごいものですよ、力のない者は。
そういうことを申し上げまして、若干のこの数年間の経過をついでながらちょっと申し上げておきたいと思います。
きょうのような議論をかなり数字的なことも挙げてやりましたが、今新生党に行っておられます船田さんが経済企画庁長官のときに、船田さん、あなたどう思われますかと言ったら、いろいろ議論のあげく、こう言われておるのですね。
その構造ということが人々の意識あるいは精神あるいは物の考え方、差別意識ということにつながっていくということ、これも私としてもそういう実態があるのだなということをつくづく感じておりまして、その根本である構造をやはり直していかなければいけない、その格差を一日も早く縮小、解消していかなければいけない、こういう観点に立って、経済運営は、もちろん国全体の経済運営ということも大事であります
後が続くからこの辺で切りますが、船田さんはそう言っておるのです。どうも努力の跡が見られませんけれどもね。
それから自民党内閣、もちろん船田さんも自民党内閣時代ですが、私は、依然として経済の二重構造を支える労働力の供給源というものが続くわけですから、これは解決してもらわなければ困る。上見て暮らすな下見て暮らせということになるということを予算委員会の分科会でやりましたが、今新生党で活躍なさっておる渡部国務大臣は、
私は、この地球上に生をうける人間はすべて平等でありますし、まして、この国において新しい憲法ができて、今日この国に生きる人間の中に差別があるなどということがあってはならないことである、こう思っておりますけれども、先生今御指摘のように、残念ながらそういう現実があるとすれば、速やかにそういう問題がなくなるように全力を尽くして努力しなければならないこう言っておるのですね。
それで、議事録を読めばわかりますが、簡単に言ったら、渡部大臣は、わあ、そういうことは初めて聞いた、部落問題と経済の二重構造の関係というのは初めて聞かしてもらったという意味のことを言われたのを私は記憶してますね。だから、これは日本のためですよ。何か社会党の方のちょっと口やかましい小森というやつが来てぎゃあぎゃあ言いよるというものじゃないですよ。これがわからぬ限りは日本はだめですよ。これが渡部大臣。
それで、これは予算委員会でやったとき、通産省の政府委員で、これは局長だと思うけれども、こう言っているね。
ただいま小森先生がおっしゃいました系列関係つまり一次、二次、三次の関係ですが、系列関係等について、前近代的な流通構造、生産構造があるのではないかという御指摘の点につきまして、日本の産業構造、流通構造がすべて世界に模範となる立派な近代的なものだとも言えません確かにおっしゃ、ますように、親企業と子あるいは孫の下請企業との関係において賃金格差あるいは労働時間の問題その他、下請にいろいろしわが寄っておることも御指摘の点が多々あるかと思いますが、これらにつきましては、中小企業政策を中心に極力そういう格差を是正する方向での対策を講じてきておりますし、さらに今後いろいろ講じてまいりたいと思っております。
これが官僚的答弁で、講じてきてはおらぬのだけれども、講じてきておりますし、今後もやります、こういう言い方になっておるわけですけれども、私も辛抱して辛抱して、国会の中にも我が国の政府の各省庁にも徹底さそうと思って一生懸命やりよるんです。予算委員会の分科会、八分科会回ってやっておるのは恐らく私一人だと思いますよ。今回も、この決算委員会は事情があって八こま回れなかった。七こましか回ってないですけれども、一生懸命やっておるのです。
だから、これはイデオロギーの問題などと思わずに、人権の問題であり、そのことは、日本の経済にとっては 日本の経済が世界から余り恨まれたりいろいろ中傷されたりすることのないようにするための問題でありますから、どうぞひとつ十分にそれを銘記してやっていただきたいと思います。
最後に、政務次官、一言、今までもかなり共鳴した発言をいただいておりますが、一言だけコメントしてください。
○古賀政府委員 これはもう役所としてとかあるいは政府としてという答弁ではございませんけれども、私もよく地域の方々と対話をすることがございます。例えば高齢化社会の問題を論ずるときにも、これは高齢者のためあるいは身障者の方だけのために言うのではない。つまり我々健常者も、ある日病気になったり、あるいは人間でありますから泥酔をして弱くなるときがある。結局、社会全体がそういう優しいシステムをつくるというのは、例えば身障者の皆様方のためじゃなしに、やはり我々国民全体の問題だとよく申すこともございます。そういったことをよく申すわけでありますけれども、先生の御指摘、それと近いような御指摘だったと思います。
もう一点、これは特定の国を言うとまた問題になるかもしれませんが、私大変若いときにある国に行きましたけれども、社会全般に古い身分制度が今でも現に残っておる。その国はその後一向に経済発展、社会発展を見ない国でありますけれども、あのとき、私は人間として、こういう一つの構造的な、身分制度というものがあるから、自由な、能力ある人も伸びやかに仕事もできない、そういう国に行ったことがございます。やはりそういう、日本はそんなに悪いとはもちろん思いません、日本は日本なりにすばらしいポテンシャルと自由さを持った国とはもちろん思いますけれども、しかし、根源的にそういう問題がやはり何かの足を引っ張るという事実はあるということは今後肝に銘じてまいりたいと思います。
以上でございます。