112-参-建設委員会-10号 昭和63年04月21日
昭和六十三年四月二十一日(木曜日)
午前十時開会
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参考人
東京理科大学教授 石原 舜介君
元読売新聞論説委員 本吉 庸浩君
全国公団住宅自治会協議会代表幹事 佐長 勉君
住宅・都市整備公団総裁 丸山 良仁君
住宅・都市整備公団理事 倉茂 周明君
住宅・都市整備公団理事 渡辺 尚君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○建設事業及び建設諸計画等に関する調査
(住宅・都市整備公団家賃値上げに関する件)
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○内藤功君 非常に微々たるものであります。数字で明らかなんですね。
このAさんの場合、改定後の家賃負担率が二四・九%になる。昭和四十二年に住宅審議会の答申では、第一分位の二人世帯の家賃負担率というものは限度が一七・一%だった。これを七・八%も上回ることになるんですよ。こういう例がいっぱいあります。もう時間がないのでほかの方の例は残念ながらここでは省略をせざるを得ない。政府の住宅審議会の示した限度すら超えるという家賃を、長年住んできてその団地のいろんな環境づくり、自治会の活動、いろんな周りの環境づくりに骨を折ってきた人たちに押しつけるということは私は道理に合わないと思うんです。特に、さっき例に挙げたAさんのような年金生活者、こういう方はもう出ていってくれ、所得の少ない人、貧しい人は出ていってくれと、こういうことになるんじゃないか。これは私が思うだけじゃなくて、もうどんな団地へ行きましてもそこの、お年寄りの方、六十代半ば以上の方はみんな言っておられるわけであります。
そこで、最後に私は建設大臣に、お待ちいただいたので、あなたに伺いたいと思うんです。あなたはこれから重要な判断をされようとしているわけです。しかし率直に答弁をしてもらいたいと思うんです。
この継続家賃について、こういう居住者の実態に目をつぶって、公団住宅の対象は中堅勤労者であるという政策に固執しておりますと、高齢化して年金生活者が多くなっていくというこういう居住者の多くを結局追い出すことになっていくんですよ。そうした階層の人を受け入れるに足りる公営住宅は現在日本に十分ありますか。
四月二十日の毎日新聞の夕刊社会面を大臣ごらんになりましたか。現在、立ち退きを迫られてひとり暮らしのお年寄りが施設に避難したり、あるいは駅や地下道で野宿を続ける人がかなり出てきている。長くは読みませんが、深刻な事態、ホームレスですね、日本の、これが出てきておる。公団の管理開始以来三十有余年、今日では公団住宅の対象は中堅勤労者だというこの論理一本やりでは現実の問題の解決になりませんですよ。そういう姿勢だから居住者の理解が得られないんです。さっき総裁や理事のおっしゃるようなああいう言い方じゃ納得を得られないのは当たり前ですよ。一方の方は絶対反対じゃないと柔軟な姿勢を示しているのに、ああいう説明じゃ納得を得られない。そうじゃありませんか。
○委員長(村沢牧君) 内藤君、簡潔にお願いします。
○内藤功君 ですから、これは公団だけではなくて政府の住宅政策の責任であり、今の問題を再検討すべき時期に来ておるのではないかと私は思います。
きょうも非常にたくさんの方が傍聴しておられますけれども、こういう関心にこたえた大臣の御答弁を願いたい。今までの公団の答弁では私は本当に切実な声にこたえていないと思いますので、大臣の御答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(越智伊平君) 私のところにも何千通かの要望がはがきで来ております。何千通か来ておりますが、これみんな一様に値上げをやめてくれということで、上げてもいいよというのがないかと思って毎日読んでおりますけれども、一つもございません。でございますから、入居者からいえば家賃が安い方が、上がらないことがいいことは当然であります。
それから基本的な問題でありますからお答えをいたしておきますけれども、公団住宅の中堅勤労者ということはやはりそのとおりでございますから、それを曲げるわけにはいかない。公営住宅は公営住宅の目的、公団住宅は公団住宅の目的であります。ただ、公団ができましてから三十年たちますと、その間に、好むと好まざるにかかわらず、生活保護世帯もできますし老人もできますし母子家庭もできますし身体障害者、そういうことについては、十分その長い期間にそういうことが自然に起こったわけでございますから、これはそれなりの措置をしてまいるつもりであります。ただ、先生が言われますように、公団に決して追い出すというようなことはいたさせません。追い出すという言葉をたびたびお使いになりますけれども、追い出すということはいたしません。
それから会の持ちようでございますけれども、会はもちろん少数意見も聞きますし、十分議論をしていただいて、最終的には満場一致にならないとできないということになりますと、もうどこの町内会であっても部落であってもできない。でございますから、その点も御了解をいただきたい、私はこういうふうに思います。でございますから、当委員会におきまして十分御論議をいただき、その御論議を聞いて私は審査を進めていきたい、かように思います。でございますから、必ずしも内藤先生のおっしゃるとおりにはならないかもわかりません。これはもうはっきり、できないことはできない、できることはやりますと、これが私の性格でございますから、できる範囲のことはやらしていただきますが、できないことはここで上手を言っておいてもすぐわかることでございますから、やはり私はそういうもろもろのことを考慮しながら審査を進めてまいりたい、かように思いますので御了解をいただきたい、かように思う次第であります。